振出し 難聴、そして人工内耳へ

2007年2月17日から始めたブログ人のブログを継承しています。
gooブログは2014年11月3日よりスタート・・・

使用前報告

2007-10-30 23:35:54 | 人工内耳・補聴器

フリーダム(コクレア・・・人工内耳スピーチプロセッサ)の音入れ調整を11月8日に行うことになりました。

3Gとの比較は、実際に使用してから報告します。

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また、昨日、コクレアから、フリーダムの部品カタログが届き、気になっていた電池2個用のMini BTEコントローラの価格を知ることができました。(47,250円)

BTEコントローラを装着すると、3Gよりもほんの少し大きい状態になりますが、小ささを求める方であれば、Mini BTEコントローラを装着すれば良いと思います。(但し、外部入力ソケットはありません。)

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BTEコントローラの外部入力ソケットは、従来のようなソケットカバーの取り外しは必要でなくなりました。(ソケットカバーの煩わしさから解放されます。)

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携帯用コントローラは従来のものより、かなり小さくなり、アームバンドを使用し携帯することができます。ちょうど大きさはシーメンスのデジタル補聴器ACURIS付属リモコンと同じくらいです。残念なことにシーメンスのリモコンはストラップで首からぶら下げることができるのですが、フリーダム携帯用コントローラではできません。

ボタン操作等は、ほぼBTEコントローラと同じなので、ボタン操作に慣れるまでは、携帯用コントローラで感覚をつかめば良いと思いました。

また、部品カタログでは、携帯用コントローラで使用可能なニッケル水素電池(単4)用充電器(2,520円)が載っています。使用コスト面で良いかもしれません。

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それでは、8日の音入れ調整まで、フリーダム関係の報告はひとまず終えます。

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音の地図

2007-10-27 23:16:07 | 人工内耳・補聴器

Freedomが10月26日(金)の夜に届きました。

23日(火)に指示書をFaxし、代金振込を同日(時間が遅かったので、実際の振込は翌日24日)に手続きしました。コクレア社からは、23日のうちに、「在庫あり、入金確認後送付する。」との内容の返信が届きました。

つまり、4日間で現物が届いたことになります。

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23日は、午前中にESPrit3Gのマッピングを2ヵ月ぶりに行い、午後からは、人工内耳手術をしていただいた主治医の診断(経過状況確認)が4ヵ月ぶりにありました。

帰りがけ、入院していた病棟に行き、お世話になった看護師さんに近況報告をしました。

耳の治療のため幾度か入院し、看護師さん達に励ましてもらったことは忘れません。

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また、主治医の判断で人工内耳手術予定者に対し、装用者として経験談をすることができた方も、23日、午前中に退院し、25日には音入れということでホッとしました。

「人工内耳」のことについては、まだまだ知っている方も少なく、できるだけ正確な情報の提供が必要だと感じています。このような主治医の判断は、情報を必要とする方にとっては大切なことのひとつだと思います。

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Freedomが届いても、マッピングをしないことには機能しません。

早速、ST(言語聴覚士)さんにメールで日程の調整をお願いしましたが、金曜日の夜では連絡がとれないのは致し方ありません。

マッピングができ、ボタン操作など一通り終えましたら、このブログで3Gとの比較を報告するつもりです。

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「人工内耳」によるマッピングとは、それぞれの個性に合った「音の地図」をプログラムすることです。

以前にも書きましたが、同じ風景や同じ絵・同じ服装を見ていても好みが違います。好みの景色・色・デザインというのは、それぞれの人の感性によって違います。

例えば、青色と表現している色の感じ方が人によって違うのかもしれません。

人工内耳で人の声を聴くとき、以前からの知り合いの方とお話しをする機会があれば、頭の中で聴こえている声が以前から知っている声と同じ声なのかすり合わせをしています。少し違いますが、だいたいにおいては同じです。(電話の声は区分が難しい。)

ですが、初対面の方の声は、本当に耳で聴こえているときに聴こえていただろうという声と同じなのかは疑わしいのですが・・・・人工内耳で聴こえる声が、その人の声になります。

このように、人それぞれに聴こえている声も感じ方が違うのかも入れません。

ただ、音楽は、楽器が重なる曲は特に、以前、聴いていた曲と違った曲として聴こえてきます。

つまり、言語能力習得前の幼児の人工内耳装用者が成長し、言語能力を習得し人の声を判別するようになったとき、もしかすると別の曲として(雑音に近いが・・・)に聴こえている曲が当たり前のものとして認識している可能性もあるのではないかと思うことがあります。

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特にFreedomと3Gとの比較は、音楽の聞こえに注意したいと思います。

かつて、補聴器を使用していたときは2音マイク、3音マイク・・・と進化していった過程を体験していますので、この違いは慣れているつもりです。

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それぞれが好む音の個性や聴神経の状態に応じて、音の調整をすることが、人工内耳における「マッピング」です。

白地図に、STさんと共に彩色していき、道路や建物のことを知りたい人はそこから書き込み、山や海が知りたい人はそこから始めることが「マッピング」です。

・・・・・・・・・・・・・・

一般の方(健聴者)には、理解できないかもしれませんが、音が聴き取れないのは、大きく言えばふたつあります。

1.聴こえない。  2.音が零れていく  ということです。

1は文字通り、聞こえないのです。(人工内耳をしていない時のタクの状態です。)2は、音は聴こえているのですが聴き取れない、音だけが弾んで消えていく、言葉として理解できない状態です。この状態のときは、大きな声でしゃべりかけるのではなく、ゆっくりしかもはっきり、そしてマスクなどをせず口形が見える状態で話しをしますと 理解できることがあります。大きな声はかえって音が零れていきます。

人工内耳で聴くということは、補聴器や集音器と違い、鼓膜に音の振動を直接刺激せずに、聴神経に電気信号を送りつけ感じることであり、けして音を拡張して聴くことではありません。電気信号の強弱や信号の在り方を調整し聴こえる状態にすることです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

現在、タクと音作りをしているSTさんは、聴き上手であり、必要な情報も教えてくれますので感謝しています。(ついつい、タクの話しが長くなるのを嫌な顔をせず聞いてもらっているので、あとで反省することが多いです。)

STさんは、話しのやり取りの中で、タクが欲している音や主に過ごしている環境を想定し、必要とする音を作り上げていきます。

ですから、どういったものが良く聴こえ、どういったものが聴き取れないのか。どういった環境で聴きたいのか、誰としゃべりたいのか、など具体的にお話しをすることが「音の地図」を作り上げるのには良いと思います。

そして、いったん作り上げた「音の地図」を自分なりに使いこなそうとチャレンジしてみることも大切です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

ところで、ありがたいことにSTさん用のFreedomの説明書を見ることができました。(残念ながら装用者用の説明書は、非常に簡略化されたものでした。)

 いずれ、報告の中でふれる機会もあると思います。

  ※

  ※

「裁判員制度で心配していること 3」は資料も整い、ある程度まで書いたのですが、難しい内容になってしまい、自分でも読み返すのがウンザリしてしまっています。内容は濃いいとは思いますが・・・・。

 今回は、Freedomが届きましたので、さきに報告することにしました。

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キーワードは未理解同調性

2007-10-20 21:16:27 | 聴こえ

「未理解同調性」・・・この言葉が、キーワードです。

  ◆

  ◇

「未理解同調性」とは、理解していないのにかかわらず、あたかも理解したかのように同調する行為のことを言います。

  ◆

  ◇

 裁判員制度の講習会でこの言葉を知りました。

講師は第九法律事務所、岡島 実弁護士(西表リゾート開発差止訴訟・名護市重度障害者再審査請求『ヘルパー介護時間に対する』等)、でした。(プロフィールに岡島さんご自身も聴覚障害と書かれてありました。)

 難聴者の聞こえの状態は、個人差があります。補聴器や人工内耳を装着していたとしても、完璧に聴きとれていない状態にあります。

 その聴きとれていない部分を含め、難聴者が話しを理解しようとするとき、次のような行動をします。

①今までの経験から判断する。(聞き流し、わかったようなふりをする。) 

②その場の雰囲気でわかったふりをして、一生懸命、頭の中で話しを再構築させ理解しようとする。(頷きながら、時には、はいはいと適当に相槌を打ちながら理解したふりをする。)

③言葉の最初と最後が分かった場合、まん中の言葉を置き換えて理解しようとし、自分なりの判断をする。

④皆が笑えば、意味がわからないまま笑う。

⑤話に加わることを諦める。

・・・・・・・・

 結果として、返事を求められることがあると、別の内容のことを話してしまうことがある。

    ・・・・・・・

 こういった行動は、一般(健聴)の方には、場合によっては理解されない行動パターンだと思います。

 したがって、違和感を持つことになるかもしれません。

 「聞こえていないのなら、聞こえないって言って!」と思う方がいることも知っています。

 多くの難聴者は、最初は、聞き直していたと思います。ところが、何度もそういったことをしていると、聞き直された方が不機嫌になることを経験します。そして、このような問い合わせをすることに勇気が必要になり、躊躇するようになります。

 皆が笑っているのに、どういったところに可笑しなことがあるのか聞き直すのは、その場の雰囲気を壊すことになります。

 全てが聴き取れない場合と、一部が聴き取れない場合では、対応が違ってきます。

  ●

  ○

 身体のどこも、普通の方と同じであれば、隣に、聴覚障害者がいても気付くことできません。

 ましてや、話すことができる難聴者や中途失聴者の場合は、判別することが出来にくいと思います。

聴こえることが当たり前の社会システムの中で、当然、情報が伝わっているだろうと判断することは普通のことだろうと思います。

・・・・・・・・

 もっと困ったことには、話しをしていて、辻褄の合う回答や頷きがあれば、誰もが聴こえているものだと判断すると思います。

 ここに「未理解同調性」の問題が発生するのです。

 けして、難聴者が故意にこういった行動をするのではありません。むしろ、今までの生活経験から、相槌を打った方がスムーズにことが進むことや、相手に不快な思いを持たせずに済むということを学んでいったことからでた、生活の知恵的な行動だとタクは思います。

  ◆

  ◇

 このことを、岡島さんが「難聴者」が犯罪を疑われたとき、警察官などの職務質問に聞こえないのに、笑ったり、頷いたりし、犯してもいない罪を認める結果になることを指摘していました。(「犯行の自白性の問題」)

 裁判員制度以前に、裁かれる方の問題を指摘し、こういった中での審理がはたして有効なのか・・・・、例えば聴き取れないが故に、悪意を持った人を信じ、犯罪を犯したときに、それは犯罪の事実だけを見て判決をすれば良いのかという本質的なことがあるということです。

 つまり、充分な情報保障があれば、聴覚障害者が犯罪を犯すことはなかったのではということです。

 耳が聞こえている普通の方であっても、「自白」ということで選挙違反の嫌疑をかけられ冤罪になった鹿児島での事件では、決めつけのような捜査や自白誘導や精神的な脅迫状況心理が問題になり「自白」の信用性をとわれました。難聴者の場合、犯行について聴取の時に頷いたという事実で自白したと捉えかねないことになります。

 逆に、手話のできる方を信じ、詐欺事件に巻き込まれ被害に遭う聴覚障害者の事件も昨今あり、いかに聴覚障害者が手話という方法で話ができるということに安心感を持ったかが伺われます。

 狭い世界の中だけの情報を頼りにせずに判断するには、スムーズにコミュニケーションが取れる、当たり前の情報保障があり、情報を選別できるということが必要になります。

 そして、保障されるだけでなく、それを通じ、聴覚障害者自身が話しをすることができ、一般の方との信頼関係を持てる状況が必要となっています。(情報保障の手段はいろいろあります。)

 そういった情報保障があって、初めて裁判員制度に対応できることを考えていかなければならないと、改めて認識いたしました。

 もちろん、タクの場合は、自己の行動パターン・・・「未理解同調性」について、反省もしていくことも大切だと理解しています。

 ただ、日本語は難しい・・・あの人「は」・「が」・「も」・「に」・「の」・「や」・・・・によって話しの内容が違ってくるのだけれども、これが正確に聴こえているのかは、誰にも判断できません。

 次回は「裁判員制度で心配していること 3」を掲載する予定です。

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駐車禁止除外と?部分

2007-10-10 23:10:51 | 社会

「身体障害者の駐車規制及び駐車許可制度の運用の見直し」が、全国の県警で進められています。

これは、今年の26日に警察庁交通局長名で、各地方機関の長及び各都道府県警察の長宛に出された通達が具体的な起点にあります。

この通達では、平成1961日を目途に必要な改正を行うこととされました。

これを受け、青森・宮城・山形・愛媛・香川・高知・宮崎などの地域では6月から見直しがされました。

東京や大阪などの大都市圏は8月からの施行。北海道は9月、愛知県は10月から施行しています。

大きな変更事項は、次の4点です。

<駐車禁止規制から除外されるのは・・・>

1.除外する車両を特定せず、駐車禁止等除外標章の交付を受けた身体障害者等本人が現に使用中の車両が除外対象になった。

2.対象障害種別・級別が変更になった。

3.車両を離れるときは、新たに「運転者の連絡先又は用務先」を標章とともに全面ガラスの見やすい個所に掲出しなければならなくなった。

4.患者輸送及び車いす移動専用車として登録されているものも対象

これに伴い、申請書類も一般的には、次の書類が必要とされています。(例外の県もあります。)

① 申請書

② 身体障害者手帳等(写し) →提示でよく写しの必要としない県もある。

③ 住民票の写し  → 必要としない県もある。

④ 申請代理人が申請する場合は、申請者との続柄が確認できるもの

⑤ 印鑑(認印) →本人である場合、サインでよい県もある。

●ポイントは、障害者が乗る(運転者・同乗者とも)車を指定しなくても良くなったということです。

 これはどういうことかと言いますと、福祉タクシーや知人・友人の車であっても、対象障害者自身が同乗し標章等を掲示すればよいということです。

 ・・・ピンとこないかもしれませんが、重度障害者のなかには、引きこもりがちになる方もいます。あるいは、外に出るをあきらめてしまっている方がいます。

今までは、車両に対しての交付であったので、例えば、自家用車で家族が使用していれば、障害者が他の車に乗っていても適用除外だったわけです。自家用車が家庭に2台も3台もある方は少ないでしょう。

これを障害者本人に公布となれば、外へ出るきっかけになるかもしれません。

家族とは出かけたくなくとも、友人と出かけることを楽しみにしているかもしれません。

また、今までは、障害者が乗っていなくとも、指定車両ということを口実に駐車禁止地域に駐車をするような不正な使用もあったともきいております。

その対策にもなるのではないでしょうか。

但し、今までも心臓や腎臓などに障害がある外見上では健康体に見える障害者を健康な方が疑いの目で見るようなこともあり、身体障害者は外見的に見えない障害者も多数いることは理解する必要があります。

次に大きなことは、対象、身体障害者が変更になったことです。

対象外になった身体障害者や、対象に加わった身体障害者もあり、少しどうかなと思えることがあります。

●ポイント

対象に加わったのは

視覚障害者4級の1・聴覚障害者2級又は3級・上肢機能障害者の2級の1又は2級の2・運動機能障害(上肢機能)1級又は2級(一上肢のみの場合は除く)

非対象になったのは

下肢機能障害3級の2又は3、4級・運動機能障害(移動機能)3級又は4級

県によっては、

乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害の移動機能で3級、4級、5級

その他、平衡機能障害の4級、5級・体幹不自由の4級・5級

ここで、問題は除外になった障害の多くが、歩行困難者と思われる障害だということです。

タクは、対象になった重度障害者の多くが孤立感や経済的に困難に陥っている状況を考えると、追加されるのは是としなければと思いますが、歩行困難と思われる障害をお持ちの方を除外したのはどうしてなのだろうと考えてしまいます。

基準となったのは、高速道路やJRの身体障害者割引との同一を目指すことのようでした。

もともとこの割引も、身体障害者を前向きに外出させることや、経済的な援助策だったようです。

●ポイント

 もっとわからないのが、警察庁から通達では、6月1日が望ましいとしている見直しを、今だに施行していない県が多数あるということです。

 警察組織が、警察庁と県の2重構造になっており、実施できないのだろうとは思いますが、他にも、このようにバラバラな施行というのはあったのだろうかと疑問が起こります。

 というのも、大都市圏であれば、当たり前のことなのですが、他府県をまたぎ自動車で移動している事実を考えると、一方の県は、見直し。もう一方は、まだしていないということが起こるわけです。(例えば、施行していない岐阜県と施行された愛知県とか・・・)

  個人標章は、全国どこでも使用できます。・・・矛盾と言えるでしょう。

●ポイント

 さらにわからないのは、手続き申請の仕方や書類が違うという事実です。

 一番、タクにはわからなかったのは、愛知県警の申請書類及び公示の内容でした。

 愛知県警のホームページを見ると、今回の大きな変更事項である、個人への標章交付の説明がありません。指定車両に対する交付を維持しようとする意図が見えます。必要書類として次のような事柄になっています。

  ① 身体障害者手帳等及びその写し

  ② 自動車検査証及びその写し(特定する車両がある場合)

  ③ 運転免許証(身体障害者等本人が運転する場合)

  ④ 印鑑(身体障害者等本人の申請の場合は省略することができます)

  ⑤ 身体障害者等の代理人の方が申請する場合は、関係を証明する書面等(代理で申請できるのは親族の方のみです)

 となっており、その他、今回の改正の内容などの説明もありません。

 これでは、運転免許を所持していて、自家用車を所有している者が対象だと思う方も出てくるでしょうし、申請をあきらめてしまう身体障害者も出てくるのではないかとタクは感じます。

 

つまり、いくら地方自治体の警察であっても、施行時期もバラバラ、且つ、説明文もバラバラ、申請書類もバラバラ・・・・おかしいなと率直に思います。

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聴覚障害者マーク途中経過

2007-10-08 01:22:05 | 社会

改正道路交通法が919日に一部施行し、飲酒運転や悪質運転等の罰則強化をしたことは、よくご存じのことだと思います。

今年6月に道路交通法が改正されたわけですが、事案により施行にずれがあります。

聴覚障害者に関する改正施行は、620日公布後1年以内に施行ということになっており、遅くとも来年(平成20年)の619日迄に施行されることになっています。

  ◆

  ◇

 では、何が改正になったのだろうかというと、一番大きなことは、自動車免許取得時及び更新時に高度難聴者や聾者も門前払いにならなくなることです。

 今までは、10メートル離れたサイレンの音を耳で認知できるのか、どうかで対応が違っていました。補聴器や人工内耳を装用することで聴こえるのであれば、「免許の条件欄」に「補聴器」と記載され取得も更新も可能ですし、補聴器を使用せずとも聴こえていたら、条件なしで可能でした。(この部分は、改正後も変更なしです。)

 ところが、補聴器や人工内耳を使用していても、サイレンが鳴っていることが判断できない状態(聞こえない)では免許取得も更新もできません。

 改正では、この除外された聴覚障害者に対し、一定条件を課すことによって、免許の取得や更新が可能となりました。(原付免許は付与されない。あくまで普通自動車免許が対象)

   ◆

   ◇

<条件>

①ワイドミラーの義務付け

  ②聴覚障害者マークの表示の義務付け

 これは、緊急車両対策でもあり、「聴覚障害者マーク」表示車両への幅よせ禁止等の安全対策であります。

 このあたりの経緯については、このブログですでに取り上げていますので、確認してください。

  ◆

  ◇

 国会での審議内容を見ますと、より一層これらのことがわかります。この審議内容を、末尾に添付いたしますので、参考にしてください。

 この審議内容を読む限り、これら義務事項だけでなく、坂道での安全確認など今後、免許取得の際、充分に学習する必要がありそうです。

  ◆

  ◇

 さて、「聴覚障害者マーク」ですが、913日に第1回目の会合があり、次の5項目が選定基準とされました。

 1.聴覚障害者が誇りを持てるものであること

 2.聴覚障害者を含むすべてのドライバーにとって親しみを感じるものであること

 3.夜間や離れた場所からでも見やすいものであること

 4.既存の様々なマークと混同を生じないものであること

 5.外国人にも認知されるものであること

つまり、道路交通法上で認知されているマークはいずれも植物に関連したものであったが、「聴覚障害者マーク」はそれにこだわらなく、聴覚障害者が運転しているということがはっきり分かるものにするということです。

①初心者マーク・・・・青葉マーク    →義務

②高齢運転者マーク・・紅葉マーク    →義務

③身体障害者マーク・・クローバーマーク →努力義務

これら3つのマークと違い、植物にこだわらず、今回のマークは、マーク自体により「聴覚障害者」と認知できる要素を鮮明にするという考え方です。

 また、外国人にも認知できるということは「耳」とか「みみ」とかの日本語をそのまま使用することはできないということになります。

 これらのことに関連するのですが、初心運転者で75歳以上、かつ聴覚障害者である場合、どのようなマークを車に表示しなければならないのかということ、また、この様な条件であれば、聴覚障害者は身体障害者でもあり、努力義務のクローバーマークも表示しなければならないのかということに対し、この会合の事務局は次のようなニュアンスの回答をしています。

 まず、義務事項である、①初心者マーク②高齢運転マーク④聴覚障害者マークは、いずれも表示すること。

 ③の身体障害者マークは、肢体不自由であることで運転に影響があり、操作をするということで身体障害者マークの表示を努力義務化していることが根底にあり、通常は、義務事項である「聴覚障害者マーク」だけで良いが、聴覚障害者で且つ肢体不自由な方であった場合は③の身体障害者マークも表示してほしい・・・という見解です。

 ということは、最大4つのマークを表示する聴覚障害者も出てくることになります。(ベタベタと貼ることになってしまう。)

   ◆

   ◇

 いずれにしても「聴覚障害者マーク」は次回の会合、10月下旬でデザインの原案を選定することになります。その上でデザイン会社その他から公募をすることになりそうです。

 尚、この審議の中で、ある委員から次の興味深い内容の話しもでてきました。

 「国際的なマークについてであるが、世界ろう連盟の聴覚障害者を示すマークについて、考え方が変わってきている。マークは、耳を切ったような形になっているため、良いデザインではないという意見が強くなっている。また、耳をモデルにした考え方は、聴覚障害者にとって誇りにはできないという意見がでている。」

 タクは、それって、どこの意見なのだろうと思いながらウーンと唸ってしまいました。

  ●

  ●

<補足、国会成立時の審議の様子>

では、国会での決議にいたる審議内容です。

6月13日衆議院委員会決議(聴覚障害者部分抜粋)

○矢代政府参考人 申し上げます。

 聴覚障害者の方につきましては、現在の制度は、これは欠格条件から外してはおる

わけですけれども、その適性として、一定の聴力があるかどうかというのを検査いた

しまして、それ以下の場合には適性がないということで免許が不合格になる、こうい

うことでございます。

 それで、現在制度改正を進めようとしていますのは、聴力に係る適性基準、聞こえ

方の程度でございますが、現在の基準に合致しなくても、ワイドミラーを装着した車

を使うことによりまして慎重に運転してもらえばいいということで、まず、ワイドミ

ラーを装着した車を運転することを条件に、それからもう一つは、今回法律でお願い

しようとしているわけでございますけれども、聴覚障害者が普通自動車を運転すると

きに聴覚障害者標識を表示していただくということを義務づける、そういう条件で免

許を与え、運転していただく、そういうふうになってまいります。

(質問要略)ワイドミラーをつければ大丈夫なのか?

 (略)実験いたしました。その結果、ワイドミラーを活用することによりまして慎

重な運転をいたすれば安全に運転できるという結論に達しました。

 (略)

○柴山委員 (略)道交法の五十四条では、山道とか見通しの悪い場所、こういうと

ころでは警笛鳴らせという標識が立っていまして、そこに来ると、危険回避のために

警笛を鳴らすことを義務づけているわけですね、法律上。(略)

 ぜひ御説明をいただきたいと思っております。

○矢代政府参考人 (略)結論的には、一定の訓練は必要なのでございますけれど

も、それは充足できるということでございます。

 それから、一部の公安委員会、地方の公安委員会規則で、確かに、音または声が聞

こえないような状態で運転してはならないという規定がございますが、これは運転者

の遵守事項でございますけれども、これは健聴者の方々について、この方々は通常、

音が聞こえるわけでございまして、音が聞こえない状態というのは通常ない状況にな

るわけでございますが、そういう状況で運転してはならないということでございま

す。聴覚障害者の方々は、通常、音が聞こえない状況で生活しておられますので、実

質的な問題としては、これと同列には評価する必要はないだろうという実質的な判断

がございます。(略)

≪聴覚障害者部分終了≫

○河本委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、

直ちに採決に入ります。

 (略)起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

<附帯決議>

 一、聴覚障害者が普通自動車を運転する際の標識の表示義務については、周囲の運

転者が聴覚障害者に配慮すべきことを周知徹底させるとともに、今後、聴覚障害者団

体や関係者等の意見に十分留意し、必要に応じ見直しを検討すること。

 一、聴覚障害者に対する普通自動車免許の付与条件の妥当性については、諸外国の

状況に配意し、引き続き聴覚障害者団体や関係者等との意見交換を実施し、必要に応

じ見直しを検討すること。

6月14日本会議

○議長(河野洋平君) 日程第三、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といた

します。(略)

○河本三郎君 (略)本案の主な内容を申し上げます。(略)

 第二は、(略)

 また、七十五歳以上の者及び聴覚障害者は、普通自動車を運転する場合において

は、一定の標識を表示しなければならないこと等とするものであります。

○議長(河野洋平君) 採決いたします。(略) 起立多数。よって、本案は委員長

報告のとおり可決いたしました。

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