空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

…サンフォード政権かな、これ…

2018-01-10 12:07:04 | Newsメモ
時事 韓国、10億円を予算措置=慰安婦合意、再交渉求めず-「日本は名誉回復努力を」 2018/01/09-17:36

韓国の康京和外相は9日、慰安婦問題をめぐる「最終的、不可逆的な解決」を確認した日韓合意について記者会見し、新たな方針を発表した

元慰安婦らの「名誉・尊厳の回復と心の傷の癒やしに向けた努力の継続を期待する」と述べ、日本政府に自発的な対応を求めた

 …となると、「名誉・尊厳の回復」は未だなされていないとの判断だろうか。それは、繰り返しそう語ることによって常に彼女たちを貶めることになりはしないか。また、「日本政府に自発的な対応を求め」ることについては、例の十億円はそもそも使用されたことがなかったとの扱いになる予定とのこと、日本政府に手は限られる。

 また「合意時点での生存者47人のうち、36人が受け取ったか、受け取る意思を示している。だが、合意に反対する元慰安婦や市民団体からは、日本に10億円を返還するよう求める声が上がっていた」とあり、では36名と残りの11名を分離して話をするのは―まあ拒否されるんだろうなあ。

 康外相は「「被害者の望みは自発的な真の謝罪だ」と強調し、日本政府が新たな措置を講じることを暗に促した」、従って繰り返し行われた謝罪の声明、手紙などは全て真正性を否認され、またゼロからの振り出しである。

日経新聞 「日本に再交渉求めず」韓国が慰安婦対応方針
自国で10億円負担
2018/1/9 18:38

元慰安婦や遺族への現金支給の財源に充てた10億円は、一部の元慰安婦らが日本に返還すべきだと主張していた

 この「一部」は数字的には11名だろうか。1/4、25%であって、ちょっと無視するには難がある数である。だが、この25%がほかの75%を圧してよいかと言われても難である。

韓国政府は「被害者中心の解決策を模索していく」として再交渉を含めた対日要求を抑える一方、合意を順守する姿勢も示さなかった。日韓関係は不安定な状況が続きそうだ

 ということで日本政府としては「被害者中心の解決策」の模索、検討、実施について教えてくれるか、とききたいだろうところ、「なんかやって。うちの国民が納得しそうななんか」と丸投げされても、なんだのその、困るだろう。



 これは一理も十理もある。
 なにしろ、彼女たちは『名誉回復されていない』扱いの継続とあいなった。本来、日韓条約で数十年前に解決し、名誉は回復され、適切な保障等を受け取るべきだったところ、繰り返し政治のカードにされ、何度日本高官の謝罪の言葉を引き出しても、補償の金銭を出しても、和解へ向けての事業を行っても、『そもそも真の謝罪を受けたことがなく、名誉も回復されたことがない』扱いで、未だに『性奴隷として貶められた』ままである、という公式見解を、その所属する国家から、またしても認定されてしまった。

 今回、内心の思いはどうあれ、ともあれ「日韓合意を受け入れた8割近くの元慰安婦の方々」は、国際的に不名誉状態にあると祖国から断じられ―もしかしたらありえたかもしれない、日本の首相が来韓したついでに自分のもとで詫び言を言っていく姿を見ることなくこの世を去ることになろう。なにしろ、ここから状況を改善するウルトラCは、ほとんど考えがたい。

 …着実な合意内容遵守・執行を続けていれば、もしかしたらそれなりの人数が生き延びている間に、日本の首相がじかに会って詫び言を言う式がありえたかもしれないのに、少なくともそういう夢をみることはできたのに、可能性を自ら閉ざした。
 こうなったのも、韓国政府の立場を忖度して自発的にアタマを下げにこない日本が悪い、という理屈で押してくる韓国政府は、『銀英伝』を読み返している身には同盟のサンフォード政権のようにも見える。…帝国軍には、同盟政府の支持率のために負けてあげる義理はないですよねー。

銀河英雄伝説マニア ロイヤル・サンフォード

● 分析力
1点。およそ分析力というものを持ち合わせていない。この人は物事を客観的に見るよりも「どうなって欲しいか」ということに気を取られてしまう


毎日新聞 慰安婦問題 韓国方針 政権のアキレスけんに 玉虫色、対応に苦慮 毎日新聞2018年1月10日 東京朝刊

韓国の康京和(カンギョンファ)外相が9日発表した慰安婦問題に関する日韓合意への政府方針は、再交渉や破棄はしない一方、日本政府拠出の10億円(約95億ウォン)の取り扱いを保留するという玉虫色の内容だ。今後も文在寅(ムンジェイン)政権のアキレスけんとなりそうだ

 これは見事な「新聞文法」。出来るだけよさそうな形容で出来るだけ褒めるっぽい感じの字面をあてたら「玉虫色」ということなのだろう。

 歴代の新聞記者たちの苦衷のあとが垣間見える、その意味では見事な作文。

朝日新聞 日韓関係、政治利用した大統領府 慰安婦合意の検証 ソウル=牧野愛博2018年1月9日20時28分

 流石の朝日も「政治利用」という批判的雰囲気を持つ単語をあてた。

韓国政府は昨年末から、日韓慰安婦合意の扱いを巡って迷走した。複数の関係者の証言をたどると、文在寅(ムンジェイン)政権の高支持率の維持を重視した大統領府が、日韓関係の悪化回避を模索した韓国外交省を振り回した構図が浮かび上がる

 本文でも「迷走」という、割と批判的な言葉。

背景には、政権の外交省と外交官に対する強い不信感があった

 これも、不出来な組織に対する信頼はそもそもあるべきでない―ということで押していく立場もあろうが、国家の重要機関の間で不信感がのさばっている、というのはふつー悪い評価というべきだろう。

 もうちょっときっつい言い方を探せば:

読売新聞 社説 日韓慰安婦合意 文政権が骨抜きを謀っている 2018年01月10日 06時08分

自ら果たすべき約束は棚に上げ、日本側にさらなる譲歩を求める。韓国の文在寅政権の態度は、外交常識に外れ、非礼である。両国関係の破綻につながりかねない

 直球。

康氏は、元慰安婦が「自発的な真の謝罪」を望んでいるとし、日本側が被害者の名誉回復の努力を継続することへの期待も示した。合意に、安倍首相のおわびと反省の意が盛り込まれていることを軽視しているのだろう

 安倍如きのおわびと反省の意など取るに足らない―という態度を示されたなら、じゃあ取るに足らない人は出て行かないということで、と返したくなりますな。

 なお

赤旗 「慰安婦」問題 被害者の尊厳回復を 韓国、日本に期待 再交渉は否定 2018年1月10日(水)

 とあり、赤旗さんも「被害者の名誉と尊厳の回復」はなされていないとの立場。全プレイヤーが完全に納得する「満額回答」以外は認めない、とする妥協のない立場は、まあ実際の実務の責任のない立場ではよいかもしれないが、うんまあ、とも思う。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「本物はこういうもんだぞ」... | トップ | カヤック選手の件 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Newsメモ」カテゴリの最新記事