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ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ムネオとプーチン④

2023年10月16日 | 映画評じゃないけど篇
「閣下、ご無沙汰しております」「なんだ君か。わが国の勝利を祝してくれたのは有難いが、そのせいで離党になったらしいじゃないか」「中国の後ろ楯がなければ何もできない党など、こちらから願い下げです」「相変わらず強気だね」「ところで閣下、今回のハマスによる人質誘拐の件は?」「はじめに言っとくけど、わがロシアは今回の事件にはノータッチだよ」「閣下のポチ(メドべージェフ)が世界に先駆けてコメントを出されていま . . . 本文を読む

地図と領土

2023年09月25日 | 映画評じゃないけど篇
完成間近の『ダミアン・ハーストとジェフ・クーンズ、アート市場を分け合う』とタイトルが付けられた絵画に、主人公のフランス人アーティストジェド・マルタンがパレットナイフを突き立てる場面からお話が始まる。90年代の現代アート市場で最も成功をおさめた2人の作品をググッてみるといい。ホルマリン漬けの🦈や的屋のオッサンが風船を丸めて作ったようなカラフルな🐩のどこが芸術なのか、は . . . 本文を読む

オッペンハイマー 上 原爆の父と呼ばれた男の栄光と悲劇

2023年09月07日 | 映画評じゃないけど篇
「お前、わざわざ台湾行って映画見てきたんだろ、どうだった?」「弾丸ツアーだったんで....疲れてたのかなぁ」「まさか」「爆沈💤す」「バッカじゃねえの、もったいねぇ」「まあ一種のイベントっつうか。彼女は喜んでたんでよしとします」「彼女なんて言ってた」「なんか打ちのめされたって言ってましたよ。飛行機の中でもずっと寝てたし」「へぇー、あのノーランだけにどうせ難解なんだろ&# . . . 本文を読む

オッペンハイマー 下 原爆の父と呼ばれた男の栄光と悲劇

2023年08月22日 | 映画評じゃないけど篇
ある世界史の授業の一コマ。「先生、“原爆の父”と呼ばれる人の伝記映画が日本で公開されないのはなぜなのでしょう?」「そりゃきみ、日本の映画配給元会社に聞いてくれよ」「戦後80年近く経っているのに、原爆を広島と長崎に落とされたことをいまだ日本人が根に持っているからですか」「広島だけで20万人の日本人が犠牲になっているんだよ、気にしない方がおかしいだろ」「でも、壊滅的被害を受けた広島や長崎 . . . 本文を読む

素粒子

2023年08月14日 | 映画評じゃないけど篇
非モテ短小男の性遍歴を赤裸々に綴った本作は、作家ミシェル・ウェルベックの自伝的小説であるという。両親に育児放棄された作家は祖母宅に預けられ親の愛を知らずに育ったのである。小太りのチビとくれば当然のごとく同級生からは苛められ、いいなと思ったあの娘からはガン無視される。その反動であろうか、性欲だけは人一倍の作家の分身ブリュノ少年はところかまわずマスタベーション&射精を繰り返す。遂には女の子の前 . . . 本文を読む

服従

2023年07月20日 | 映画評じゃないけど篇
ミシェル・ウエルベックが書いた『服従』は、実在政治家の実名がビシバシあがっているせいだろうか、イスラム系移民の暴動がきっかけでフランス初のイスラム政権が誕生する顛末は、現代のフランス及びEUが抱えている社会諸問題と密接にリンクしているため既視感をかきたてられる。その「さもありなん」な展開が興味をそそったのだろう、フランスのみならずヨーロッパ全土やなんとイスラエルでも翻訳され大変な話題にのぼったらし . . . 本文を読む

存在の耐えられない軽さ

2023年07月05日 | 映画評じゃないけど篇
60年代後半にチェコスロバキアで起きた、共産主義による自由民主化運動『プラハの春』をサポートしたクンデラ、その後、68年のソ連軍事侵攻に伴う『正常化』によって国籍をはく奪、チェコから追放されてしまう。作家の共産主義に対する期待と幻滅は、そのままヨーロッパ左翼運動の限界と呼応するように、その時代に生きた4人の男女(トマーシュ、テレザ、フランツ、サビナ)の複雑な恋愛模様に投 . . . 本文を読む

さびしい宝石

2023年06月19日 | 映画評じゃないけど篇
どうもモディアノの小説はホン・サンスの映画のようにクセになる。ページ数も少ないし、小難しい表現も特に見当たらない、読前に仕入れておかなければならない情報もほとんどないといってもいい。要するに読みやすいのだ。全編に漂う夢遊病患者的な浮遊感は、時代がいまならサウナ後に味わえる“ととのった感じ”、あるいは、ブロン漬けの若者がよく言う“ふわふわ感”に似ているのかもしれない。幼い頃、おそらくはナチス協力者だ . . . 本文を読む

暗いブティック通り

2023年06月09日 | 映画評じゃないけど篇
作家パトリック・モディアノの両親は、ナチスドイツ占領下のパリで出会い、ドイツ降伏後すぐにパトリックが生まれている。ベルギー生まれのオランダ人である母親は女優業のため家を留守がちで、イタリア系ユダヤ人の父親はゲシュタポ相手の闇取引に関わっていたという。本小説は記憶喪失の男が「わたし」が何者なのかを探し求めてフランス各地をさ迷うミステリー仕立てになっているのだが、探しあてた当人(わたし& . . . 本文を読む

冗談

2023年06月02日 | 映画評じゃないけど篇
「わたしは4人の登場人物を、その個人的な共産主義世界がそれぞれ4つのヨーロッパの過去に接木されるようにつくりだした。ルドウィークはヴォルテール的な辛辣な精神のうえに育つ共産主義、ヤロスラフは民俗行事の中に保存されている家父長的な過去の時代を再構築したいという願望としての共産主義、コストカは福音書に接木された共産主義的ユートピア、ヘレナは感傷的人間の熱狂の源泉としての共産主義である。これら個人的な世 . . . 本文を読む

ラーゲリから来た遺書

2023年05月03日 | 映画評じゃないけど篇
ダモイ(帰国)の願いもむなしく、ハバロフスクの収容所において咽頭癌に罹患し無念の死を遂げた山本。その山本が書いた遺書をソ連憲兵に見つからぬよう、収容所仲間が頭の中に記憶して帰国後遺族に伝えた感動実話である。が、本書の中で山本を聖人化するような逸話がドラマ仕立てで語られているため、純粋なノンフィクションとジャンル分けされるにはちと語弊がある気がする。歴史上の有名人をまるで . . . 本文を読む

不安

2023年04月18日 | 映画評じゃないけど篇
ノーベル文学賞受賞作家ペーター・ハントケが本小説の中に書いている“不安”とは、一体何に対する“不安”なのだろうか。卑近な例をあげさせていただくとすれば、こんな時に感じる不安に似ているのかもしれない。・頼みもしない大学の入学願書を勝手に担任教師が書いてよこしてきた時に感じた不安。・SEXの最中、彼女が次にどんな体位をとるか先に読めてしまった時に感じた不安。・どこぞの会社の重役の父ちゃんがいる同僚が、 . . . 本文を読む

ゴドーを待ちながら

2023年03月22日 | 映画評じゃないけど篇
20世紀に書かれた最も重要な作品の一つ、本作をそう評したのは寺山修司である。二人の物乞いがゴドーと待ち合わせしている間、暇をぶっこいているだけのたわいもない会話劇だ。そのどこが重要なのか?文字で書かれている戯曲本を読んでも、その凄さは伝わらないという。主要登場人物の一人であるポッツォの正体を作家サミュエル・ベケットに聞いても、「私にもわからない」のつれない返事があっただけで、演者が降 . . . 本文を読む

幸せではないが、もういい

2023年03月18日 | 映画評じゃないけど篇
ドイツ語で、『これ以上ないほどの幸福』の反語表現(Wunschloses Unglück)がタイトルになっているという。日本ではヴィム・ヴェンダース監督『ベルリン・天使の詩』の脚本を書いたことで知られているペーター・ハントケ初期(1972年)の代表作である。選考委員の中にセクハラ男がいたことが発覚し、一時は廃止やむなしの声が上がっていた201 . . . 本文を読む

こちらあみ子

2023年03月07日 | 映画評じゃないけど篇
私の隣の席には、発達障害と思われる男性社員が座っている。パワハラ扱いされたらかなわんので、ハッキリとしたことは聞けないのだが、ご本人は単なる無呼吸症と勘違いしていて、通院している病院の医者からもそれ用の薬を処方してもらっているらしい。寝坊による遅刻の常習犯で、毎日着ているコートやスラックスはシミだらけ、髪の毛は寝癖でいつも逆立っており、マスクの下の鬚はボウボウだ。勤務中もしょっちゅう居眠りをぶっこ . . . 本文を読む