ドイツで、新型コロナウイルスの影響で時短勤務する人が労働者全体の1/4近くにまで急増している。
前のブログで書いたように、解雇の多いアメリカは月30-40万円以上の失業手当をだして失業した人の生活を支えようとしている。
一方、なるべく解雇を増やさないようにしているのがヨーロッパ諸国。
たとえばドイツは仕事が減ったとき、人でなく労働時間を減らして失業を避けようとしている(ワークシェアリング)。
このためドイツでは、景気悪化で労働時間が減った場合、それによって減った賃金の60%(扶養家族がいる場合は67%)を政府が支給する仕組み(Kurzarbeit)がつくられている。失業保険の一種である。
この仕組みをつかってドイツでいま時短勤務をする人は約1000万人。全労働者が約4.5千万人(日本は約5.7千万人)なので労働者の1/4近くが時短勤務していることになる。
この仕組みによりドイツの4月の失業率は5.8%におさえられている(3月からわずか0.7%の上昇)。一方、アメリカでは4月の失業率は15%近くになるとみられている(3月から10%近く上昇)。
私は、雇用調整助成金(休業して労働者に通常の6割以上の給与を支給した場合、1日8330円を上限に支給額の9割を国が補填する)に加えてこの仕組みを日本にも導入すべきと思っているが、労使ともにそのような機運はまったくない。
私は20年ぐらい前、岡山県で厚労省が主催する政労使会議?(いまはない)に学識経験者として出たことがある。
アジア通貨危機の直後で雇用が大きな問題になっていたときである。
私はドイツのワークシェアリングのしくみを説明して、こうした方法で雇用を守る方法もあると発言したが、労働者代表の方から「賃金が減らされる」と猛反発されたことをいまでもよく覚えている。
日本はバブル崩壊以降、欧米に追いつく過程で雇用が増え続ける発展型社会から、景気変動で雇用が大きな増減を繰り返す成熟型社会に変化した。
ほんらいであれば、それに合わせて雇用維持・生活保障のしくみ(セーフティーネット)も変えていかなければならないが、それがなかなかうまくいっていない。
緊急事態宣言がさらに1か月ほど延長されるようだが、これからの雇用のゆくえが少し気がかりである。
2020年5月9日追記
アメリカの4月の失業率は14.7%となり戦後最高を記録した。