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言語聴覚士の独り言

病気は当人だけのものではない

昨日、失語症者向け意思疎通支援者養成講座にスタッフとして参加しました。

昨日は当事者(失語症者)の方に実際に来ていただいてイオンに買物に行きました。

何が欲しいか聞き取りながら当事者主体の買物をサポートします。

家族の方は会場まで送迎をお願いして、買物の間(2時間程度)は当事者と離れて待っていただきました。

当事者と支援者、スタッフが買物に出かけ、家族が見送る場面で、大変不安そうな奥さんがいました。

私は安心していただこうと「不安ですか?」と声をかけました。

すると奥さんは、「不安です。病気をしてからもう10年以上経ちますが、1人になるのは初めてです。と言われました。」

私は驚きました。

病気をして失語症になってから2時間以上の時間、ご夫婦は10年以上離れて過ごしていないという事です。

重症度や性格、夫婦の関係など様々な事が考えられますが、

改めて失語症の方が1人で外出するハードルが高いかを思い知らされました。

奥さんの心配をよそに当人はサポートを受けながら買物を楽しまれました。

それを見た奥さんも嬉しそうに喜ばれていました。

私はこの方の担当のセラピストでないので詳しいことは分かりませんが、

もし、この方が1人で買物は無理でも散歩程度ならできるとしたら、

今まで夫婦がそれぞれ別の時間を過ごせていなかったのは

失語症だけが問題なのではないのかもしれません。

病気になったのは当人でも奥さんも病気によって苦しまれていました。

改めて、病気を理解したボランティアスタッフがサポートする、この講座は意味があると感じました。

スタッフが増えて、失語症者の方がどんどん1人で外出が行え、その間、家族は安心して時間を有効に使っていただけるようになりたいです。
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