日本の風景 世界の風景

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山居倉庫

2008-05-02 | 世界地理
山形県酒田市の山居倉庫は、1893年(明治26年)につくられた米取引所の倉庫である。1棟(13m×30m)で4斗俵の籾米1万6千俵を貯蔵した。現在も全農庄内が米倉庫として利用している。なお、山居倉庫は江戸時代の年貢米の輸送拠点ではないし、大地主本間家の米蔵でもない。



高橋兼吉の設計による土蔵づくり。延床面積約400㎡である。



三角屋根の倉庫が12棟。うち左端が庄内米歴史資料館である。倉庫の面しているのは、酒田港につながる新井田川である。最上川ではない。



山居倉庫からは、米が「小鵜飼舟」で酒田港出入りの外航船まで運び出された。小鵜飼舟の船の発着場がある。







山居倉庫側面。倉庫内部の貯蔵米が劣化しないように、屋根を2段とし、屋根間の小窓で温度・湿度の調整をする。



夏の西日で倉庫の西壁の温度が上がるのを防ぐため、倉庫西側はケヤキ並木になっている。



山居倉庫の1棟は庄内米歴史資料館。もみ米1俵は4斗で60kg。倉庫と舟の間の米の出し入れは女性の仕事であった。ということなどを伝えている。入場有料。

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世界的な食料不足の問題
世界的に米と小麦が不足し、国際価格が急騰している。発展途上国の貧困層は、深刻な食料不足の問題に陥っている。

小麦の不足は、オーストラリアの干ばつが一因である。マーレーダーリング盆地の灌漑農地に、土壌の塩害というツケがまわったのか、スノーウィ川からの灌漑用水が干ばつで少なかったのかが、大きな問題である。塩害であれば小麦生産の回復は困難である。また、灌漑用水の不足であれば一過性の不作と考えることができる。

アメリカでは、小麦栽培からとうもろこしへの転換が進み、小麦生産量が減少した。しかし、世界全体の小麦在庫量が一年分以上はある。小麦の安値が続き、アメリカの小麦農家も穀物メジャーも困ったいた。
アメリカの小麦農家を救済するとともに、穀物メジャーが自らを救済するために、小麦不足を演出しているのである。中国・インドの消費量が増えた、バイオ燃料としてのとうもろこし栽培のために小麦栽培が減ったとか・・・。この穀物メジャーの言い分は多分、正しいだろう。それでも、餓死者多数と見込まれる地域・国には、なぜか、小麦が配給されるのである。どこからか、国際価格の下がらない程度の量の小麦が、放出されているのである。

米不足は輸出量世界第2位のベトナムの禁輸措置の影響が大きい。ベトナムでは工業化よりも農産物の商品化に力を入れるドイモイが採用されている。ベトナム共産党の強制的指示により、米・コーヒーの大増産が行われた。世界の米・コーヒーはベトナムの輸出急増による値下がりで、2000年代に大混乱をしていたのである。
ベトナム共産党が、ベトナム米の輸出規制を断行したことで、米の国際価格は上昇した。ベトナムは米の輸出で大きな利益を得ることは間違いない。また共産党の率先実行したドイモイが、ベトナム農民の収入を増やすことも間違いない。共産党の指導の正しさが立証されたことになり、当分、ベトナム共産党の独裁は続くであろう。

隣国タイは米の輸出が世界第1位である。米の流通を支配する華僑は、米の計画的輸出によって、国際価格を上げている。米の輸出量と価格とは、前近代的農業経済で決めるのではなく、工業製品同様、輸出調整によって可能であることを理解したようである。
今後はタイとベトナムの輸出カルテルで、米の国際価格を引き上げることが簡単にできることが分かったのである。

日本。
日本国内で消費しない輸入米と古米の在庫は、合わせて300万トンもある。日本の米消費量の半年分に相当する。農林水産省は300万トンを廃棄予定だが、本当に廃棄をするのだろうか。経済にめざめたベトナム、タイに代わって、安値で発展途上国に輸出したらどんなものだろうか。ODAを米で実施するのは名案と思うが。しかし、米輸出国の反感を買うことは覚悟しなくてはなるまい。