Jazzを聴こうぜBLOG版

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音楽はどこへ行くのか(笑)①

2005-01-08 01:05:12 | 音楽一般
正月休の間、暇に飽かせて方々のブログを見て回ってたのさ。
その中の「後藤君へ」というブログで「ジャズは発展の歩みを止めてる音楽である」といった内容が書かれていて、結構ピンと来た。
・「クラシック音楽のように、過去の様式を踏襲するのみの再現芸術化しつつあるのではないか」
・「新たなジャズムーブメントの発生や、ある作品がジャズ史に残る名盤となって行く過程に立ち会える可能性は低いと言わざるを得ないのではないか」
結構考えさせられた。
この提言の是非に関して、まあ結論から言うとかなり的を得ていると思う。
僕は個人的には再現芸術を非とする気持ちはないのね。
「その時代において革新的だった歴史的に重要な位置を占める演奏」というものが必ずしも現在聴いて心地良い演奏であるとは限らないし、音楽そのものが上質で自分の審美基準に適えば、過去の様式の踏襲であっても鑑賞の価値は十分にあると思う。革新的である事を至上とする音楽の聴き方はある意味極端に視野を狭めてしまうし、むしろ過去の様式の踏襲の先には洗練があるものだからね。
ただ僕の思惟はそれとは別の所で・・・・・そもそもジャズも含めて「現代の音楽はこの先に発展の可能性はどれだけ残されているんだろうか」といった事なのね。
この事を今回と次回の、2回に分けて書きたいと思う。

「ジャズは発展の歩みを止めてる音楽である」というのは、もの凄く当たっている。フリージャズが行き詰まりを見た時点でジャズの独自の発展はその歩みを止めて、他のジャンルの様式の模倣や融合といった、ある意味「延命措置」のような状況にあると僕も思う。
そこで、じゃあ「発展の途上にある音楽って一体なんだろう?」って思ったのさ。
それは・・・・・それはジャズ以外の現代の音楽シーンにもまったくと言って良いほど見当たらないような気がする。
そもそも「音楽の発展」ってなんなんだろう?。どうなる事が発展するという事なんだろうか?。
それはプレイヤー人口が増える事?。リスナー人口が増える事?。それともそれらがもたらす経済効果が膨らむ事?。違うよね。また、今までにない旋律が生み出されて新しい曲が増えていく事?・・・・・これもちがう。それはどのジャンルのどの時代でも常に行なわれている事で、音楽そのものの発展とはイコールではないよ。
で、僕の考え。
音楽の発展って、「様式の発展」とイコールだという事をハッキリさせておきたい。
どのジャンルの音楽の歴史上でも、あるひとつの思想に基づくムーブメントや派閥の発生をイコールその音楽の発展と捉える傾向があるけれど、これは間違い。それは時代や時流によって音楽で語られようとするモチーフが多様化していっただけであって、根本的な様式(音楽の基本概念や演奏法、楽器の形態や環境など)の変遷とは別物と考えなければいけない。
例えばジャズの場合、ビバップ、ハードバップ、モード、フリージャズなどは様式や概念の発展の結果として生まれたものであるけれど、クールジャズ、ファンキージャズ、ソウルジャズ、前衛、フュージョン、新主流派といったものに関しては、上記4つのの様式の中に基本となる概念や演奏法を見出す事ができるか、もしくは他のジャンルの演奏の方法論を取り入れたものに過ぎない。
「様式の発展」と「思想性や方向性の変化」といったものは根本的に異なる・・・・・・音楽の発展って、よりよい表現を模索して「様式が変遷していく事」だという事を大前提として提示しておきたいと思う。

以前にも書いたけれど、ジャズも含めて現代のほとんどの音楽って西洋音楽(クラシック音楽を礎とする近代以降の音楽)の延長線上にあって、言ってみればクラシックの分派に過ぎないんだ。なぜかって?、それはどの音楽もクラシック音楽で確立された様式や基本概念、方法論を基盤として演奏されているから。ジャズをはじめ、ロックやポップス、その他世界の音楽市場の主流を占めている音楽のすべてが、この「西洋音楽の様式」を逸脱する事ができないまま日々繰り返されてるよね。
それを打破しようとして、フリージャズや現代音楽なんかは西洋音楽をはじめあらゆる様式を否定する事でより自由な表現を求めたんだけど、様式を否定したところに秩序なんかなくて、秩序のない音の羅列にはなんの表現の可能性も見出せないというジレンマに陥って停滞した。
「様式の否定は無秩序につながる」という、ある意味音楽というものの最終的な結論が出てしまったようにさえ感じられる行き詰まり・・・・・これ以降あらゆる音楽は西洋音楽の様式に閉じ込められていて、その枠内でのみ発展の可能性を探っているに過ぎない。
すべての音楽は西洋音楽の「焼きなおし」なんだ。
この事実を認めてしまえば、現時点で現行の音楽の様式内の可能性というものはすべて、絶望的なほどに開拓し尽くされているように思える。
で、じゃぁこの先音楽が発展しうる可能性というのはどこにあるか・・・・・って繋ごうと思ったんだけど、長いね。あんま縦に長いと見てる人は読む気なくすかな(笑)。
続きは次回の投稿で書く事にします。

いやー、このテーマは重い。次で終わるかな・・・・・。
本日の安眠盤、Joe Pass(ジョー・パス、g)の「Joy Spring」
ではでは。