空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

貧富の差は急速に拡大

2018-08-24 21:05:56 | Newsメモ
 韓国統計庁の数字と言うから、官公庁のデータだろう。それでこれでは、当事者としては座視しかねる数字ではないか:

朝鮮日報 韓国低所得層の勤労所得、1年で16%減少 2018/08/24 09:23

「雇用政府」「所得主導成長」を掲げる文在寅(ムン・ジェイン)政権下で、雇用情勢の悪化に続き、貧富の格差が前例のないペースで広がり、「所得ショック」まで発生している

韓国統計庁は23日、第2四半期(4-6月)の家計動向調査で、所得下位20%の世帯の所得が月額で132万4900ウォン(約13万700円)となり、前年同期に比べ7.6%減少したことを明らかにした。所得下位20%の所得減少は幅が1-3月(8.0%減)よりは小さかったが、4-6月期ベースでは2003年の統計作成以来最大だった。所得下位20%の勤労所得は15.9%、事業所得(自営業者)は21.0%減少した

 端的には、低所得者層が職を失って収入がなくなり―

関連:「韓国経済情勢メモ:雇用が急減しているとか(2018-08-20)」

反対に所得上位20%の所得は月額913万4900ウォン(約90万1400円)で、前年同期に比べ10.3%増えた。所得上位20%の世帯所得が2桁台の伸びを示したのは、2003年に統計を取り始めて以来初めてだ。不動産価格の急騰、フルタイム労働者の待遇改善などが所得上位の収入増につながった

 既に余裕のある上層階層は波をうまくとらえて収入増加を勝ち得たわけだ。
 パートタイマー・非正規職層が割をくい、一方で正規職についている者たちが安定を謳歌するというのは、我が国の民主党政権時代を想起する点がないでもない。

所得分配指標も過去10年で最悪だ。4-6月期の均等化可処分所得5段階倍率(上位20%の所得を下位20%の所得で割った比率。大きいほど貧富の格差が大きいことを示す)は5.23倍で1年前(4.73倍)よりも広がった。過去最悪だった2008年4-6月期の5.24倍に迫る水準だ。同倍率が1年でこれほど上昇したのは初めてだ

 問題は、『うん、これ、瞬間風速なんだよ。まあちょっと見てなよ』と指導部が言いたい一方、その『ちょっと』で逼迫した層が死に掛けるというあたり。

 まあその、上級国民様の『ちょっと』の定義は凄く、”ご飯前にちょっと時間を”といって押し込んできて、そのまま二時間半お喋りしまくるという例も実体験としてあり…。

 さて

関連:「韓国経済:現に好調だと信じる人がいるようなのだが(2018-08-13)」

 いったい、どこの平行世界の韓国を眺めているんだろうという風に思っていたが、こんな話を見ればまあそうも思うのかもしれない、という記事:

dot asahi 古賀茂明「アベノミクスのせいで先進国から転落しそうな日本」 2018.7.23 07:00dot.#古賀茂明

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、20年までに最低賃金1万ウォンを達成するという公約を掲げているので、多少それを下回ったとしても、日本の引き上げペースは非常に遅いため、20年には日本を追い越すことはほぼ確実だ

 2ページ目韓国の最低賃金の引き上げ率は、毎年7%程度が続いていたが、文大統領の就任後、昨年は16.4%、今年も10.9%とかなり急ピッチの引き上げが続いている。こうした急進的なやり方は、企業側に大きな負担となるため、かえって雇用を削減したり、脱法的な動きが生じたりして、必ずしも低所得層の生活改善にはつながっていないという批判もある

 うんうん、そう、低所得層の切捨てになりかねない点は、特に昨今激しいのだ。ところが古賀氏は、そうした論点に気付いていながら、

 4ページ目一方の韓国は全くその逆で、まず、労働者優先の政策で彼らの生活水準を上げ、その購買力によって企業利益や経済全体が拡大すると考えているようだ
 5ページ目両国の経済の実力から見れば、韓国は、少し背伸びしているのに対して

 と、文政権の大胆な決断を「少し背伸び」として、負担の大きさに注意を向けない。

 4ページ目韓国の試みが数年で実を結ぶと考えるのは明らかに楽観的過ぎるし、数年で結果が出なかったからと言って、失敗だと断定するべきではないと考えるべきだ

 と、数年間はやってみてから考えよう、というようだが―。
 ―低所得階層は、その数年間を耐えるだけの貯金を持っているだろうか、政府の援助は彼らに数年間を耐えさせるだろうか、という点については心配しないようだ。
 死ぬぞ、低階層から。文字通りの意味で。

 さらに

2ページ目
子どもの給料を当てにしなくても世帯の生活は安定して来るから、無理して子どもを増やそうというインセンティブも無くなる。こうして人口減少時代が始まるのだ。人口オーナスと呼ばれる人口減少によって経済成長の速度は減速する。日本は今、この段階にある

 というのだが―当の韓国は「日本の更に一歩先」を行っているようで

中央日報 韓経:子供を産まない韓国…「出生率0人台」が目前に 韓経:子供を産まない韓国…「出生率0人台」が目前に

統計庁が22日、発表した人口動向を見ると、6月の出生数は2万6400人で、昨年同月より2500人(8.7%)減った。毎年同月を比較すると、27カ月連続で過去最低値だ。今年上半期における出生児数は17万1600人で、昨年上半期より1万6500人(8.8%)減少した。このままでは今年の年間出生児数は32万人前後にとどまるものとみられる。昨年(35万7800人)に続き、また過去最低値を塗り替えることが確実視される

これを受け、合計特殊出産率(1人の女性が生涯に産むことが見込まれる子供の数)は昨年1.05人で、今年1.0人割れになるという見通しが出ている。すでに第2四半期の出産率は0.97人に落ちた

 いやその、古賀氏が安倍首相を嫌っていて、アベノミクスとかをひたすら悪く言いたいらしいことはまあ、私も仄聞する。だが、安倍首相がどれほどの無能だろうが、それは韓国の試みが正しいことを示唆も意味もしない。別個の事情として冷静に考えてはどうだろう。

 考え直してほしいのだが、韓国の存在意義は、安倍首相に対するアンチテーゼではないのだ。安倍首相の云々と別に韓国自体を、できるだけそちらの数字・報道に即して考えてはどうだろう。

 というかここしばらく見える数字・話題に即していえば、韓国の近未来はかなり危ういぞ。低階層から干からびて死ぬぞ、これ。

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