ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ニンフォマニアックVOL.1&2

2024年08月11日 | なつかシネマ篇
ほとんどボカシが意味をなしていない性器、性器、性器のオンパレード。ポルノさながらの本番プレーや、SM、堕胎、レズにスカトロまで、1&2合わせて5時間半という長尺におさめたラース・フォン・トリアー、完全にイってます。『アンチクライスト』『メランコリア』に続く“鬱”三部作のトリをつとめる本作は、下世話なコメディなのかダークな悲劇なのか、いまいちとらえどころがない1本だ。基本的には、天に唾を吐き . . . 本文を読む

ローズマリーの赤ちゃん

2024年08月06日 | なつかシネマ篇
アイラ・レヴィンの原作スリラーを読んで、即OKをだして監督を引き受けたポランスキー。この原作小説、実は当時のアメリカで社会問題化していたサリドマイド児を、ローズマリー(ミア・ファーロウ)が身籠った悪魔の子に見立てているそうな。隣に住んでるお節介な婆さんが体調の優れないローズマリーにやたらと差し入れる怪しい飲み物とケーキや、医者が処方する独自漢方薬は、サリドマイド禍の原因 . . . 本文を読む

ツイスター

2024年08月05日 | なつかシネマ篇
先週の金曜日、明らかに行動がおかしい小金持ち風の涙目老人が向かいのシルバーシートに座っていたのです。超特大の爆弾低気圧に突如みまわれた日本株式市場の影響をモロに受けたに違いありません。本作のラストシーンに登場するF5クラスのCG🌪️も、それに負けず劣らず一見の価値があるのです。🐄さん、🚚、🚜ついでに人の住んでいる . . . 本文を読む

隣人 The Neighbors

2024年07月23日 | なつかシネマ篇
同じアパートに住む隣人がもしも連続殺人鬼だったら。大体自分家の玄関先で、大量に飛び散った血液をモップでぬぐっていたりしたならば、大概バレそうな気がしないでもないのだが、この犯人観ているこちらがじれったくなるほどなかなか捕まらない。基本10日おきに殺人の衝動にかられる犯人のターゲットはいたいけな少女たちなのだが、自分を疑っている住人たちも部屋に連れ込んでは殺した後バラバラにしてスーツケースに詰め込ん . . . 本文を読む

2024年07月21日 | なつかシネマ篇
2004年に撮られた『うつせみ』に引き続き本作も、キム・ギドクお得意の無言劇となっている。といっても、釣り船の船長である老人ともうすぐ17才になる少女以外の釣り客は劇中普通にしゃべっているわけで、このあたりは前作の『うつせみ』と全く同様に聖と俗とを分け隔てるための演出なのだろう。一見すると、いたいけな少女を汚ならしい船に監禁する変態爺さんのエロ話のようにも思えるのだが、そこはギドク、まるでおとぎ話 . . . 本文を読む

ポエトリー アグネスの詩 4Kレストア版

2024年07月19日 | なつかシネマ篇
韓国の巨匠にとって映画とは「アイロニーの芸術」だという。ムン・ソリが同じ障害者の男にレイプされる同監督の問題作『オアシス』同様、本作にも要介護老人と初期認知症の介護士オバサンとのSEXシーンが登場する。男性機能をこのまま失いたくない金持ちの老人に対し、同居している孫がおこした集団レイプ事件の示談金創出のため、ミジャ(ユン・ジョンヒ)はお金と引き替えに男との性交に同意する . . . 本文を読む

親愛なる日記 レストア版

2024年06月25日 | なつかシネマ篇
ナンニ・モレッティ本人のナレーション「親愛なる日記くん」から始まる本作は、モレッティ自身の肺癌闘病あけに撮られているせいか妙に明るい。今までのシリアスムードな作風はほとんど感じとれないといってもよいだろう。私は、サーシャ・バロン・コーエンが撮ったモキュメンタリーにどこか雰囲気が似ているような気がしたのだが、さすがにイタリア人としての美学がそれを許すはずもなく、お下劣きわまりない下ネタは一切なしなの . . . 本文を読む

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア

2024年06月05日 | なつかシネマ篇
本作の原作小説『夜明けのヴァンパイア』にパクリ疑惑があるのをご存知だろうか。萩尾“レジェンド”望都による少女漫画『ポーの一族』の人物設定や世界観にクリソツなのである。刊行時期がほぼ同一なため、どちらがどちらをパクったのかハッキリと白黒つけられないのだが、当時の日米情報格差から類推しても萩尾がパクったとはまず考えにくい。実母の心理的束縛からの解放を漫画の深層に埋め込んだと言われる『ポーの一族』に対す . . . 本文を読む

黒水仙

2024年06月03日 | なつかシネマ篇
黒い水仙はこの世には存在しない“幻の花”、そして水仙の花言葉は“うぬぼれ”だそうだ。デボラ・カーが布教のためヒマラヤの断崖に佇む元娼館に派遣されるシスター・クロードを演じている。しかしこの映画なにかけったいな印象を受ける一風変わった作品なのだ。シスターたちのバックに写っている山々は誰がどう観ても背景画だし、あんな格好でヒマラヤ高地の寒風に耐えられるはずがないと思えるほど、皆さん薄着なのである。メイ . . . 本文を読む

いつか読書する日(2回目)

2024年05月29日 | なつかシネマ篇
前回鑑賞した時も思ったのだが、田中裕子演じる大場美奈子の生き甲斐が“読書”ではなくなぜ“牛乳配達”なのかが直ぐにピンと来なかったのである。もともと文才のある美奈子である。本の虫となって、本作に登場するおばさん(渡辺美佐子)のような小説家という設定が自然な流れだと思うのだが、脚本を担当した青木研次は、朝は牛乳配達、昼はスーパーのレジ係という過酷な肉体労働で主人公の美奈子を . . . 本文を読む

ブローニュの森の貴婦人たち

2024年05月12日 | なつかシネマ篇
映画特に巨匠と呼ばれる監督が撮った作品は、はからずも出演した俳優の未来を占っていることがままある。フランコ将軍に敗れフランスに逃れた元スペイン人民戦線首相の娘であるマリア・カザレス。彼女が主役をつとめた本作は、長きにわたり愛人関係となった作家アルベール・カミュとマリア・カザレスの未来をものの見事に予言しているのである。『罪の天使たち』に続くロベール・ブレッソンの長篇2作目となる本作品は、同監督作品 . . . 本文を読む

桐島、部活やめるってよ

2024年05月04日 | なつかシネマ篇
大胆な脚色には定評のある吉田大八監督初期の代表作。おそらく原作小説では主人公なのだろう“桐島”という万能生徒がとうとう最後まで姿を現さない大胆すぎる演出、その桐島がバレー部を辞めたとある金曜日の放課後、同日同時刻の出来事をノーランの『ダンケルク』を思わせるクロスカッティングで何度も何度も繰り返す演出が抜群の効果を発揮している青春群像劇なのである。神木隆之介、東出昌大、橋本愛、太賀といった後にブレー . . . 本文を読む

ギフト

2024年04月22日 | なつかシネマ篇
こういう映画を掘り出し物というのだろう。アメリカ南部の田舎町を舞台にしているスピリチュアル・ホラー作品に、なぜか大物スターたちが大集結しているからである。ケイト・ブランシェット、キアヌ・リーブス、ヒラリー・スワンク....ケイト・ブランシェットは『エリザベス』で、ヒラリー・スワンクは『ボーイズ・ドント・クライ』でオスカー主演女優賞を獲得したばかりだし、キアヌはマトリックス3部作撮影の合間をぬって . . . 本文を読む

ストロンボリ

2024年03月30日 | なつかシネマ篇
『無防備都市』を観たイングリッド・バーグマンは、ロッセリーニに対して熱烈なラブコールを手紙にして送った。「あなたと一緒に映画を作りたい♥️」気をよくしたロッセリーニはかねてからあたためていた映画の構想をバーグマンに滔々と語ったという。そのバーグマン×ロッセリーニの第一作目がこの『ストロンボリ』である。(映画同様)撮影中いい仲になり、お互いに家庭を持ちながら . . . 本文を読む

白鯨

2024年03月29日 | なつかシネマ篇
広く知られていることだが、スターバックス・コーヒーの社名の由来は、この原作小説に登場する一等航海士の名前にあるらしい。その原作小説には、“モヴィー・ディック”こと白鯨を“男性器”のメタファーとして描いた箇所も多々発見できるらしく、ゲイ文学のレイヤーを身に纏った古典としても再評価されているのだとか。また、鯨にまつわるマニアックなトリヴィアにかなりのページ数を割いており、メルヴィルの衒学趣味的一面も感 . . . 本文を読む