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暴言3、速弾き好きはケツが青い(笑)

2004-12-27 00:19:19 | 音楽一般
今年は長いようで短いようで・・・・・大変だった事は間違いないけどね。
明日で仕事納め。息つく暇もない年の瀬が明日で終わると思うと、なんだか呆然としてしまって何もやる気が起きないね。
やる気のなさにかまけて、寝っ転がって「マイルス・デイビス自叙伝」を読んでる。
スッゲェ面白い。
上下巻で今は下巻の最初の方なんだけど、60年代なかばにハードバップからモード、さらにその先の旋律主体からリズミックなアプローチへと進もうとしていた時期。ハードバップとモードを総括したような言葉が書かれていて、もの凄くピンと来た。
いくつか引用。

①・「ビバップでは音符がたくさん使われていた」・「常に少なめというよりは多めが基本だった」・「批評家連中がハード・バップと呼んだ音楽も~中略~アイディアやコンセプトといったものはすべて、過去にやりつくされていた事に違いなかった。空間がもっと多くなっただけの事だ」
②・「俺がモード奏法から学んだのは、限界がないって事だ。より多くの事が音列でできるから、和声進行といったような事に悩まなくていいんだ」・「モード奏法の演奏で大切な事は、旋律的にどれだけ創造的になれるかだ」
③・「オレは、メロディーの秩序に対するほとんど完璧な感覚を持っている」

①はビバップ、ハードバップを含めた「バップ」の総括。②はモード奏法の総括。で、③はモードを追求して後のMilesが自分を評して言った言葉。
解ります?。
それぞれの言葉の意味は、バップやモードの具体的な奏法の概要を知っていて、なおかつこの時期のMilesの音楽を実際に聴いてないとちょっと解りづらい。

これらの言葉を目にして、昔組んでたバンドで練習中にギターの取ったソロに対してイチャモンをつけた事を思い出した。
ミディアムバラードをやってて、「16分でパラパラパラパラ~♪って弾いても、なんとなく『フーン』って感じじゃないですか。そうでなくて、もっとチョーキングとロングトーンで勝負して欲しいんですよね」ってな事を言ったんだ。今思い返してみても年上の人に対して生意気な事を言ったもんだなぁって思う(笑)。
で、僕のこの生意気な言葉を受けて、ベース(この人はジャズ畑の人だった)が「弾かない事も音楽には重要な事なんだよ」って言葉を継いだんだ。
要するにさ、「ただただ速弾きしてるだけのソロにはあんまり意味を感じない」って事を言いたかったんだよね。よくいるじゃん、ソロになるとやたら弾きまくって、メロディも何もなくなっちゃうヤツ。
これは明らかにギタリストに多いと思う。
アドリブソロってある意味作曲だよね。で、そのソロが長くなればなるほど、速弾きを押し通すと単調になって旋律感が希薄になる。うーんと、なんて言うかな・・・・・メロディアスじゃなくなるというか、曲にならなくなるというか・・・・・。
ソロを構成していくうえで山場として速弾きが有効な場面は当然あるだろうけど、そこに到達するにはそれなりの起伏や展開があって、必要に迫られての速弾きであるべきなんだよね。
ソロだって曲の中の一要素であって曲芸では決してないんだから、曲を曲としてきちんと捉えて演奏していれば、頭から最後まで延々弾きまくるようなソロって、やっぱありえないんじゃないかと思う。
曲になんないもん。
起承転結じゃないけどさ、曲を曲たらしめる構成力って、作曲や即興演奏には絶対に必要だよね。
上記のMilesの③の発言は、こうした構成力をきちんと持ってるって事を言っているんでしょう。この「構成力」は、=「リリシズム」とか「歌心」としても良いかな。
Milesはこのあとリズミックなアプローチへと自身の音楽を発展させていくけれども、この「構成力、リリシズム、歌心」を無くした事はこれ以降の音楽でも一切なかったと思う。
歴史に残るような巨匠はほぼ例外なくこの「構成力、リリシズム、歌心」をガッチリ持っていると思うよ。すぐに思いつくところだとMilesとChick Corea(チック・コリア、p)とか、あとStan Getz(スタン・ゲッツ、ts)やWynton Marsalis(ウイントン・マルサリス、tp)とか・・・・・まぁ挙げれば切りないか(笑)。

ちょっとばかり暴言吐くか(笑)。
「速弾きがカッコイイ」とか言ってるリスナーはまだまだケツが青い。
旋律が速い事は良いことでも悪い事でもないし、遅い事も然り。最終的には楽曲が楽曲としてきちんと構成されている事が美しさやカッコ良さ、心地良さやより深い表現を生む。
速けりゃ良いってモンじゃないよ。

まぁこんなところです。偉そうなもの言いだなぁ(笑)。
本日の安眠盤、Miles Davis(マイルス・デイヴィス、tp)の「Jazz At The Plaza」
ではでは。