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映画と渓流釣り

ケイコ 目を澄ませて

クレジットを見て驚いた
昨日観た「そばかす」同様、この作品もメ〜テレ制作だ
以前から良質の映画制作をしていたのは知っていたけど、こんなにも地味な作品を連続して公開するなんてどれ程肝がすわっているんだろう。調べてみたら株主はトヨタと朝日新聞(テレビ朝日)だ。観る側をバカにした幼稚で中身の薄い作品しか作れないフジテレビとの対局にあるようだ。この映画の主人公である岸井ゆきのといい三浦透子も上手くて味のある女優だけどお客さんを呼ぶには厳しいだろう。それでも見てくれの華よりも作品の質にこだわるのは勇気いるだろうな

古来より洋の東西を問わずボクシングと映画は相性がいい。数え切れないほどの傑作が生まれている。この映画の主人公もストイックに戦い続けるボクサーだけど、女性であることそしてろう者であることが物語をオリジナルな物にしている
ホテルの客室清掃員の仕事をしながらプロのボクサーとしてリングに立つ。その姿はお金とか名誉のためには思えないから、試合のあるたびに上京してくる母親としては彼女がリングに向かう視線に否定的になるしかない
まあ、わたくしの娘がボクシングの試合に出て顔中腫れ上がらせていたら止めるだろうな

岸井ゆきのはあの小さな体を目一杯使ってボクサーに成り切っていた
こんなハードな役もやり切れるんだと感心して観ていた。いつか大きな賞で彼女の頑張りは報いられるといい

欲を言えば、このボクサーがろう者であることの描かれ方に物足りなさを感じてしまった。拠り所だった所属するジムも閉鎖され、面倒見てくれていたオーナーも病に倒れた。この先、どこを目指して戦っていくのか、その方向が見えないまま終わりにしてしまったのは作者として無責任だと思う


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