振出し 難聴、そして人工内耳へ

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人工内耳特性を意識した音楽へのご案内

2012-12-07 23:15:53 | 人工内耳・補聴器

 12月5日の19時過ぎに、静岡大学の北澤先生から、当ブログ宛に下記コメントをいただきました。<o:p></o:p>

 あいにく、約2か月の間、当ブログを休止していましたので、このままでは、北澤先生の好意から発信されたコメントに込められた意志を届けることができません。<o:p></o:p>

 また、こんなに休んでいればとっくに忘れ去れていいほど個人的な小さなブログにも関わらず、休止中のブログを気に留めていただいた皆様(毎日90~200くらいアクセスがありました)にも申し訳なく思い、何かに後押しされるような感じで更新致します。<o:p></o:p>

 さいわい、北澤先生に先生のコメントをブログ本編へ転載すること、連絡用メールアドレスの表示についてお願いしましたところ、掲載することを快諾していただきました。<o:p></o:p>

 北澤先生のコメントは「人工内耳の聴こえの特質を考慮した方法で、音楽として聴ける曲を広げよう」というものです。<o:p></o:p>

 人工内耳装用者で「音楽」を取り戻したい、もっと良く聴きたいと考えられている方は多くいます。<o:p></o:p>

 自分もその一人で、会話や環境音を取り戻していく中で、取り残されていた「音楽」を頭の中に残っている記憶ではなく、音として聴きたいという思いを持ち続けています。<o:p></o:p>

 人工内耳装用者の勉強会でも、「音楽をもっと聴けるようにしたい」「音楽を聴けるようになる(リ)ハビリの仕方はないのか」という話題が出ます。<o:p></o:p>

 北澤先生の方法が人工内耳装用者にとって厚い壁となっている「音楽を取り戻す」という課題の突破口のひとつになってほしいと願っています。<o:p></o:p>

 ・・・・・・■ 北澤先生のコメント12月5日PM7時 ■・・・・・<o:p></o:p>

 「はじめまして、私は静岡大学で新しい方式の人工内耳の研究を行ってきました。<o:p></o:p>

 最近は、人工内耳の方が音楽を聞く方法を研究しています。<o:p></o:p>

 皆様ご存知の童謡を中心とした多数の曲を人工内耳向けに作成してみました。<o:p></o:p>

 浜松医大に調整に来られた人工内耳装用者の皆様に協力をお願いして聞いていただき、点数をつけていただいて、殆どの方に高評価いただいています。<o:p></o:p>

 より多くの方に聞いていただき、ご意見を頂き、更に改良したいと考えています。ご協力いただける方を募っています。
中途失聴の方が対象で、かつて聞こえていたときの記憶と現在の聞こえを比較していただきす。
本学まで来ていただけるとご説明させていただきながらやっていただけます。<o:p></o:p>

 遠方の方でもメールなどで連絡がとれれば、説明と手順に従ってやっていただけます。
どうかご協力をお願いいたします。<o:p></o:p>

 ―連絡用メールアドレス―  kitazawa@inf.shizuoka.ac.jp> <o:p></o:p>

 ・・・・・・<o:p></o:p>

 北澤先生、ありがとうございました。<o:p></o:p>

 北澤先生は、静岡大学 情報学部 情報科学科の教授としてご活躍されています。<o:p></o:p>

 自分が北澤先生のことを知ったのは、「人工内耳のための音楽作成方法」という研究で2011年6月10日に新技術説明会で説明されたPDF資料でした。<o:p></o:p>

 ・・・・・・<o:p></o:p>

 自分は全てではありませんが、人工内耳で音楽を聴き、楽しんでいます。<o:p></o:p>

 全てではないというのは、スピーカーを通じて音楽を聴くということではなく、FM補聴システムやヘッドホン、Tコイルなどを使用して、携帯型の音楽プレーヤー(iPodやウォークマン等)で聴くという、つまり、音楽を拡散しない方法で楽しんでいます。<o:p></o:p>

 映画の「のだめカンタービレ最終楽章」は楽しめましたが、ショップに氾濫するバックグラウンドミュージックなどは、まだまだ雑音として聴こえてしまいます。<o:p></o:p>

 また、聴ける音楽と理解できない音楽が混在しています。<o:p></o:p>

 例えば、自分が好きなビートルズの曲でもわかる曲とそうでない曖昧な聴こえの曲が混在している状態にあります。<o:p></o:p>

 自分の場合は、歌声がしっかりしている音楽、情景が判っていてイメージが湧く音楽、リズムで引っ張っていく音楽(ロックも含め)・・・どちらかと言えば複雑でない音楽の方が聴きやすいです。<o:p></o:p>

 また、人工内耳を装用してから初めて聴く曲の場合は、あらかじめ曲名や歌詞がわかるとイメージしやすく、それが、メロディーとして聴く大きな手掛かりになります。<o:p></o:p>

 もっとも、メロディーが手掛かり通りに聴こえないとガッカリすることが多いです。<o:p></o:p>

 ・・・・・<o:p></o:p>

 さて、北澤先生の「人工内耳のための音楽作成方法」の中で、人工内耳装用者は日常会話をすることに関しては問題ないが、音楽については、楽曲の音階と電極の周波数が対応していないことや、電極数が楽曲の音階を表現することには不足しているので「音楽」として認識することは困難と指摘しています。<o:p></o:p>

 音を聴神経に電気信号として伝える電極数が限られていることから、「ある電極」は、440Hzから600Hzまでの周波数を受け持ち、520Hzの振動として伝えている。これでは音楽としてのメロディーが伝わらない。つまり、人工内耳特有の「人工内耳音階」で音楽を理解しようとしており無理が生じる。この「人工内耳音階」が捉える音を理解したうえで、できるだけ多くの音程が異なる電極を刺激するように移調していく、すなわち「拡張人工内耳音階」でメロディーに対応していく。この移調処理により高周波側に偏った音階(メロディ)を、歌唱声域の音階に移動させていく。次に音声の聴取を主目的にしている人工内耳の特性の長所を活かし、歌詞の伴う楽曲は、歌詞音声化の併用を行う。<o:p></o:p>

 これらのことにより、人工内耳装用者が音楽に楽しめるようになり、小児の情操の発展に好ましい効果が期待できるのではないか・・・。<o:p></o:p>

 北澤先生は既に2011年6月時点で日本の童謡130曲の編曲を完了しているとのことが書かれていました。<o:p></o:p>

 ・・・・・・・<o:p></o:p>

 自分の場合は、人工内耳で「音楽」を聴くには、<o:p></o:p>

 ①知っている曲をイメージし聴くということ ②何度も繰り返しわかる部分を取っ掛かりにして、理解できることを広げていく ③歌詞があるのであれば、歌詞を追いかけながら聴く ④一端、理解できた曲は、次には他の曲理解のステップになると同時に、楽しめる自然な音楽に変換していく ⑤補聴支援機器(FM受信機・ヘッドホン・Tコイル・メーカー推奨アクセサリー)を使用して、音楽が空気振動に拡散される前にできるだけ直接聴く工夫をする<o:p></o:p>

 ということでしたが、北澤先生は、ある種人工内耳の聴こえを活かし、それを利用することで移調し、楽曲そのものを編曲していき、聴きやすい音楽として聴くというステップを加えたということになるのではないかと思います。<o:p></o:p>

もしかしたら、「・・・らしい音楽」による音楽理解なのかもしれません。その編曲した楽曲は、健聴者が聴いた場合には、ある種新たな音楽として聴こえるのかもしれないなどと想像します。<o:p></o:p>

 北澤先生、誤った理解をしていましたら、ご指摘ください。<o:p></o:p>

 ・・・・・・<o:p></o:p>

 最近(11月25日)に、メドエル社人工内耳装用者を中心に発足発展してきた「きこえを学ぶ会」の勉強会に参加して、東大先端研の大沼先生のお話を聞くことができました。<o:p></o:p>

 その話も、前提として補聴器ではなく人工内耳で聴くということを意識した(リ)ハビリ、大沼先生の言葉でいえば「サウンドツアー」の在り方についてのお話でした。<o:p></o:p>

 北澤先生の研究同様、「人工内耳」を意識した在り方を考える機会となりました。<o:p></o:p>

 次回は、この内容もしくは、京都で開催された京都大学耳鼻咽喉科主催の市民公開講座及び声援隊主催の勉強会での話し(再生医療)について書いていきたいと考えています。<o:p></o:p>

 本日は、ここまで<o:p></o:p>

 

コメント (9)
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