Jazzを聴こうぜBLOG版

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クラシックがジャズより優れているところ①

2005-01-16 01:32:14 | 音楽一般
しばらく前にNHKで有名なピアニストのレッスン会を収録した番組が「なんたらスーパーレッスン」とかってタイトルで放送されてたのね。
面白そうだったので録画、今週のなかばに鑑賞した。
まだ途中までしか見てないんだけどね・・・・・。

先生はポルトガルのマリア・ジョアン・ピレシュという女性。
日本人の生徒がショパンの「幻想ポロネーズ」を弾いて、先生があれこれと指導をしていく。
ピアノの技術論に対して「フレーズごとに止まって呼吸をしなさい」とか「フレーズ毎に新たになるという事なのよ」とかって、イメージの方向からアプローチしていくという・・・・・スンゲェ面白かった。
ピアノを弾くという事は所詮は鍵盤を降ろす行為にすべて集約されるんだし、例えばあれを「何グラムの重さのタッチで、秒速何センチの速度で打鍵して」とか「その音をもうコンマ何秒遅らせて」とかって数学的に指導する事も、原理的には、あくまで原理的には可能なんでしょう。
ただ、人間の生理がその微細な重さや速度、タイム感覚を数値として認識する事ができない。
そりゃそうだよね。
「コンマ何グラム」とか「0.0000何秒の差」とかを人間が認識しきれるわけがない。
音楽、特にクラシック音楽では、人間の生理では数量的に捉える事ができない繊細なダイナミクスが、当たり前のように要求されるという事。人間の運動能力や生理的な感性で行なえる数値的な認識って思ってるよりはるかに幅が狭くって、それ以降は抽象的なイメージで捉えて演奏に反映させていくしかないんだなと、まぁこれは当たり前なんだろうけど、そんな風に思いました。
だから記譜法でも速度や音の強さ、さらには曲想を指定する用語って、数値で指定するものより抽象的な単語で表すものの方が圧倒的に多いよね。
例えば「Adagio」「Vivace」「mf」「mp」「arioso」「elegante」「passionato」「pastorale」とか・・・・意味分かります?。
はじから「アダージョ・穏やかに」「ビバーチェ・いきいきした速さで」「メゾフォルテ・やや強く」「メゾピアノ・やや弱く」「アリオーソ・歌うように」「エレガンテ・優雅に」「パッショナート・感情的に」「パストラーレ・牧歌的に」って意味なんだけど、ねぇ(笑)・・・・・やや弱くってどんくらい弱いんだ?、いきいきした速さってどんくらいだ?、感情的に、とか牧歌的に、とかまできちゃうと・・・・・もうふざけんなだよね。
わかんねぇって(笑)。
音楽ってすっげぇ抽象的で、人間の生理の限界を超えた認識をどうやって引っ張り出すかっていう、かなり無理難題な世界なんだね(笑)。

で、そのマリア先生が模範演技として「幻想ポロネーズ」を弾く。
上手い!。
スッゲェと思った。
確信に満ちた打鍵とタイム感。馥郁たる情緒を感じさせる堂々とした演奏。
体が小さいので、天から地まで届くようなダイナミクスをつけるにはやっぱり物理的に限界があって、そこら辺がちょっと勿体無い感じがしたけど、できうる限りの幅で最大限の表現をしているように感じた。
もっとガタイがあれば、もっと凄い演奏ができるんだろうなぁって・・・・・でね、そこで思ったのが「ジャズのピアニストではここまでのダイナミクスをつけることはできないよなぁ」っての。
このマリア・ジョアン・ピレシュは、クラシックの一流のピアニストの中ではダイナミクスの幅は小さい方だと思うけど、ジャズのピアニストでは、よしんば超一流の人、例えばChick Corea(チック・コリア)とかKeith Jarrett(キース・ジャレット)とか、ガタイのデカイOscar Peterson(オスカー・ピーターソン)とかでも、ここまでのダイナミクスを駆使した演奏はできていないなって。
この「ダイナミクスの幅」ってところに、クラシックとジャズの一番の違いというか、ハッキリ言うと「差」があるんだなって。
クラシックとジャズの一番の差は「ダイナミクスの幅」だと思う。

なんでこんなにも差があるんだろうって・・・・・まぁやってる事が違うし、それぞれの音楽にそれぞれの特色があるんだから、ダイナミクスの幅だけで単純に優劣を論じる気はないんだけどさ、僕はやっぱジャズ好きだから悔しいわけさ(笑)。
なんでジャズとクラシックにここまでダイナミクスの幅に差があるのか・・・・・そんな事をこの2、3日考えてた。
今回それを書こうと思ったんだけど、長いのでまた明日(笑)。
少しは文章をまとめるという事ができないのかね・・・・・(苦笑)。

本日の安眠盤、Michel Camilo(ミシェル・カミロ、p)の「Rendezvous」
ではでは。

2 コメント

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Unknown (ヨックタイ)
2005-01-16 22:23:40
お久しぶりです。ようやく音楽を聴く余力が出てきました。



クラシックの楽譜なんですが、Andrew Yorkの「三千院」という曲に「催眠状態にあるように」という指示がついているんですね。この指示のわけの分からなさに催眠状態になってしまいましたよ。



大萩康司というギタリストは呼吸で弾く。彼はタッチやリズムの微妙なコントロールは筋肉を意識することで行うのではなく、呼吸で行うようです。ここまでくると武道に近い。
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おひさしぶりです (TARO)
2005-01-16 23:25:14
>ヨックタイさん



最近ご多忙だったようですね。

ヨックタイサンのブログはチョクチョク覗いていますよ。

心理学はチンプンカンプンなので、ついていける事はほとんどないですが(泣)。





>「催眠状態にあるように」



・・・・・うはぁ・・・・・お手上げですね。

曲想を表す用語ってわけ分からんもの多いですよね。

そもそも演奏者の何割が「催眠状態」を経験した事があるのだろうか・・・・・(笑)。

楽譜に指定するという事は、アンドリュー・ヨーク本人は催眠にかかった事があるんでしょうね?(笑)。





>呼吸で弾く

どんな楽器のレッスンでも、演奏そのものとは関係なさそうな部分を指摘される事って多いですよね。

姿勢とか呼吸とか、視点とか脱力とか・・・・・。

歌のレッスンでよく言われるのは、高音をヒットする時に「おでこの皮が後ろに引っ張られるようなイメージで額を釣り上げて声を出せ」っての。

ウヒャヒャヒャヒャ、おかしいでしょ。





ではでは、そちらにもまた伺いますね。

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