Jazzを聴こうぜBLOG版

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ホットかクールか・・・・・

2004-10-03 01:16:01 | 音楽一般
ついさっきまでJimmy Scott(ジミー・スコット、vo)を聴いてた。
この人ってカルマン症候群というホルモン異常の病気で声変わりせず、身長も150センチくらいで止まってしまって、その外見からか声色からか、色々と差別的な待遇に甘んじてきた人なんだよね。
アパートの管理人や老人介護など、音楽以外を生業としていた時期も長かったらしい。
そういった苦労が晩年になって花開く形で、今日の成功がある。
ジャズ界の神格の1人といってもいいでしょう。

この人の歌は、ボーカルスタイルのあるひとつの突き詰まった形だなぁって思う。
所謂「語るタイプ」ね。
音楽の要素の中で歌詞の内容を最も重要視して、言葉をひとつひとつ言い聞かせるように歌う・・・・・ヴィブラートなどの装飾も極めて多用して、感情・・・・というよりも激情を前面前面に押し出していく。
この人が歌を解釈して自ら歌うためにどういった手順を踏むか、といったことを聞かれた時に、「詩をよく読み込む。そしてそれぞれの言葉の意味を考えていく。その言葉たちが自分にとってどんな意味を持っているか、考える。そして頭の中に相手を想定して、声に出して語りかけてみる。すると、やがてその歌の持つメッセージや自分の心に響いた理由がわかってくるんだよ」(ほぼ原文まま)と答えていた。
その感情を包み隠さずに、過剰なまでに表情をつけて訴えかけるように紡いでいく。
ホットな、いや、ウォームなかな?、歌手だね。
この人を聴く時はねぇ、「さあ聴くぞ!、感情を思うさま受け止めるぞ!!」っていう気構えというか、ある意味の覚悟がないと聴けないよね。
なんとなく聴こうとすると疲れる。グリングリン歌うからね。

歌手って、ホットなタイプとクールなタイプに、割とハッキリ分かれるよね。
いや、どんな音楽でもそうなんだけど、歌にはこの差がとっても顕著に出てくるという事かな。
ホットなタイプっていうのは、スゴーク良い歌詞あって、それを「ねぇみんな、聴いて聴いて聴いてー!!」って歌うタイプ。
主張というかアピールというか、そういったものがストレートでできるだけ押し出しを効かせようと思うので、必然的に装飾も過多になるしフレージングも大仰になる。これは悪い意味ではなくてね。
前述のJimmy ScottやElla Fitzgeraldなんかは近いかな、「歌い上げる」タイプね。
対してクールなタイプは感情や表情ををあまり表に出さずに小出しにする。
装飾や抑揚をつける事を抑制して、ある意味涼しげにに歌う。
これは歌に感情や表情がないという事ではないよ。感情を隠して一歩引いた視点から歌う事で、逆に感情が伝わるというか、感情の存在が確かなものに見えるというか・・・・・そういう表現の方法を選択するという事。
以前にも書いたけど、ボサノバのシンガーにはこのタイプが圧倒的に多いし、あとはソウルにも多いかな・・・・・Marvin Gaye(マーヴィン・ゲイ、vo)なんかメチャクールだよね。

ホットなタイプよりクールなタイプの方が、聴いていて疲れる人は少ない。
これは表情が少ない分、感じ取ろうと意を向けない限りは感情の起伏が伝わってきにくいからでしょう。
ホットなタイプは、極端な感情の喚起が煩わしい時に聴くと確実に耳につく。そりゃそうだ、穏やかでいられないほど感情が過度に込められて、それをストレートに歌い上げてるんだから、耳に入ってくる音も起伏が激しくなるに決まってる。
感情をこめすぎたり表情をつけすぎたりするると伝わらない事もあるんだ。
音楽って複雑だよねぇ。

うう・・・・・何が言いたいかっていうと、表現の方法やタイプは色々あるだろうけど、どんな表現であれ最終的には聴き手側が「どんな表現をしようとしているか聴き取ろうとしないと伝わってくるものはない」って事は絶対に言えると思う。
聴き取ろうとしなければスーッと流れていっちゃうか、耳について鬱陶しく感じるかのどちらか。
そういう意味では音楽って、演奏者側と同じくらい真摯な姿勢が聴き手にも求められるものだって事だよね。

文章が散漫だね。
てか、もうネタがないの(泣)。
寝ます。

本日の安眠盤、Herbie Hancock(ハービー・ハンコック、p,key)の「Gershwin's World」
ではでは。