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ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

現金に手をだすな

2025年03月27日 | なつかシネマ篇
映画公開当時、ジャン・ギャバン は50歳、ジャンヌ・モローは 26歳、リノ・バンチュラ は35歳である。現代の平均寿命に当てはめれば、50歳なんてまだまだ男盛りで老け込むには早いような気がするのだが、このギャバンそろそろ現役引退を考えている大物ギャング=マックスを演じている。空港でせしめた“金の延べ棒”×8本を換金して、悠々自適の老後を送ろうと準備をしていたマックスだが、相棒のリトン( . . . 本文を読む

冬の小鳥

2025年03月22日 | なつかシネマ篇
韓国俳優の自殺が続いている。ついこの間麻薬常習を疑われたイ・ソンギュが自殺したばかりだというのに、今度は天才子役とうたわれたキム・セロン(24)だ。酒酔運転による事故で発生した多額の損害賠償を苦にした自殺と言われている。この度国連親善大使に就任した日本の元天才子役芦田愛菜(20)とは対照的な、韓国芸能界の闇を感じずにはおれない痛ましい事件である。実は本作にも、父親(ソル・ギョング&# . . . 本文を読む

阿修羅のごとく

2025年03月16日 | なつかシネマ篇
TVドラマ用に向田邦子が書き下ろしたシナリオを一本の映画にまとめたせいか、はしょり感は否めない。今までピンシャンしていた男が突然倒れたり復活したり、夫の浮気を心配する老妻がいきなり倒れて帰らぬ人になったり、恋愛とは無縁だった女が突如としてコクられたり、浮気相手の女が偶然結婚することになってすべてが丸く収まったり...ご都合主義といえばそれまでだが、1979年から80年の飛ぶ鳥を落とす勢いだった昭和 . . . 本文を読む

アニー・ホール

2025年03月02日 | なつかシネマ篇
全編に溢れるおしゃべりと長回し、ブレヒトを意識した“第四の壁”演出、陰鬱なNYと陽気なLAの二項対比...ウディ・アレンの映画スタイルを確立させたといわれる本ロマンチック・コメディは、日本でも大変人気があるのだとか。まるで平成天皇と美智子様の出会いのように、ある日テニスコートで出会い惹かれあったアルビー(ウディ・アレン)とアニー(ダイアン・キートンA . . . 本文を読む

美しき仕事 4Kレストア版

2025年02月27日 | なつかシネマ篇
この映画何といってもわかりにくいのが、ラストのダンスシーンである。レオス・カラックス作品の常連俳優として知られているドゥニ・ラヴァン。『汚れた血』における、デヴィッド・ボウイ“モダン・ラブ”の軽快なリズムにのって街中を踊りながら疾走するシーンが、私には強烈なイメージとして残っているのだが、(本作ラストの)ゲイっぽい黒い衣装に身を固めたドゥニの“死のダンス”は本当にお見事。軸がまったくぶれずにターン . . . 本文を読む

ピクニックatハンギング・ロック 4Kレストア版

2025年02月26日 | なつかシネマ篇
本作の試写を観終わった映画関係者がコーヒーの入ったカップをスクリーンに投げつけて「Whodunit?!」と叫んだといいます。一見名門女学校の生徒2人と女教師1人が、ピクニックに出掛けた“ハンギングロック”で失踪、その真相を探るミステリーのような体裁をしていますが、監督のピーター・ウィアーはまったく違った観点でこの映画を撮っていると思います。原作は、ジョーン・リンジーというオーストラリ . . . 本文を読む

エル・スール

2025年02月21日 | なつかシネマ篇
「シナリオでは二時間半を予定していました。全篇は二部に分かれ、第一部が北部を、第二部が南部を舞台とするはずでした。南部に物語が移ってからを一時間と考えていたのです。しかし、途中で後半部分が財政的に無理だとわかったので、第二部のために撮ったいくつかのシーンは編集で切らなければならなくなってしまった。大変残念なことです。そこでは、私の母親も、父親役のオメロ・アントヌッティも素晴らしい演技を行っている . . . 本文を読む

ミツバチのささやき

2025年02月15日 | なつかシネマ篇
「このガラス製のミツバチの巣箱では、蜂の動きが時計の歯車のようによく見える。巣の中で蜂たちの活動は、絶え間なく神秘的だ。乳母役の蜂は蜂児童房で狂ったように働き、他のはたらきばちは生きた梯子のようだ。女王蜂はらせん飛行、間断なく様々に動き回る。蜂の群れの報われる事のない過酷な努力、熱気で圧倒しそうな往来、房室を出れば眠りはない。幼虫を待つのは労働のみ。唯一の休息たる死もこの巣から遠く離れなければ得ら . . . 本文を読む

ハードエイト

2025年01月26日 | なつかシネマ篇
PTA初期の作品には“擬似父子”をテーマにしたお話が非常に多い。『ブギーナイツ』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』『ザ・マスター』、そして長編デビューとなる本作も、ベガスで一文無しになったジョン(クリス・ライリー)に救いの手をさしのべる赤の他人シドニー(フィリップ・ベイカー・ホール)の物語である。大富豪から莫大な遺産の相続人に指名された男を主人 . . . 本文を読む

ひつじ村の兄弟

2025年01月04日 | なつかシネマ篇
40年前に喧嘩して以来口をきかなかったアイスランドの羊飼い兄弟が、仲直りするまでを描いたヒューマンドラマと思いきや....劇中なぜか兄さんの方のフルチンショット(ボカシつき)がやたらと出てくるなと思っていたらなるへそ、ラストはヤッパリそうきましたかという、“じいさんずラブ”しかも近親相姦のおまけつきゲイムービーだったのです。(弟の)ホモフォビアをオチにもってきたコメディ . . . 本文を読む

アバウト・シュミット

2025年01月02日 | なつかシネマ篇
『ホールド・オーヴァース』が久々のスマッシュヒットとなったアレクサンダー・ペイン。この人が撮った映画にハル・アシュビーの影響を認める人は多いが、2003年のゴールデングローブ賞を総ナメした本作も、保険会社を定年退職した男が妻に先立たれ、娘の結婚式会場へとキャンピングカーを一人走らせるロードムービーになっている。この映画を劇場で見たときは、ジャック・ニコルソンのいかにもという役作りが鼻について今一ピ . . . 本文を読む

はじまりのうた

2024年12月26日 | なつかシネマ篇
最近の出演作を見ると、マストロヤンニレベルの“胡散臭さ”まで漂いはじめてきたハリウッドきっての演技派俳優マーク・ラファロが、男ができた奥さんに家を追ん出された元敏腕音楽プロデューサーを演じている。ミュージックビデオ出身のアイルランド人監督ジョン・カーニーも絶賛のその演技、自分が立ち上げたレーベル会社からもクビを言い渡され、一人娘にも相手にされずアルコールに溺れ、自殺しようとまで思い詰めていたどん底 . . . 本文を読む

チャンス

2024年12月02日 | なつかシネマ篇
アメリカン・ニューシネマを代表するハル・アシュビーの映画というよりも、俳優キャリアにおいてどん底をさ迷っていた頃のピーター・セラーズが起死回生一発逆転を狙った作品といえるのだろう。アメリカ大統領も動かすほどの大物財界人のセレブ豪邸という、ハル・アシュビーらしからぬ舞台設定もさることながら、セレブ夫人役シャーリー・マクレーンとの視姦&オナニープレイは、“ピンク・パンサー”譲りのお色気シーンを . . . 本文を読む

エドワード・ヤンの恋愛時代 4Kレストア版

2024年11月24日 | なつかシネマ篇
90年代経済成長著しい台北が舞台の青春群像劇だ。カップルとおぼしき男女が複数登場するのだが、誰が誰と付き合っているのか映画中盤になるまでなかなかわからない不思議な映画なのである。台湾ニューシネマを代表する映画監督エドワード・ヤンは『牯嶺街少年殺人事件』(未見)を撮った後、次に「(敬愛する)ウディ・アレンのような映画を撮るんだ」と周囲に公言して . . . 本文を読む

ハンナとその姉妹

2024年10月27日 | なつかシネマ篇
オルコットの『若草物語』、ベルイマンの『叫びとささやき』、子供の頃欠かさず見ていたNHK子供向けドラマ=ローラ・インガルス・ワイルダー原作『大草原の小さな家』なんかもすべて、チェーホフ四大戯曲の一つあげられる『三人姉妹』をベースにしているらしい。ブロードウェイをこよなく愛するNY在住の映画監督ウディ・アレンが、その古典戯曲を現代劇に置き換えたお洒落ーなラブ・コメディである。長女ハンナ( . . . 本文を読む