私は極軽装備で旅に出た。小遣いにパスポート、スケジュール表、着替え、カメラ、髭剃り器、折り畳み傘。そして新たに購入した台北のガイドブック。
手提げかばん一個に楽々と収まった。格好はもちろん普段着である。足りないものは現地で買えと友人がアドバイスしてくれたからだ。
キャビンアテンダントが下手糞な日本語で昼食を選んでくれと言う。iPodのヘッドフォンを外し「ピラフと鶏肉のソテー」を受け取り、白ワインを貰った。
機内食は昔に比べると随分おいしくなっている。お菓子にもみじ饅頭がつくところはベタな気もするが、甘いものは大好きである。ぺろりと平らげて再びイーグルスの「Take It Easy」を聴き始めた。飛行機は灰色の雲の上を飛んでいた。私は舌打ちして顔を曇らせた。