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お道と臨床と~心づくりの処方箋~

天理教と臨床心理学の視点を含めて,まおという人間が考える日々の通り方や考え方について綴っています.

バイクはどうなった?―「思い込み」の心理学

2006年05月02日 | 心理学・精神医学
昨日エンジンのかからなかったバイクですが,どうなったと思いますか?
昨日は太田の富士重工に勤めている兄弟が帰ってきたので,「バイク見といてよ」と頼んでおいたのですが,帰って聞いてみるとわからないと言っていました.
ウインカーもライトもつくのでバッテリーではないのですが,セルがきかないのです.一番最後に乗ったのが次男だったので,次男に電話してみると,「ニュートラルに入れるの忘れた」と言うのです.ギアを動かしてニュートラルに入れてセルを押すと見事エンジンはかかりました・・・.
灯台もと暗しとはこのことで,「エンジンを切るときはニュートラルに入れる」というのは私の中では絶対的なルールだったので,予想だにしませんでした.遅刻したことが余計に悔やまれたのですが,「エンジンがかからないときにはギアがニュートラルに入っているか確認する」という行動のレパートリーを増やすことができました.

このエピソードから2つの話ができます.

まず,「思い込み」についてです.人は自分の色眼鏡でモノを見ますので,そう思い込んでしまっていると,他の視点が見えにくくなるということです.そうなると,行動や思考,感情に偏りが出てきてうまく対応できなかったりすることがあります.昨日のバイクの件で言うと「エンジンを切るときはニュートラルに入れる」という思い込みがあったために,私は壊れてもいないバイクを修理に出さなければいけないかもしれないとまで思ってしまったわけです.思い込みは,自分の中での普遍的なルールとして,その人の行動の背景に存在し続けますので,悪い思い込みはマイナスになります.

たとえばうつ病の人は「自分はダメなんだ」「自分には価値がない」というような思い込みが根底にあることが多いです.そのために,自分の行動や人生に自信がもてなくなってしまいます.不安障害の人は「この世界は恐ろしく自分にとって危険である」という思い込みがあるかもしれません.その結果,不安になることが多くなってしまいます.こうした思い込みはまず気付くのが大変です.思い込んでしまっているわけですから,自分で考えているだけでは気付かないことが多く,人に話を聞いてもらってはじめて気付くことが大半でしょう.ですが訓練によって自分で気付くことができるようにもなりますし,よい思い込みはプラスになるでしょう.訓練は認知行動療法というものですが,今日はその話はしません.

もう1つは「思い込み」によって,本来使えるはずの様々な選択肢や能力が使えなくなってしまうことがあるということです.再度自分の事で恐縮ですが,「エンジンがかからないときにはギアがニュートラルに入っているか確認する」という選択肢が思い込みによって使えなかったわけです.思い込みがなければ私はギアの確認をしたでしょう.

「僕はバカだ.勉強なんていくらやってもできるわけがない」と思い込んでしまっている人は,勉強なんて嫌いになってしまい,学習によって知識や技能を習得していく機会を失ってしまうでしょうし,「私は異性から興味を持たれない」という思い込みのある人は尻込みして異性に話しかけることができないかもしれません.その結果興味を持たれる機会を失ってしまうでしょう.自分が思い込んでしまっていることが,逆にそういう結果を呼び起こしやすい状況を強化しているということが往々にしてあります.

ですから,自分ではなかなか気付くことができないかもしれませんが,何かのきっかけで自分の「思い込み」に気付くことができたのなら,その思い込みによって,自分の行動や気分,考えなどにどんな影響があって,その結果,どんな選択肢や能力が使えなくなっているのかをチェックしてみるといいと思います.

せっかく親神様が自由に使える頭や気持ちを与えてくださっているのですから,制約なく最大限有意義に使わせていただきたいものです.

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絵とふれあうこと

2005年11月28日 | 心理学・精神医学
土日と描画法の研修に行ってきました.描画法とは心理学的アセスメントのひとつで,絵を通して対象者を理解しようとするものです.セラピーとして治療的に用いることもできますし,テストとして人格理解に用いることもできます.前者と後者ではまた絵との関わり方が違いますが.

大して経験のない私がいうのもなんですが,絵は非常に多くのものを語ります.ことばで話すのが成熟していないお子さんが絵を通してメッセージを発信している場合が少なくありません.外から見ただけではわからないその人の一面を垣間見るかもしれません.特に一般の方が絵を人格判断に用いることは危険ですのでいけませんが,作品を通してお子さんと触れ合うことは,お互いにとってとてもよい時間になると思います.子どもは自分が批判なしに認められることで安心してここにいられる感覚を味わうでしょうし,親(大人)は日々成長していく子どもの姿に発見という喜びを見出すことができるでしょう.どうぞ描かれた絵を関心をもって眺めてみてください.そこには神様から生を授かった子どもが今ここに生かされている姿,生きようとしている姿が描かれていることと思います.