空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

河北新報 <済州航空>福島発変更

2017-03-03 18:00:10 | Weblog
 ジャンル「政治」。



河北新報 <済州航空>福島発変更 HIS「認められぬ」 2017年03月02日木曜日

韓国紙などによると、済州航空の社長は2月24日、福島空港の利用をやめる方針を全職員にメールで表明。現地のインターネットサイトに「福島に飛んだ機体に乗りかねないので済州航空は今後利用しない」といった書き込みがあったことなどが理由という

「多数者の専制」とよぶようなものから注意深く身を引くべきだ、ということを延々やってきた我々である。これが逆転すると、「少数者であるからこそ、その意見は通らなくてはならない(そうでないなら多数者の専制であり、民主主義的でない)」という理屈になる。

 問題は、その「声」が少数であるか否かではない。判断が合理的な区別か、非合理な偏見か、犯罪的な差別か、といったところだろう。

 2011年3月~の事故直後からしばらくの間なら、実情が不明・観測値が不明・損害評価も不明、それゆえ状況を見定めるまで停止―というのは合理的である。

 この「しばらく」は、物事の性質・状況などによって、多少前後する。そりゃ除染の除もない山奥で生きてるイノシシの肉は、まだ避けるべきだろうよ。だが「いわき市の畜産業者による豚肉(※えさは輸入もの)」を避けるべき理由は、ほぼ事故当初から存在しない(勿論、出荷前に封鎖された炉心近くにたまった水に漬け込んだ、とかなら別だ―できるかどうかは別にして)。これは事故当初段階から「非合理な偏見」と断じてよい。

 もちろん、しばらくの間は流出した煙やらなんやらで汚染が認められたのであり、一定期間は避けて構わない。が、えーかげん5, 6年も経って、被害・損害状況、放射線の数値も安定的に観測されており、これで”どうしても福島はダメだ”というのは「非合理な偏見」と評価できる。

「先生、中国人留学生が、仙台は危険だっていって帰っていったそうなんですが、うちら、この地域に住んでて大丈夫なんでしょうか?」
 と問うちかくのおばちゃんに
「いけません! すぐさま、その中国人留学生を避難させなさい! 北京のほうが数字は高いんです! そのうえスモッグで…間違いなくあっちのほうが危険です!」
 と答えたのは事故後数ヶ月のこと。だいたい、放射線ってなあ、まずは直進するものであるはずで、福島原発からどうやればここまで届くんだよ。山脈で遮蔽されるよ。飛んできた塵程度、冷戦時代にくらべたら、最盛期でさえ何分の一じゃねえか:





 わたしはしばしばそう説明したが、結構信じてもらえない。

HISによると、済州航空から2月23日夜、発着地変更を突然、電子メールなどで伝えられた。HISは翌24日、認められないと伝えた。原発事故の健康被害に対する懸念なども含め、これまでに済州航空からの具体的な説明はない

 契約を説明抜きでぶっちぎって、そのうえ無視を決め込むあたり、結構なものである。「少数者―多数者」なんて概念、入れ子構造できわめて柔軟に適用されうるものなんだから、注意して取り扱うべきなはずなんだが―済州航空は、大分なこと、やらかしましたなあ。



 と言う言葉に接すれば、済州航空の判断はまさしく国辱なのである。

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