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【民事訴訟法 複雑な訴訟形態 複数当事者訴訟⑤】 ノート形式

2014-11-01 20:29:55 | 民事訴訟法
〔訴訟参加の諸形態〕



(1)意 義
〇 訴訟参加~訴訟外の第三者が、既に継続する他人間の訴訟につき、何らかの利害関係を有する場合に、自等の利益を護る為に当事者訴訟に積極的に加入(参加申立て)をすることを言う。此の場合の第三者は「参加人」と呼ばれる。
〇 参加人~当事者としての資格で参加する「当事者参加」の場合と、其の外「補助参加」の場合がある。

(2)参加の諸形態
 第三者が当事者の資格で当事者訴訟に参加する場合である。
 共同参加訴訟と独立参加訴訟の二つの形態が在る。
✻ 第三者がそも〃当事者適格を有し無い場合には、当事者参加は不適法と成る。
✻ 上告審での当事者参加については議論がある。

(a)共同参加訴訟
(共同訴訟参加) 第五十二条  訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合には、その第三者は、共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる。
2  第四十三条並びに第四十七条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による参加の申出について準用する。

(例) ある株主が提訴した株主総会決議取消訴訟に他の株主が此の原告側に参加する場合
⇒参加後は必要的共同訴訟の手続き準則が妥当する。
✻ 上告審で、行き成り共同訴訟に参加出来るかには問題が在るが、法律問題で防御の機会が必要と成ることもあるので積極的に解すべきである。
・訴訟手続きを停滞させる場合~共同訴訟参加は赦され無い(最判平成14年1月22日判時1777・151:参加容認した例)。
(訴訟参加) 第八百四十九条  株主又は株式会社は、共同訴訟人として、又は当事者の一方を補助するため、責任追及等の訴えに係る訴訟に参加することができる。「ただし、不当に訴訟手続を遅延させることとなるとき、又は裁判所に対し過大な事務負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。」

・既に不適法却下の確定判決を受けていて、其れと同一の請求の趣旨及び原因に基づく申出は不適切である(最判平成22年7月16日民集64・5・1450)。

(b)独立当事者参加
三面訴訟:従前の当事者と参加人との間で三面的な対立関係が生じる。
(例) ある土地の所有権を巡って訴訟が在る場合、別の第三者が自分こそ真の所有者だとして参加するもの等。
(独立当事者参加) 第四十七条  訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。

✻ 何れの場合にも、必要的共同訴訟の手続き準則が妥当する。
(独立当事者参加) 第四十七条
4  第四十条第一項から第三項までの規定は第一項の訴訟の当事者及び同項の規定によりその訴訟に参加した者について、第四十三条の規定は同項の規定による参加の申出について準用する。

(必要的共同訴訟) 第四十条  訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。
2  前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。
3  第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。

〇 独立当事者参加:次の二つが在る。
詐害防止参加
(独立当事者参加) 第四十七条  「訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者」又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
権利主張参加
(独立当事者参加) 第四十七条  訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者又は「訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者」は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。

〇「訴訟の結果によって権利が害される」と言う意味の解釈
 此処で言う詐害行為とは単なる主観的ものでは無く、客観的に認められるものであり、当事者の主張立証の倦怠や期日の欠席等の外的な振る舞いとして表出されたものを指す~判例・多数説の立場
 此れに対して判決の拡張が為されるというより切迫した関係にある場合に詐害防止参加を認めるべきであると言う見解もある(判決効説)。
〇「権利主張参加」
 従前の当事者の請求や此れを基礎付ける権利主張と参加人自身の其れとが両立し得無い場合とされる。
(例) 二重譲渡案については権利主張参加として適法かは問題が在る(最判平成6年9月27日判時1513・111「220」は消極)。

・債権者代位訴訟への債務者の独立当事者訴訟については、何れの参加なのか問題がある(最判昭和48年4月24日民集27・3・596〔221〕)。
・前段参加を後段参加とし、或いは其の逆の扱いを適法視し得るかについては申出の理由に裁判所が拘束されるもので無い為、積極的に解する。
・参加の後に両立するものと判明しても、遡って参加申込み自体が不適法と成る訳は無い。
・前段・後段の何れの要件も満たさ無い時~此の申出不適法→終局判決により却下或いは併合審理不許可
 別訴として処理、弁論の併合の結果、併合審理可能か?
(最判昭和42年9月27日〔222〕準独立当事者参加の事案につき、後者の扱いを容認する)。上告審での参加は認められ無い(最判昭和44年7月15日民集23・8・1532〔222〕)。

〇嘗ての判例の立場
・参加人が一方当事者のみに請求を定立する片面的な参加申出(準独立当事者参加乃至片面参加)を認め無かった(最判昭和42年9月27日民集21・7・1925〔223〕)。
・原告が訴えを取り下げるについても被告人及び参加人の同意を必要とする(最判昭和60年3月15日判時1168・66〔224〕)。

・硬直した三面訴訟の理解から離れ、準独立当事者参加を容認
 独立当事者訴訟には必要的共同訴訟の特則が準用される。
(独立当事者参加) 第四十七条  訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。

(独立当事者参加) 第四十七条
4  第四十条第一項から第三項までの規定は第一項の訴訟の当事者及び同項の規定によりその訴訟に参加した者について、第四十三条の規定は同項の規定による参加の申出について準用する。

(必要的共同訴訟) 第四十条  訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。
2  前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。
3  第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。

 準用とは言え、必要的共同訴訟とは参加人では協力関係には無く、寧ろ互いに牽制し合う仲。

〇準用の内容について
・判決の合一確定姓の必要性から、訴訟資料の共通化や手続き進行の統一が要請される。
・一人について生じた中断・中止事由により、総ての訴訟手続きが停止する。
・脱退や訴えの取下げ(被告人及び参加人の双方の同意を要件とするかは分れる)、参加の取下げ(請求定立の相手方の同意のみで良いと解する)⇒二当事者訴訟への移行

・独立当事者参加に於いて二者間での訴訟の和解が赦されるかに消極的判例(仙台高判小は55年5月30日判タ419・112、東京高判平成3年12月17日判時1413・62)は消極的である。
・学説~全面肯定説乃至条件付肯定説が大勢⇒強固な三面訴訟間の後退。

〇敗訴者の一方のみが上訴した場合
・旧法下の判例~三面訴訟貫徹、上訴し無い敗訴者の敗訴部分についても、合一確定の必要性から審判対象に成るものとした(最判昭和48年7月20日民集27・7・863〔225〕、最判昭和50年3月13日民集29・3・233〔226〕)。
・今日では状況は異なる。


(c) 脱退当事者への判決の効力
 参加人の同意必要無し
(訴訟脱退) 第四十八条  前条第一項の規定により自己の権利を主張するため訴訟に参加した者がある場合には、参加前の原告又は被告は、相手方の承諾を得て訴訟から脱退することができる。この場合において、判決は、脱退した当事者に対してもその効力を有する。

(義務承継人の訴訟参加及び権利承継人の訴訟引受け) 第五十一条  第四十七条から第四十九条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けた場合について準用する。

(例)賃金請求の被告となった債務者
 真の債権者が原告人なのか参加人なのか決めて貰う→自等此れ等に従う意思で原告の同意を得て脱退~訴訟手続き単純化→訴訟手続き: 三面的関係から再び通常の二当事者対立構造へ
 此の場合の判決効~何れかの勝訴による請求の放棄乃至認諾の効力。脱退者との間に生じた執行力も生じる。

✻ 近時、脱退当事者の意思尊重(例、弁論の放棄や訴えの取下げ)~脱退当事者との関係での訴訟が直継続していると認められる場合も予定される(訴訟追行を残存当事者双方に委ねたと看做すことに成る)。


✻ 続 く


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