ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ザ・マジックアワー

2008年12月18日 | ネタバレなし批評篇
タイトルの『ザ・マジックアワー』は「人生で最も輝く瞬間」を意味するらしい。今年2月に亡くなった邦画界の巨匠市川昆も自ら映画監督に扮して出演しており、映画へのオマージュがふんだんにもりこまれたコメディ作品だ。伝説の殺し屋デラ富樫をめぐるドタバタ劇は、いつもながらの三谷幸喜らしい演劇的演出が施されているが、登場人物の会話などが前3作に比べると映画チックな“間”に変っている点に注目したい。

事情を知らされず偽デラ富樫にキャスティングされた村田(佐藤浩市)は、根っからの映画バカ。ありもしない撮影を本当だと思い込んで殺し屋を演じる村田のボケっぷりと、それを取り繕おうとする周囲の人間のあわてぶりが本作品の見所となっている。映画終盤、村田がはからずも自らのマジックアワーを鑑賞するシーンは映画愛にあふれており、『ニューシネマ・パラダイス』のラストシーンに合い通ずるものがある。

しかし、三谷作品を見終わった後に(いつも)“浅さ”を覚えるのはなぜだろう。デフォルメとよべるほどに単純化されたキャラクター設定にどうしても“深み”を感じないのだ。<騙される人><騙す人><惑わす女><尽くす女>。別に飛行機の安全マニュアルではないのだから、ここまでわかりやすく整理しなくてもいいのではないか。<騙される人>が<騙す人>に変化するカオスこそ映画の魅力なのだから。

ザ・マジックアワー
監督 三谷幸喜(2008年)
〔オススメ度 

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日本インターネット映画大賞募集中 (日本インターネット映画大賞スタッフ)
2008-12-19 12:50:55
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