It is a dystopia novel reminiscent of Haruki Murakami, a senior in Waseda University's literature department. Compared to Haruki novels, which are somewhat difficult to read, Yoko Ogawa's works are wr . . . 本文を読む
やれフェミニズムだ、#metooだ、なんて騒いでいるわりには、Instaやtiktokではいかれたセレブの皆さんの「ほとんど裸じゃね♥️」と思われる動画や画像がてんこ盛りである。まさか、金持ち男の欲情をわざとかきたてて手を出してきた途端訴えて慰謝料がっぽり、なんてよからぬことを考えてるわけでもなかろうが、言っていることとやっていることが真逆なのだ。そんなに男が嫌いだったら . . . 本文を読む
私は全共闘が沈静化した後のいわゆるシラケ世代に属している。かつてのバリケード?を思い出させるからだろうか、大学校舎の仮囲いフェンスにペンキで殴り書きされた「打倒!○○○」などの威勢のよい標語が一体何を意味しているのか、その当時はほとんど理解できなかった。それが『あさま山荘事件』で内部瓦解していった学生運動のかすかな残り火であったことに気がついたのは、その後しばらく時間が . . . 本文を読む
一見綿密なる取材を行きし伝奇劇のやうにも思ふべけれど、漫画家荒木飛呂彦の分身にもことなき架空の人物に、擬古典主義の小説家幸田露伴の名を半分ばかり付けし、擬伝奇戯画を基に実世されしNHK劇なり。岸辺露伴役高橋一生のくまなき役作り、菊池成孔の預かりし何とも怪しき劇伴、かくて編集担当泉京香役飯豊まりゑのあさましきほどに艶なる脚線美をもちて、見るものはひとへに実在せるやのごとき迷宮に誘ひこまるるなり。され . . . 本文を読む
ほとんどの情報を書籍を介して入手したという筆者だが、岸辺露伴もおどろくほどのリアリティに触れられるサントリー学芸賞受賞のノンフィクションである。大物経営者や銀行家の自叙伝などを読むと(ほとんど読んだことはないのだが)実際には部下がやったことをさも自分の手柄のように脚色された武勇伝がズラリと並べられていて、にわかには信じがたいものばかり。だが、この世の中でたった一つ真実で . . . 本文を読む
こと経済学の分野においては、未来予想を的中させた学者の意見が幅を効かせるらしい。ちょっと前までは、グローバリズムの輝かしい未来を語る経済学者が全体の半分ぐらいを占めていたように記憶しているが、2023年のNHK正月特番に登場した学者や大学教授たちの中でそれを(自棄糞気味に)かたっていたのはわずか一人だけ。残りは全て未来悲観論者に鞍替えしていたのには本当に驚いた。ドイツと . . . 本文を読む
カズオイシグロが本書の背表紙にこんな書評を書いている。「至妙。『マザリング・サンデー』は愛と情欲、そしてイングランドの理不尽な階級制度の壁に立ち向かう真っ当な庶民の生き様を描いている」作家グレアム・スウィフトと同じブッカー賞作家として現在のような確固たる地位を英国で築くまでは、相当な差別を受けたであろうカズオイシグロ。貴族の息子と秘密の関係にあった元メイドの主人公作家の物語にイシグロの半生をオーバ . . . 本文を読む
監督吉田大八の小津安二郎に対するリスペクト、そして脚本家坂元裕二に対するライバル意識がストレートに表に出ている夫婦ドラマ。人気ドラマ脚本家野田隆介(リリー・フランキー)にその妻今日子(小林聡美)が離婚を申し入れるシーンから始まる物語は、離婚の理由を調停中に見つけようとする夫婦を(坂元裕二風に)トリッキーに描いている . . . 本文を読む
1990年出版された、ノーベル文学賞受賞作家オルハン・パムクによる最大の問題作。新聞コラムニストとして西欧諸国からも注目されている従兄弟ジェラールが突然の失踪、彼の書いたコラムを手がかりにその行方を探す弁護士ガーリップ。一応推理小説仕立てになってはいるが、80年代日本でも一時ブームとなった記号論を内部にとり込んだ、トルコ文明論といってもよいほどのアカデミックな読み物である。古今東西の記号とその象徴 . . . 本文を読む
その昔登山中の滑落事故で全治6ヶ月の大怪我をおって、このノンフィクションに書かれている筋ジストロフィー患者鹿野のような寝たきり生活を送ったことがある。現地の病院に入院して3ヶ月間は、歩くことはもちろん起き上がることも出来ない状態で、ひたすらベッドの上で横になったまま、まずい病院食を食べ、糞して寝ること以外にまったくできることがなかったのである。入院中、何が一番つらいかというと、小便はともかく、ベッ . . . 本文を読む
GYAO!で無料配信されていた海外ドラマをたまたま見ていたら、♪Parsley, sage, rosemary and thymeの懐かしのメロディ...おお、サイモン&ガーファンクルの名曲かと思ってググってみたら、原曲はなんとイギリスに古くから伝わる民謡だとか。S&Gはその民謡に独自のアレンジをして反戦歌に仕上げたんだって、彼ららしいですね。で、ドラマの方とはといえ . . . 本文を読む
夫と息子を同時に失った女流作家アリス。ワヨワヨ島のならわしによって島を追放させられた先住民アトレ。時空を越え2人が出会うまでが綴られたカットバックリレーは、およそ現実離れしたSFテイストがなんとも新鮮。しかし、大学教授の職を辞してまで環境活動家に転身した作家のイデオロギーが直接反映された後半の展開は、本来のストーリーに無理やり後づけされたような違和感を感じずにいられない。特にエコテロリストと技術者 . . . 本文を読む
ポーランド生まれのノーベル賞受賞作家オルガ・トカルチュク3作目を読み終えた。中心となる短編が5~6篇あり、その間にチョコチョコと息抜き的なエッセイが入る構成になっていて、集中力が長時間続かない我々のような年寄やゲーム&スマホ脳の若者にも優しい作品だ。とにかく読んでいて疲れない、それが本作の魅力の一つといえるだろう。そのエッセイパートで、重要なモチーフとして登場するのがなぜか“ . . . 本文を読む
この本の中に書かれている“旅”と“人体解剖標本”が、自分の中で最後まで結びつかなかったのだが、皆さんは読後どんな感想を持たれたのだろう。書評やあとがきには、マクロとミクロの対比とか、ミクロの決死圏を思わせる人体探求の旅に無理やり結びつける強引な記述がみられるが、ご本人も確信がもてないまま書かれたりしていないだろうか。挿し絵イラストがまたいただけない。文中に登場するある特定エリアの詳細地図なのであろ . . . 本文を読む
ポーランド国境近くにある架空の村プラヴィエクを舞台にした物語。そこは宇宙の中心であり、村の住民はもちろん動物の霊魂に聖母、天使や神さえも共存している摩訶不思議なトポスなのである。ノーベル文学賞受賞の女流作家オルガ・トカルチュクが世界に注目されるきっかけとなった小説である。一読すると、第一次大戦後から民主化にいたるポーランドの歴史的寓話ともとれるし、その時代ごとにジェンダー差別を受け続ける女性たちの . . . 本文を読む