玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します。

玉川上水の果実

2021-08-02 13:30:06 | 調査報告

シンポジウムで鈴木さんから玉川上水の林と野鳥についての話がありました(こちら)。その中で、林が多様であれば、鳥が食べる果実が次々に実るという話がありました。私たちは玉川上水の野草のマップを作りましたが、今は花ごよみを作っています。1ヶ月に3回、玉川上水を歩いて咲いていた花と果実を記録しています。それを取り上げてみました。(ベリーについてはこちら

 表の見方は、植物の名前の欄に果実が実っていたら、赤い果実なら赤、黒い果実なら黒の丸が各月の旬別についています。それが1月下旬から12月下旬まで並んでいます。たくさんありすぎて字が小さくて恐縮です。

 これらの果実には野鳥が食べるとは限らないものも含まれていますが、それは今後の野鳥の観察などによって情報を補填する必要があります。いずれにしても、現在、私たちが持っているデータを見ると、文字通り花が「咲きつなぎ」、果実が「みのりつなぐ」ことが実感されます。やはり秋に種類がグッと多くなることもわかります。

 これについては果実の写真もたくさん持っていますから、改めてまとめてみようと思います。


樹木調査 8月1日 小平中央公園近く

2021-08-01 20:42:20 | 調査報告

杉並と三鷹(井の頭)での調査が終わった樹木調査ですが、8月1日に小平で第1回目を行いました。小平市の中央公園に接する玉川上水の北側を選びました。この辺りは緑地の幅も広く、状態の良い林です。

 

 ですからこれまでと同じように100メートルの長さを調べますが、本数が多いことが予想されました。それで遊歩道を挟んで北側の用水のある部分と、南側の玉川上水の柵側に分けて行いました。巻尺を2本持ってきていたので、2班に分けました。

 

調査のようす

 

 とても暑く、スマホには10時すぎですでに31度と出ていました。ただ木陰で少し風があったので、多少は楽でした。巻尺で距離を読む人、樹木を識別する人、直径を測定する人、記録する人と分業をしたので、思っていたよりは早く作業が進みました。とはいえ、結果に見るように樹木数がもともと多いので時間がかかりました。

 50 メートルが終わった段階で記念撮影をしました。

 

 

 結果をまとめてみると、100メートルに233本もの樹木が確認されました。井の頭の小鳥の森が状態の良い林だったので比較すると井の頭は152本ですから、こちらの方がはるかに多いことがわかります。直径の太い樹木から細いものへと並べたグラフを描くと、小平では直径が10 cmから30 cmくらいの樹木が多いことがわかります。

 

小平中央公園向かいの林の樹木を太いものから低いものへ並べたグラフ

黄緑:落葉樹、青:常緑樹, K:小平、I:井の頭

 

 また落葉樹を黄緑色、常緑樹を青で示しましたが、小平では直径10cm以上はほとんどが落葉樹で、常緑樹は10 cm未満でした。具体的にはシラカシが最も多く、イヌツゲ、ヒサカキなどがありました。これに比べると井の頭では全体に常緑樹(多くはシラカシ)、その中に少数の落葉樹が混じるという感じで、それはケヤキやイヌシデでした。

 

井の頭の小鳥の森の樹木を太いものから低いものへ並べたグラフ

黄緑:落葉樹、青:常緑樹, K:小平、I:井の頭

 

 このことは小平はコナラ、クヌギ、イヌシデなどの落葉樹が主体で、その下にシラカシなどの常緑樹が控えている状態だということを意味します。野鳥の調査で、小平ではカラ類などが多いことがわかっているので、その説明にはなりそうです。

 出現した樹種は28種で非常に多く、この辺りの林の多様性の高さを示しています(表1)。表1はアイウエオ順に並べていますが、数値の大きなものを太字にしています。直径の大きいのはコナラ、クヌギ、イヌシデなどで、これらは本数も多い、主要な構成種と言えます。シラカシ、エゴノキ、ムラサキシキブなどは本数は多かったのですが、直径は細く、林の下に細いものがたくさんあることを反映しています。

 

表1. 出現樹種の平均直径と本数(100mあたり)

ます。

 なお、「ナラ枯れ」があって、木屑を出しているコナラやクヌギがあるのが気になりました。

 

カシノナガキクイムシによる木屑

 

次回以降、小平の他の場所でも調べたいと思います。

 調査にご協力くださった皆様、ありがとうございました。