玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します。

9月の野鳥調査 報告

2021-09-16 12:59:03 | 調査報告

9月の野鳥調査の記録

 

9月11日に小平、小金井、三鷹、杉並の4カ所で野鳥調査をした。

 

 <全体の傾向>

出現種数は10種前後でこれまでで最も少なかった。3個体以上いた種の種ごとの個体数を見ると、ハシブトガラスが小金井だけで特に少なかったこと、シジュウカラは小平で多かったが、小金井ではゼロであったこと、ムクドリが小金井で非常に多かったこと、スズメが小金井だけで12羽いたこと、ヤマガラが小平だけで記録されたことなどがわかった(図1) 。

図1. 種ごとの個体数

 

<調査項目別の結果>

項目別に見ると、種数は3カ所で10種、杉並だけが11種であったが、違いはほぼなかった(図2)。

図2. 各地の種数

 

個体数もこれまでは100以上だったが60種前後であり、場所ごとに大きな違いはなく、これまでと違い、小金井が他の場所なみであった(図3)。

図3. 各地の個体数

 

その結果、多様度指数にも場所ごとの違いがあまり見られず、これまで指数が大きかった小平が小さく、逆に小金井が横並びになった(図4)。

図4. 各地の多様度指数

 

ただし、森林の野鳥の割合(図5)や、「内側率」(図6)は小金井が小さかった。これはムクドリとスズメが比較的多かったことによる。

図5.各地の「森林率」

図6.各地の「内側率」

 

<季節的推移>

これまでの推移を見ると、種数は三鷹、小平で大きく減少し、杉並はほぼ維持し、小金井はやや増加した。その結果4カ所がほぼ同じになった(図7)。

図7. 各地の種数の推移

1:1月、2:3月上旬、3: 3月下旬、4: 5月、5:7月、 6: 9月

 

個体数もこれまで多かった小平と三鷹で減って杉並と小金井で横ばいなので、場所の違いがなくなった(図8)。

図8. 各地の個体数の推移

1:1月、2:3月上旬、3: 3月下旬、4: 5月、5:7月、 6: 9月

 

多様度指数は杉並が増えて三鷹並みになり、小平がへり、小金井が増えたので接近した。その結果これまで上位を占めてきた小平が最低になった(図9)。

図9. 各地の多様度指数の推移

1:1月、2:3月上旬、3: 3月下旬、4: 5月、5:7月、 6: 9月

 

森林に生息する鳥の割合である「森林率」は三鷹だけが安定していたが、他の3カ所では減少した(図10)。

図10. 各地の「森林率」の推移

1:1月、2:3月上旬、3: 3月下旬、4: 5月、5:7月、 6: 9月

 

<考察>

 以上のように9月の結果はこれまでと違い、特に小平での鳥の大幅な減少により、種数、個体数、多様性が大きく減少した点でこれまでと違った。この理由として、1)繁殖期を終えたヒヨドリが南方へ移動し、越冬型ヒヨドリがまだ到着していないこと、2)シジュウカラ、エナガ、メジロ、コゲラは南方への移動や玉川上水周辺の家屋などへ分散したことなどが考えられた。東京都平野部では8、9月に繁殖する留鳥の数は毎年一旦減少し、10月に増加する。この点、小金井はもともと種数、個体数とも少なく、変化が少ないが、小平、三鷹、杉並は「8,9月の減少」が明確に表れた。

 これまで実施した5回のセンサスデータは森林の量や質と、そこに住む野鳥たちとの相関関係をよく示すものだったが、一年のうち個体数が最低となるこの時期のセンサスデータは、森林との関係よりは、野鳥の習性そのもの(南北移動、行動範囲拡大など)をよく反映するものとなったと言える。

 また多様性を低下させていたのは、秋の渡りが始まっている時期だが、この日は通過する夏鳥の記録がなかったことも起因している(センサス終了後には三鷹でサンコウチョウ幼鳥が2羽が観察された)。

 

+++++++++ 記録 ++++++++++++

参加者

小平:足達、尾川、大出水、高槻、リー

小金井:大石

三鷹:鈴木、

杉並:大塚

 

小平の高槻の報告:

小平班は五人でした。緑が濃くて見通しが悪く、確認する大出水さんは鳥を声で判別するので、記録する私はほとんど鳥の姿が見えませんでした。それもシジュウカラ とハシブトガラスばかりですので、私はちょっと退屈気味なほどでした。いつもよくいたヒヨドリがほとんどおらず、後半で1羽いただけでした。ただし、線路を横切る時にツバメを見ました。そのほかはいずれも1、2例しかなく、「今回は多様性は低そうだ」と思いました。

途中でハマビワの花や、エゴノキ、ヌスビトハギの果実などを見つけて撮影などしました。「ホットケーキみたいなキノコ」がありましたが、名前が思い出せませんでした。後で調べたらイグチの仲間のようでした。その中にもいくつか種があるらしく、そこまではわかりませんでした。全体で10種、71羽で、これは前回7月の12種、109羽よりは大幅に少なくなっていました。

 

小金井の大石さんからの連絡:

スタート時点の7時頃に小雨がぱらつきどうなるかと思いましたがひどくならずに止みましたので終了出来ました。調査結果としてはひどいもので、種数、個体数共にとても少ない状況となりました。梶野橋~関野橋間のムクドリ23の中、18羽は電線に並んで止まっていました。キジバトがどの区間でも数は少ないのですが見られました。スズメはやぶに隠れてしまい、もう少し数が多い可能性があります。ガビチョウは柵内の低木の中から声がしました。残念ながら姿は見られませんでした。ウグイスはさすがに「笹鳴き」でした。

 

三鷹の鈴木さんからの連絡:

繁殖ヒヨドリがいなくなり、越冬ヒヨドリが来る前なので、今回のセンサスではヒヨドリ0でした。

センサス終了後にはヒヨドリ幼鳥1,サンコウチョウ幼鳥2~3、も観察しましたが、センサス中には残念ながらサンコウチョウ記録なしです。

 

杉並の大塚さんからの連絡:

曇りがちで、鳥の動きも今ひとつでした。住宅街と団地にいたスズメがどこか若鳥を連れていなくなっていました。ハシボソとハシブトガラスといオナガの群れがいました。メジロはみませんでした。ヒヨドリも少なかったです。キジバトが多く。エゴノキの実を食べていました。ケヤキの下の地面で何かをついばんでいました。ケヤキのタネだと思いました。

 


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