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ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ローマ法王の休日

2025年04月06日 | ネタバレなし批評篇
先頃日本で公開された『教皇選挙』とは真逆といってもいい内容です。グローバリストによるグローバリズムのための映画だった『教皇選挙』に対し、ナンニ・モレッティ曰く、バチカンにまつわる(幼児性愛や同性愛等の)時事問題とは一切関係のない内省的な作品らしく、コンクラーベで法王に選ばれたメルヴィル(ミシェル・ピコリ)ならびにコンクラーベ会場内で悩める法王 . . . 本文を読む

めくらやなぎと眠る女

2025年04月05日 | ネタバレなし批評篇
「かえるくん、東京を救う」「バースデイ・ガール」「かいつぶり」「ねじまき鳥と火曜日の女たち」「UFOが釧路に降りる」「めくらやなぎと眠る女」ハルキムラカミの短編6編をうまく融合させた本アニメの構成は、濵口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』と同じだ。ついでに言わせていただければ、上記6編とも2011年前に上梓されているにも関わらず、このフランス人アニメーターは東北大震災直後の日本を舞台にした物語にわ . . . 本文を読む

そして僕は途方に暮れる

2025年04月03日 | ネタバレなし批評篇
主人公の裕一くん(藤ケ谷太輔)は、一体何から逃げ続けていたのだろう。マエアツ演じる里美に浮気を見破られ、すごむ里美から逃げるようにして部屋を後にする。その後厄介になった友人のシンジ(中尾明慶)には自分の出したゴミの後始末や、寝床の準備までやらせたために逆ギレされ部屋を半ば追い出される。さらに世話になった先輩には浮気した女を部屋に呼ぶようけしか . . . 本文を読む

マッドマックス:フュリオサ

2025年03月24日 | ネタバレなし批評篇
「朽果てていくこの世界で、どう狂気に抗えと?」冒頭賢者が観客に問う意味深な言葉。ラテン語で“狂気”を意味するディメンテス(クリス・ヘムズワース)に母親を殺されたフュリオサ(アニャ・テイラー・ジョイ)の15年にわたる復讐譚である。ヒロインの名前通り、狂気に対して“怒り”を持って抗えば、その者もやがて狂気にのみ込まれる。ニーチェでは . . . 本文を読む

侍タイムスリッパー

2025年03月22日 | ネタバレなし批評篇
米農家との兼業で映画を撮り続けてきた安田淳一監督の執念が実ったのか、インディーズながら全国展開へ、ほんでまさかの超ロングランを記録。おまけに日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた2024年の大ヒットムービーどす。映画を撮り上げた時は、銀行預金残高が7000円やったちゅうさかい驚きや。過去、私財を作品に突っ込んでそのままま消えていった監督がぎょうさんおいではった中で、この安田監督まだ運がええほうやろう . . . 本文を読む

フランス

2025年03月21日 | ネタバレなし批評篇
これまでにも、自己矛盾の塊のようなヒロインをずっと描き続けてきた鬼才ブリュノ・デュモン。今作では、女優として油ののりきったレア・セドゥにTV局の人気キャスターを演じさせている。しかし、本作を普通の映画だと思って観ると手痛いしっぺ返しを食らう羽目になる。哲学畑の人が映画を撮ると、ゴダールやテレンス・マリックを引き合いに出すまでもなく、限りなくひとりよがりな映画に陥ってしまうことが多いようだ。それが“ . . . 本文を読む

NIMIC

2025年03月19日 | ネタバレなし批評篇
なんだこりゃ。わずか12分たらずの短編ながら、ヨルゴス・ランティモスがそこに何かしらのメッセージを仕込んだことは明らかだ。しかしこのギリシャ人監督のメッセージは実に分かりにくい。おそらく過去作を探したところで似たような作品が一つとして見当たらない、“オリジナル”に拘った監督さんだからだろう。『聖なる鹿殺し』(2017)ではEU批判を、『女王陛下のお気に入り』ᦀ . . . 本文を読む

恋するプリテンダー

2025年03月17日 | ネタバレなし批評篇
ハリウッドにとうとう下ネタコメディが帰ってきた。2000年前後に沢山作られたロマコメは結構際どい下ネタ満載で、それはそれはお下劣で江頭2:50がかわいく見えるほど。それがどうだろう、オバマ“リベラル”大統領の登場によりこの手の映画はすっかり姿を消し、代わりにその座についたのは“LGBTQ”という今まで誰も見向きもしなかったキワモノジャンル。あのデップーとてその波には逆らえず、ノンケなのかゲ . . . 本文を読む

82年生まれ、キム・ジヨン

2025年03月15日 | ネタバレなし批評篇
韓国フェミニズム・ブームの先魁ともいえる同名ベストセラー小説を映画化、未だに家父長制が根強い韓国においては異例の大ヒットになったのだとか。オバマ-バイデン時代にリベラルが必死になって拡散したフェミニズム・ブームも、トランプが大統領に返り咲いてからはすっかり尻つぼみ、莫大な広告費をかけたフェミニズム・ムービー『バービー』も日本では大ゴケで、あっという間にアマプラ配信コンテンツになり下がったことも記憶 . . . 本文を読む

ビーキーパー

2025年03月15日 | ネタバレなし批評篇
ジェイソン・ステイサム演じるアダム・グレイが、なぜ養蜂家であらねばならなかったのか?別に衣服の“汚れ”を落とすクリーニング屋とか、家庭から出た“ゴミ”を回収する業者でも何でもよかったと思うのである。ChatGPTに聞いてみたところ「アメリカ社会の矛盾や問題を「ハチ社会」になぞらえて解決する手段として、養蜂家である主人公が描かれています。ビーキーパーが自分たちの代わりに国家という巣箱を . . . 本文を読む

あなた自身とあなたのこと

2025年03月08日 | ネタバレなし批評篇
それまで毎晩2本の高級ワインボトルを空けていたデンゼル・ワシントンは、還暦を迎えてキッパリと酒を断ったらしい。大金持ちとなり低きに流れる映画業界人が多い中で、この決断は立派である。本作監督ホン・サンスはかなりの大酒飲みとしても有名だ。どうなのだろう、最近は“死”をテーマにした作品を多く撮っているホン・サンスだけに、もしかしたら体調があまりよろしくないのかも。そんなホン・サンスの酒に対する自戒を込め . . . 本文を読む

まる

2025年03月08日 | ネタバレなし批評篇
タイトルからして仏教の禅に言及した映画だと思いながら観はじめたのだが、まさかその境地=悟り=円相をまんまテーマにもってくるとは、荻上直子なんたる大胆不敵。仏教の開祖ゴータマ・シッダールタでさえ7年間の苦行と2ヵ月間の断食を経た後たどり着いた悟りの境地をこうも簡単に映像化されてしまうと、個人的には嫉妬心さえ覚えるのである。ジム・ジャームッシュ監督『パターソン』にも、主人公の職業“循環バス運転手”や部 . . . 本文を読む

高速道路家族

2025年03月06日 | ネタバレなし批評篇
エンディングにあるシーンを突っ込んだがために、いらぬ臆測を呼んでしまったコリアンドラマ。家族に見放され気が狂った父ちゃんと身重の母ちゃんは、実はあの火災で焼け死んでしまったのではないか、と。私が素直な目?で観たところ、母ちゃんの衣に火がうつった瞬間、正気にもどった父ちゃんが身を挺して母ちゃんを救った、と捉えるべきだと思うのだ。ゆえに、火災の後のハッピーな展開は、娘ユニの幻覚などではなく現実に起こっ . . . 本文を読む

ドリーム・シナリオ

2025年02月24日 | ネタバレなし批評篇
日本では昨年の都知事選における石丸某のミーム戦術が話題になったが、IT本家アメリカでもバズりを故意に起こそうとする研究がおさかんなようなのだ。見るからに映えない大学教授ポール(ニコラス・ケイジ)を、複数の人々の夢の中に登場させたらどんな社会現象が起こるのか。スプライト販売元のコカ・コーラ社や、本作に登場するデジタル広告代理店ならずとも、そのデータにはさぞ興味津々なことだ . . . 本文を読む

夢見る人

2025年02月16日 | ネタバレなし批評篇
生命を吹き込まれた泥人形が人間の美しい娘と報われない恋をする〈ゴーレム伝説〉がおそらく元ネタであろう。そこに『夢見る人』というタイトルをかぶせた理由は、フランスの超有名な彫刻家オーギュスト・ロダン作「考える人」を観客に意識させたかったからに違いない。隻眼の下男ラファエル(ラファエル・ティエリ)が、泥人形のモデルとなってとるポーズが「考える人」にクリソツなことにすぐに気づ . . . 本文を読む