空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

BBC「チェルノブイリと同じ程に―悪い状況?」

2011-04-13 00:58:54 | Newsメモ
チェルノブイリは通例,世界最悪の原子力事故と言われます―尤もな理由でです―

BBC Fukushima: As bad as Chernobyl? 12 April 2011 Last updated at 11:09 GMT By Richard Black Environment correspondent, BBC News

 気力が続く限り訳してみる。以下「」付き青字がまあ適宜訳。あとの方になればなるほど適当になっていく。地の文は雑感。ひとことで要約すれば,『なにチェルノブイリさんディスってんすかなめんじゃねぇぞジャパニーズ』なかんじ?

稼働中の原子炉が火災を起こしました―しかも爆発的に。放射性物質の破片が三万フィートまで吹き上げられました―それはふつう旅客機が飛ぶ高さなのですが。

 この点,福島の場合,あまりヤバげなものはさほど吹き飛んでない。

そうした破砕片のある程度は,何千キロも離れたところまで吹き飛びました。その集中の度合いときたら,現地で生産されたミルクの飲用や肉の食用を禁止すべきほどです。

 阿武隈山地でインターセプトされたところが大分濃いめにアレですが,数十キロ程度でしょう,距離的には。

日本・福島事故の,国際原子力事象評価尺度によるレベル7(最大レベルです)への評価し直しは,この件をチェルノブイリと同等と評価するわけです。

そうして東京電力Tepco―福島原発の運用者ですが―の広報担当者は,もしかしたらチェルノブイリより悪くなってしまうかもしれないと示唆するのです。

しかし,これは,エンジニア関係者の間では,少数意見の様子です―常に原子力を支持する人々でも,過去に反対意見を主張した人々でも,です。

 原子力反対の人で『超ヤバい』とか言ってる人がいたりしますが,ゼロと比べればなんだって超ヤバいだろうよ。レベル7,チェルノブイリクラスだって言っても,とても―まあ比較は難しいではあるが―比較にならない。いやこの日本語は矛盾してるが。

『レベル7の評価というのは,環境に広範に放射性物質を漏洩させたということを意味するのであって,まあチェルノブイリとおんなじ,と解釈されはするでしょうけど,おんなじってわけじゃないですね』と英国Surry大物理学教授Paddy Reganは言う。

漏洩した放射性物質の量は大変少ないですし,その解放の仕方も大変異なります。チェルノブイリ火災は多量の放射性物質を大気中に吐き出し,非常な距離まで到達させました。今回の場合,漏洩の道はふたつ。原子炉からのベンチと,一定量の冷却水からのそれです。

既に引退したが,オーストリアの原子力関係専門家,Don Higsonはもっと簡潔だ。『私のとって,[福島をチェルノブイリと同等に格付けするのは]ナンセンスだ』と彼は言う。彼が言うには,チェルノブイリの爆発から一か月の間で,134人がひどい放射線障害で入院し,31名が死亡した。福島からその数字はなしのなし,というところだ(放射線での熱傷で二名が病院に担ぎ込まれたが,これは急性放射線障害と同じとはいえない)


二つの要素 ―じゃあなんで格上げしたのか?
 とりあえず,施設について何かしら悪化したということを意味しはしない。実際のところ,状況は―東北地震・津波災害に続く数日間より,見るべき程に安定的である。まあ完全に制御できてはいないが。


というか,日本のNISAが事件のデータを再検討して,総合的には放射性物質の放出が第七レベルに区分けされると判断したのだ。INES尺度運用のマニュアルは,IAEAから発行されたものだが,218頁にも及ぶ。自己の重大さを評価する基準の一つに,放出された放射性物質の総量というのがある。

つまり,まず個々の放出された放射性物質の総量を量り,次いで個々の特性に応じた換算率でかけ合わせ,そうして結果を足し合わせるのである。放射性の強度はベクレル(と,その一兆倍テラベクレルと)で測られる。

で,レベル7とは,こう定義される―環境中に放出された放射性物質が,大気中に放出されたIodine-131の何万TBqと同等か,と。NISAは福島の数字を37万TBq相当とした。原子力安全委員会は,日本では主要な役割を担うが,これは63万TBqとする。何れにせよ,INESのレベル7基準の玄関口を越えはしてるが,とはいえチェルノブイリの520万TBqよりひとけたたりない。

とはいえ,これは人体に対する危険についていうものでもない。ベクレルと言うのは放射性物質の崩壊の割合をいう。いっこの原子が一秒にどれだけ崩壊するか,それが一ベクレルの定義だ。一方,シーベルトというのは,先月の報道でしばしば用いられたものだが,ひとが放射線にさらされたときの医学的なインパクトをいう。

ベクレルの数が大きいからと言って,シーベルトの量に自動的に移せるわけでもない。『スリーマイル島やチェルノブイリや福島を比べるのは難しいことだ,というのも,放出された放射性物質は違うし,人口も違う』と英国の独立系原子力技術者John Large氏は言う。『ウクライナやベラルーシでは,基本田舎だったが,日本では割と集住してて教育も高度。国家の介入の仕方も違う。チェルノブイリでは大量の労働者が健康への顧慮もなく注ぎ込まれたけど,日本は民主主義だし』。

いくつかの地域では,日本は素早く決断して立ち入り禁止区域を設定した。人々に対する・食物に対するモニタリングを実施,ヨウ素剤を配布し,これらの施策は称賛を得た。そうして勧告も警告も結構出され,これはチェルノブイリの後の沈黙とは大いに異なっている。まあその,日本での勧告等々のタイミングや質については批判もあちこちから出てきてはいるが。

 以下,訳略。

 あーたとえばチェルノブイリの時期なら,記者会見の場で騒ぎ立てる人なんかいようものなら,いやまあなんというかうんいろいろ。な感じの末路になり果てかねないわけで。実際目の前で見ている我々としては,「なにこの社会主義状態」みたいな感想を抱かないでもないですが,決然たる社会主義国とは遙かに異なる状況でもまたあるわけでしょう。

 流石にお腹すいたしそろそろ寝た方がいい気がするので引き揚げるねー。

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