ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

テレビ討論会を終えて

2024年09月14日 | 映画評じゃないけど篇
B「本当にあんなんでよかったのか」S「しょうがねぇだろ、あのオバハン3つぐらいしかネタを覚えられなかったんだから。トランプが不法移民を持ち出したら、尻拭いをさせられたって言い訳し、インフレ指摘されたら住宅購入頭金バラマキでごまかせ。そしてトランプの中絶反対を徹底的に糾弾しろ。後はTV局がなんとかしてくれるってカマラに仕込んだのさ」B「ABCのアナウンサーを2人にしといてよかったよ。一人じゃ危なかっ . . . 本文を読む

ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち

2024年08月07日 | 映画評じゃないけど篇
トランプなのかハリスなのか。現在アメリカで起きている分断は、一昔前のイデオロギーだけでは測れない複雑性を帯びている。クリントン、ブッシュ、オバマ、バイデン、そしてカマラ・ハリス...党派は違えど彼等を推しているのは、すべてお高くとまったネオリバタリアンのエリート達であり、その彼らをアメリカのインサイダーとするならば、本書に綴られてるのはそこからはじき出されたアウトサイダーたちの哀歌である。要するに . . . 本文を読む

植田ショック

2024年08月04日 | 映画評じゃないけど篇
日銀植田総裁の利上げ宣言により、日経平均はブラックマンデー以来の大幅値下げ、円高が一気に進み1ドル140円をわりこみそうな日本。新NISAのオルカンなどドル建て投信でウハウハ気分を味わっていた皆さんも、連日熱戦が続いているオリンピックどころではなくなっているのではないだろうか。不動産バブルがはじけ百年に一度の大洪水にみまわれて沈没寸前の中国を笑っている場合ではなくなっているのである。日本人へのNI . . . 本文を読む

岸辺露伴は動かない ~密漁海岸

2024年05月13日 | 映画評じゃないけど篇
仏蘭西の美術館にまでのこのこ出掛けし割には、物語理の綻び散見され、たえてのるやとがえざりし劇場版。NHK地上波に放送されし『密漁海岸』もさほど頼まで観けれど、久々なためかこれのよろしき美味なりけり。荒木飛呂彦の原作戯画は全き虚構なれど、漫画家の主人公をはじめ、ひとへに実録なるやのごとき微妙なる演出見処なるなり。下帯裃を身に纏ひし飯豊まりゑが、たとへ自慢の脚線美を披露せずとも、大和言葉を流暢に話す伊 . . . 本文を読む

ある一生

2024年04月26日 | 映画評じゃないけど篇
架空の山村で暮らしたある男の一生は、世界の構造を説明しようとした寓話にはなっていないという。私生児として産まれたエッガーは、牧場主である男に拾われたはいいものの、重労働と暴力のせいで足を骨折、以後足を引きずるようにしか歩けなくなってしまう。「今度俺をなぐったら殺す」初めて男に反抗したエッガーはその場で家を追い出され、誰とも交わらず山の中で暮らすようになるのだ。遭難しかけていたヤギ飼いを救助したエッ . . . 本文を読む

天国でまた会おう

2024年01月22日 | 映画評じゃないけど篇
ジャンルとしてはクライム・エンターテインメントで、ピエール・ルメートルもそっち系統の作家さんだ。フレデリック・フォーサイスをバカよばわりしたウェルベックなんかにいわせれば、「ルメートルがゴンクール?ちょっと違うんじゃね」ってことになるのかもしれない。文体も平易で大変読みやすく、フランス人らしい難解な哲学的表現は皆無、登場人物も少な目でいちいち一覧表で確かめる必要もない。しかも読者をハ . . . 本文を読む

2024年ウィーンフィル ニューイヤー・コンサート

2024年01月06日 | 映画評じゃないけど篇
毎年元旦音楽の都ウィーンで開催される、ウィーンフィルによるニューイヤー・コンサートをTVで見た。今年の指揮者はドイツ人のクリスティアン・ティーレマンだったせいか、いつもは国際色豊かな客席も、裕福な日本人客がチラホラ目についた以外(バブルがはじけた中国系は皆無?!)はほぼ白人、それも地元ゲルマン系の観客が大半を占めていたような印象を受けたのである。EUに渦巻 . . . 本文を読む

異常【アノマリー】

2023年12月05日 | 映画評じゃないけど篇
今まで30冊以上の売れない小説を書いていた作家の最新作が人生初のベストセラーとなった時、人はそれを“異常”と呼ぶのだろうか。殺し屋、(エルヴェ・ル・テリエの分身と思われる)作家、余命宣告された元パイロット.....その他なんの繋がりもない多種多様な登場人物たちの元に、突然FBI捜査官があらわれ召集される。なぜ?まったく身に覚えのない人々は、エールフランスのとある航空機に同乗していたことが判明するの . . . 本文を読む

プラットフォーム

2023年10月19日 | 映画評じゃないけど篇
セックス観光を通じた独自の民族比較論ともいえる本小説は、女性の売春行為はご法度のイスラム教徒に対する痛烈な批判とも受け取れる。そのせいだろうか、本書が国内で発売されたと同時に物議をかもし、ムスリム側から強硬なクレームが入ったという。翻訳者の方いわく、ウェルベックのファンはフランスのインテリ層とは異なる市井のオヤジ達だそうなのだが、それは?である。いつもの濃厚なセックス描写を読むためだ . . . 本文を読む

ムネオとプーチン④

2023年10月16日 | 映画評じゃないけど篇
「閣下、ご無沙汰しております」「なんだ君か。わが国の勝利を祝してくれたのは有難いが、そのせいで離党になったらしいじゃないか」「中国の後ろ楯がなければ何もできない党など、こちらから願い下げです」「相変わらず強気だね」「ところで閣下、今回のハマスによる人質誘拐の件は?」「はじめに言っとくけど、わがロシアは今回の事件にはノータッチだよ」「閣下のポチ(メドべージェフ)が世界に先駆けてコメントを出されていま . . . 本文を読む

地図と領土

2023年09月25日 | 映画評じゃないけど篇
完成間近の『ダミアン・ハーストとジェフ・クーンズ、アート市場を分け合う』とタイトルが付けられた絵画に、主人公のフランス人アーティストジェド・マルタンがパレットナイフを突き立てる場面からお話が始まる。90年代の現代アート市場で最も成功をおさめた2人の作品をググッてみるといい。ホルマリン漬けの🦈や的屋のオッサンが風船を丸めて作ったようなカラフルな🐩のどこが芸術なのか、は . . . 本文を読む

オッペンハイマー 上 原爆の父と呼ばれた男の栄光と悲劇

2023年09月07日 | 映画評じゃないけど篇
「お前、わざわざ台湾行って映画見てきたんだろ、どうだった?」「弾丸ツアーだったんで....疲れてたのかなぁ」「まさか」「爆沈💤す」「バッカじゃねえの、もったいねぇ」「まあ一種のイベントっつうか。彼女は喜んでたんでよしとします」「彼女なんて言ってた」「なんか打ちのめされたって言ってましたよ。飛行機の中でもずっと寝てたし」「へぇー、あのノーランだけにどうせ難解なんだろ&# . . . 本文を読む

オッペンハイマー 下 原爆の父と呼ばれた男の栄光と悲劇

2023年08月22日 | 映画評じゃないけど篇
ある世界史の授業の一コマ。「先生、“原爆の父”と呼ばれる人の伝記映画が日本で公開されないのはなぜなのでしょう?」「そりゃきみ、日本の映画配給元会社に聞いてくれよ」「戦後80年近く経っているのに、原爆を広島と長崎に落とされたことをいまだ日本人が根に持っているからですか」「広島だけで20万人の日本人が犠牲になっているんだよ、気にしない方がおかしいだろ」「でも、壊滅的被害を受けた広島や長崎 . . . 本文を読む

素粒子

2023年08月14日 | 映画評じゃないけど篇
非モテ短小男の性遍歴を赤裸々に綴った本作は、作家ミシェル・ウェルベックの自伝的小説であるという。両親に育児放棄された作家は祖母宅に預けられ親の愛を知らずに育ったのである。小太りのチビとくれば当然のごとく同級生からは苛められ、いいなと思ったあの娘からはガン無視される。その反動であろうか、性欲だけは人一倍の作家の分身ブリュノ少年はところかまわずマスタベーション&射精を繰り返す。遂には女の子の前 . . . 本文を読む

服従

2023年07月20日 | 映画評じゃないけど篇
ミシェル・ウエルベックが書いた『服従』は、実在政治家の実名がビシバシあがっているせいだろうか、イスラム系移民の暴動がきっかけでフランス初のイスラム政権が誕生する顛末は、現代のフランス及びEUが抱えている社会諸問題と密接にリンクしているため既視感をかきたてられる。その「さもありなん」な展開が興味をそそったのだろう、フランスのみならずヨーロッパ全土やなんとイスラエルでも翻訳され大変な話題にのぼったらし . . . 本文を読む