振出し 難聴、そして人工内耳へ

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少し雇用について考えてみました

2008-03-27 21:50:19 | 社会

ときおり、景気の動向に関連して有効求人倍率が話題になることがあります。

「改正障害者雇用促進法」が今国会に上程されましたが、一向に審議されている様子が見受けられません。昨日(3月26日)になって、衆議院の厚生労働委員会でやっと主な議案の説明がありましたが、その先が見えないという状態になっているようです。

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さて、何故、有効求人倍率の話しを切りだしたかと言えば、「改正障害者雇用促進法」のなかに障害者の短時間常用労働者を雇用カウントに組み入れることがあるからです。

このこと自体は、確かに重度障害者他、ニーズとして短時間労働(パート)を必要としている部分もあり、タクもうなずける部分があるのですが、問題は社員としての障害者雇用がなし崩しに低下していくのではないかということに対し危惧しているのです。

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皆さんは今、有効求人倍率の中身を分析されたことはありますでしょうか?

そういうタクも、細かなところまで数字を分析していません。

ただ、先の内閣、安倍前総理が「再チャレンジ」ということを掲げ、現内閣、福田総理も「格差社会の是正」をスタンスとしてお持ちのようですので、あえて、この有効求人倍率のことを今回は簡単に取り上げてみます。

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正社員化という掛け声が始まって、正社員化が進んだのかというとそうでもなさそうなのです。

じつは、有効求人倍率の中身を見ると、平成19年5月から平成20年1月まで「社員」の求人倍率は連続して9カ月下落しているのです。

つまり、正社員化は求人という窓口から排除され、進まないという現状があるようです。

平成19年12月の数値を見てみると、求人の構成は、正社員44.4%に対し、パート・派遣・契約社員などが55.6%になっており、これは平成18年よりも正社員の求人比率が低い状態になっています。

このパート比率の拡大は、厚生労働省が公表している平成19年の毎月勤労統計調査でも明らかな数値を残しています。常用労働者に占めるパート比率は26%に達しており、この数値は10年前と比べ10ポイント近く上昇しています。このことは、10年前と比べれば労働者の現金給与総額を減少させるひとつの原因にもなっています。ちなみに減少額は約4万1千円になります。

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求人という窓口で絞られ、実際の雇用の現場でも社員の比率が減少する中での「改正障害者雇用促進法」の短時間常用労働者の取り扱いについては、どうやら注意して見ていく必要がありそうです。

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くどいようですが、今回の改正案に全面的な反対をしているわけではありません。

どうも日本社会においては「規制緩和の名のもとに」、あるいは「市場に任せるという名のもとに」、歯止めまでもなくしてしまう傾向があるようで、結果的にそれが「多様化する雇用形態」などと表現されますと、首をかしげたくなるのです。

短時間雇用を望む方も多くいらっしゃると思います。しかし、社員になれないのでやむなく非正規社員になる方もいるという現実も把握しておいた方がよろしいのではと考えています。

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あまり、ピンとくる話題でなく、取り上げるのにどうかなと思いましたが、こんなブログもあってもよいと思い取り上げてみました。

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さて、厚生労働省は3月24日に「平成18年身体障害児・者実態調査結果」の詳細を公表しました、近日中にこれら調査で「聴覚障害者」に関わる部分を中心に取り上げる予定です。

尚、タクが個人的に尊敬している、「カインド福祉ネット」他の事柄についても取り上げていきます。

また、新FMシステムで実験したことも簡単に掲載する予定です。

よろしかったら、また、お読みください。

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グズグズとして・・・

2008-03-27 00:30:33 | 聴こえ

しばらく、ブログをアップしていませんでした。

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それは、アクセス回数を気にしている自分に気付いたことによるもので、自分のペースを取り戻すため、しばらく休んでいました。

そうしないと経験上、自分を見失ってしまうことを知っていますので・・・つまり、頑張りすぎてしまう・のめり込んでしまう・・・結果、仕事人間になる(今回の場合は、ひたすらブログ更新のためのブログ作りをすること)という特発性難聴発症時(突発性難聴)の誘因を知っていますので、これは頑張りすぎないことにしました。

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で、何をしていたかというと

①「再生医療学会」の市民講座参加

②「FMシステム」を使用した聴こえの試験(かなり自分では面白い実験でした、機会があればブログに体験談を載せます)

③マリンバを中心とした打楽器&バッハ演奏会鑑賞

④個人的な研修会参加

日本評論社「そだちの科学」9号(特集:視聴覚障害とそだち)・・・読書

⑥一橋出版「中途失聴者と難聴者の世界」(山口利勝氏 著)・・・現在、読書中

赤外線システム(アシストホーン)使用のプラネタリウム閲覧申込

マッピング(人工内耳音調整)

などです。こう書くと忙しそうな感じですが、実際は怠惰な生活を送っていました。

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しかし、それらにより却って思わぬ落ち込みを経験させられました。

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①③④のような広い会場で、予測していましたが、「人工内耳装用者」として限界を感じてしまったのです。

これは、補聴器使用者でも同様のことなのですが、やはり、よほど会場の音響がマッチしているか、要約筆記や磁気ループ、手話が使える方は手話通訳 等、情報保障の環境が整っていなければ、研修や音楽を聴くことは難しいと感じました。

「再生医療学会」市民講座は、大教室形式でしかも、会場後ろの扉が開放したままでのマイクでの講義。

音楽会は、逆に音響が良すぎて(天井が高く、すり鉢状の会場)打楽器も音声も響きすぎて分かりづらい状態であり、バイオリンもたぶん美しい音色なのだろうと思いつつ、人工内耳を通して聴こえていた音は、美しい音色とはなりませんでした。

「個人的な研修会」ではFMシステムの使用をお願いしましたが、講師がたくさんいて、プロジェクターでの解説などで、思うようにFMシステムの効果が発揮できなかったことによる、多面的な研修での限界、などなど・・・・お手上げ状態でした。

つまり、どれも、音は聴こえるけれども、聴き取れる音声や音楽になっていないという、人工内耳や補聴器の限界を感じる結果になったのです。(音が零れおちていってしまうということですね・・・)

しかも、「再生医療学会」市民講座の話しの中で、他の神経細胞の再生のことは出てくるのだけれども、聴覚神経のことは出ず、パワーポイント画面でも「聴覚」に関わる文言が出てこないので、聞き取れていないタクの立場としては、聴覚神経再生って難しいのかな・・・というような判断をしてしまう・・・後ろ向きな発想を抱え込む結果になってしまいました。

それにもまして考えさせられたのは、「再生医療学会」市民講座に参加していた障害者のグループ(脊髄損傷の患者の会の方達)が講師に対し、熱い願いと期待を述べていたことでした。

この姿を見ていて、「聴覚障害者」の場合は、これほど、まとまった形で行動できないのではないかという思いがして少しがっくりした気持ちになりました。

「聴覚障害」といっても、ネイティブな「ろう」の方もいれば、「難聴者(難聴者も幅広い)」、「中途失聴者(中途失聴した年齢により体験も異なる)」、「人工内耳装用者(幼少者と中途視聴者の層の二分化)」もいます。それぞれに抱えている悩みも違いますので、これらが一同団結して、「再生医療」を望んでいるかと言えば違ってしまい、どうしても、個人的な行動や願い・希望になってしまいがちです。

「脊髄損傷の患者の会」が再生医療ということに一致した行動を取っているのに対し、「聴覚障害者」は一致した行動をすることができないということは、健聴者から見れば分かりづらいだろうなぁと考えてしまいました。

今でもそうですが、「人工内耳」に対して賛否両論がある実態から見ても(抱えた問題が違うということもあり)「再生医療」に対しても一致した行動ができないのだろうなぁと漠然と受け止めてしまい、聴き取れないことへの落ち込みと相まって一層、雨上がりの帰り道ですっきりしない気分になっていました。

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そんなこともあり、気持ちが暗そうになりそうなのでほっぽり投げていた本で(失礼!)「中途失聴者と難聴者の世界」(山口利勝氏著)を引っ張り出してきて読みだしています。また、「そだちの科学9号(特集:視聴覚障害とそだち)」(視覚障害児・聴覚障害児の現状という内容)という雑誌も読みました。

どちらも、整理して考えていくのにはとても参考になる本でした。

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今日は、再更新にあたりグズグズと勝手な思いを載せましたが、そんな日のブログもありかなと思っていただき、今回は大目に見てください。

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新FMシステムについて 後半

2008-03-10 22:21:15 | 人工内耳・補聴器

補聴器や人工内耳で聴こえる音には壁があります。

もちろん、個々人の聴こえの状態の違いがあり、聴こえることに対する要求、尺度が違いますので格差は生じます。

では何が壁かと言えば、外での会話、雑踏の中での会話、反響しやすい部屋での会話、広い会場での講義、会議室でのやりとり、電話でのやりとり(特にスピードのある話し手の一方通行的な会話)、音楽を聴くこと・・・など聞き取りには補聴器や人工内耳の機械的な限界を感じます。

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前回に続いて掲載します「新FMシステムについて」は、多少でもこのような壁を乗り越えるための手段としての機器の紹介です。

タクとしては、医療の更なる進展や、人工内耳や補聴器自体の聴こえの追及を期待しつつ、現実の状況で打開する術はないのかということからの掲載になります。

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さて、FMシステムは確かに広い会場での講義や教室での先生のお話しを聴き取るには効果がありそうです。また、利用の仕方で会議等持ち回り的な意見の場でも利用できるかもしれませんし、テレビなどの音を聴くのに役立ちそうでもあります。また、友人と雑踏の中を歩いている最中での会話もできそうです。

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FMシステムは、送信機と受信機があって成り立ちますが、FM電波として送信された音声は、別にひとつの受信機だけが受け取るものではありません。したがって、送信側が発した音声は、受信側に幾人かいても同時に聴き取ることができます。

この逆で、学校などで教室の違うところで、電波キャッチ範囲内で送信者が複数いるとしたら、受信側は混線してしまい、せっかくうまくキャッチできている音声が混乱したまま聴きとることになります。

ここに「マルチチャンネル」とか「簡単チャンネル切り替え」ということが生まれてきます。

でも、これは、複数送信者が存在するという環境可能性がある学校施設などに限られることだと想像します。

こういった、複数送信者が同時に音声送信する可能性がある場合、送信者側で受信者のチャンネルを変えることで混線による混乱を防ぐことが「簡単チャンネル切り替え」です。

したがって、この機能は学校での使用を想定した送信機「キャンパスSX」の機能に含まれます。

一方ぶら下げ型の送信機「イージー・リンク」や「ズーム・リンク」では送信者が複数いることがあり得ないという想定から「簡単チャンネル切り替え」機能はついていません。

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補聴器や人工内耳装用者で磁気ループを使用した会合に参加された経験をお持ちの方が、いらっしゃると思います。

そこで聴こえる音声で聞き取りが良いと思われる方は、受信機が誘導コイル(磁気ループ)対応型の「マイ・リンク」で充分です。全く一緒、あるいはループが首にあるだけ良いというイメージです。

ただ、フォナックのカタログ資料での注釈の中にある「誘導コイルの特性のため、言語獲得前のお子様向けにはお勧めしておりません」ということが引っかかります。

それは、次のことによるものです。

磁気ループでの音の拾い方は、FMでの音を拾う範囲よりも狭いことからです。

つまり、全ての音域を磁気ループでは拾いきれないため、耳の機能が良い方から、磁気ループで聴くと別の音に聴こえるという反応が起こるそうです。(タクは音楽以外であれば大丈夫だとおもっていましたが・・・・音楽も片耳用Mリンクで聴くこともあります。)言語獲得前のお子さんに対し、できるだけ幅の広い自然な音を届けたいという意味で書いてあるようです。

そこでメーカーや取扱販売店では、誘導コイル対応型受信機よりも、FM電波を直接受信する「マイクロMLxS」とか「フリーダム耳掛型専用のマイクロリンク」の方を勧めているのです。

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ただ、人工内耳でも補聴器でもそうですが、音楽などは、機械的な限界がありうまくキャッチしきれないのも事実であり、FMでたとえ入ったとしてもどこまで機能として対処できるのかは不明です。

いずれにしても、取扱販売店の話しをお聞きすると、「学校のような場ではマイクロMLxS等のような直接FM電波を入力できるタイプを勧めています」とのことでした。

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以上のことから、コクレア社が提案している、FMシステムセット以外にも送信機や受信機はあり、フリーダム耳掛型の特別製受信機は別にしても、2受信機・3送信機になり、その組み合わせは意外と自由にできます。(詳細は取扱い販売店にご確認ください)

価格と使用場所・使用方法により選択することができそうです。

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※なお、フォナックカタログはフォナックホームページ、FMシステムのところで請求できます。

ご確認することをお勧めします。

※似たシステムで、補聴器ではスターキー社のワイヤレス通信機器「プルーパルEパック」があります。スターキージャパンのホームページで確認できます。

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<お知らせ>

1.「改正障害者雇用促進法」が3月7日(金)に閣議決定され、同日付で衆議院・参議院に内閣法案として受理されました。これで、今国会(通常国会)で審議されることになりました。

  尚、この内容については、幾度かこのブログで取り上げていますのでご承知だと思います。

  再度、取り上げた方がよろしければご要望ください。

  この法案が成立しますと、平成21年4月1日から施行します。

  但し、短時間労働者等の雇用義務(0.5人勘定)及び障害者雇用納付金の納付義務等の対象範囲の拡大(201人以上の事業所)については、平成22年7月1日施行。

  さらに101人以上事業所への拡大は平成27年4月1日施行。

  障害者雇用支援センターの廃止は平成22年7月1日施行。

  という内容が法案末尾に盛り込められています。

2.名古屋国際会議場で13日・14日に開催される「再生医療学会総会」で14日18時30分から20時30分までの市民講座の参加申し込み受付が延長されています。

  先着300人までOK。市民講座は2つあります。

  詳細は、日本再生医療学会ホームページ、名古屋総会をご覧ください。申込方法も書かれてあります。

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新FMシステムについて 前半

2008-03-09 10:31:17 | 人工内耳・補聴器

2月にコクレア社(人工内耳メーカー)から、新FMシステムカタログが送られてきました。

この新FMシステムは、昨年、秋の電波法改正により補聴器専用周波数帯として169MHz帯が新たに加わったことへの対応として提案されたものでした。

この新補聴器専用周波数帯のメリットは、雑音が入りにくいこと、使用距離が30メートルと飛躍的に広がったことが大きな特徴としてあります。

タクの場合の最大のデメリット、高価なことです。

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ところで、この対応型の機種としてコクレア社が提案したのがフォナック社の送信機「キャンパスSX」でした。

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これで、国内で取り扱われている人工内耳メーカー全て(コクレア社・メドエル社・バイオニックス社)が、フォナック社のFMシステム機器で対応をすることになりました。

フォナック社は、ご存じのように補聴器のメーカーです。

小型のFM受信装置を世界で最初に取り扱ったのもフォナック社でした。

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人工内耳装用者や補聴器使用者にとって、会議、講演、講義、教室などのような比較的広い会場で、多人数いる中で司会者や講師の話しを聴くことは困難です。

そういった会場に行き、苦い思いをした経験はあるのではないでしょうか?

もちろん、そのために磁気ループや手話通訳者、要約筆記記者の情報保障に係る設備や手配があれば、何とか参加できると思います。

しかし、この様な情報保障の配慮がされている講義や講演は残念ながらありません。

つまり、聴こえている方たちのための講義や講演になっているのが現状です。

知りたい情報やタイムリーな話題が、なかなか難聴者まで届いてこないのはこのようなことも原因の一つとしてあると考えます。

・・・・・・

また、一見、主催者が配慮していると思いこんでそれでよしとしているケースもあります。

例えば、昨日(3/8)、タクは弁護士会主催の裁判員制度の講演に参加してきました。

そこでは、入場口で手話通訳者を必要とする方は申し出てくださいと書かれてありました。

講演が始まるとなるほど手話通訳者が司会者の隣にいて通訳をされていましたが、要約筆記については皆無ですし、もちろん磁気ループも設置されてはいません。

つまり、弁護士会であっても、聴覚障害者=手話という図式を超えたイメージを持てないということになります。

実際には、難聴者のかなりの方が手話はできませんし、聾者と難聴者の手話も表現方法に違いがあります。ましてや中途失聴者に限っていえば、ドラマと違い、聴こえなくなったからと言ってあくる日から手話が使えるようになるなんてことはあり得ないのです。ましてや、聴こえなくなってからの手話取得の学習は思った以上に困難です。(年齢的なこと、それまでの聴者としての経験が逆にネックになるなど・・・・色々な条件が重なっているのです。)

このようなことを一般の方に理解していただくのには、かなりの労力がまだまだ必要なようです。

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FMシステムは、難聴者個人がそれらを補う手段のひとつとして捉えても良いでしょう。

言い換えれば、難聴者が行える個人的な情報保障に関する自己防衛とでもいえるものかもしれません。

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コクレア社から届いた新FMシステムのカタログを開いて、やはり最初に見たのはタクの場合は価格でした。(つまり機能も大切だが購買できるだろうかということです。補助申請については地方自治体によってまちまちです。)

セット組(送信機・受信機等)価格であっても189,000円~226,800円と非常に高価な価格帯になっています。

もっと手軽な価格帯であれば、飛びつくことができるかもしれませんが、こういった価格帯の場合、本当にこのFMシステムを必要とする機会がどれくらいあるのだろうかと考えてしまいます。

つまり、まとめると次のようなことになるのではないでしょうか?

①どのような場面で聴くことになるのだろうか?

②その頻度はどれくらいあるのだろうか?

③知人にもお貸しできるような汎用性があるのだろうか?

④人工内耳や補聴器が新しいタイプになっても使用可能なものなのだろうか?

⑤コクレア社がセット組しているものでしか使用できないのだろうか?

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そこで、これらの疑問を少しでも解決するためにタクは、次のようなことをして確かめることにしました。

1.コクレア社ではなく、補聴器メーカーであるフォナック社にカタログを請求

2.「めだかの学校」(愛知県蒲郡市のグループ・・・カインド福祉ネットのソラシリーズの普及等、難聴者のための情報保障機器の普及など独自の活動を行っているグループ)が主催したFMシステムの試聴会に参加

3.フォナック社FMシステムを取り扱っている補聴器販売店で疑問点を確認

  ●

これらは、3月1日午後から3月8日午前中までに行ったことですので、まだまだ情報がたりないこともあるかと思います。

したがって、FMシステムをすでにご使用されている方、あるいは試聴された方からみれば、解決済みのことだと思いますし、あえてこのブログに載せる必要はないのかもしれません。

ただ、学校が始まる時期、参考になることがあれば良いなぁと思い・・・・いや、ただ単なるタク自身の好奇心(笑)だと思います。調べたことを掲載することにいたしました。

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まず、試聴ですが、

じつは、愛知県蒲郡市に行くのは少し遠いこともあり、その日の午前中に用事を済ませ、設定された時間に着くことはできないだろうなと思いながら向いました。

その関係で30分程度の試聴で終わってしまいました。(会場を設営して頂いた「めだかの学校」の方達にろくな挨拶もできず大変失礼いたしました。)

<送信機>

この試聴に使われたのが、フォナック社の送信機が「イージー・リンク」というマイク内蔵型で送信側(つまり学校で言えば先生)の首にぶら下げて使用するタイプのものでした。

このひとつバージョンを上げた送信機に「ズーム・リンク」があります。

違いは「イージー・リンク」が指向性マイクのみであり「ズーム・リンク」が高指向性・指向性・無指向性の3タイプのマイクに切り替えることができるということくらいです。いずれも、外部入力端子(TV、CDプレーヤーとの接続)を持っています。

<受信機>

Tコイル対応タイプの「マイ・リンク」という受信機でした。

この特徴は、マイクで拾った音声を、首でぶら下げた(ネックレス部分がTコイルになっています。)受信機で聴くということです。

・・・・・つまり、Tマイク切り替えができる人工内耳スピーチプロセッサや補聴器であれば、機種に関わらず、例え、新しいタイプの人工内耳(3Gからフリーダムとか)・補聴器になっても使用可能ということになります。

<試聴した感想>

1.大教室形式での試聴でしたが、充分、聞き取りができました。これであれば、講義や講演も聴き取れるという感じがしました。

2.会場の音を拾いたかったのでTスイッチよりMTに切り替えてみましたが大丈夫でした。

3.送信機が「キャンパスSX」と違い、マイク内蔵ということで少し大きめですし、受信機も首にぶら下げるタイプですので、小さな子供には負担が大きいかもしれませんが、大人であれば携帯電話をぶら下げているようなものであって大丈夫という印象でした。

4.会議を想定し、送信機を司会者にぶら下げるのではなく、デスクに置いて3人程度で会話しましたが、これも可能でした。(但し、人工内耳装用者や補聴器使用者の聞き取り能力の差があります。)

これは、逆に言えば、会議などで送信機を発言者に持たせて使用するということができ、何も送信機を固定して(先生など)考える必要はないことになり、かなりの汎用性が期待できると感じました。(一般のマイクのように使えば良いのです)

これは、学校などでFMシステムを聴くという機会が頻繁にない、成人者にとっては便利な機能です。

講演会においても、司会者と講演者が違う場合、ピンマイクを取り外すのではなくマイク内蔵型の送信機を手渡せば良いことになります。

5.送信側も受信側もセッティングが簡単です。これは、どちらも首にぶら下げれば済みます。

<価格について>

フォナック社のカタログ資料をみると、

送信機側「イージー・リンク」・受信機側「マイ・リンク」が障害者自立支援法対応価格として設定され、一番、安価な組合せでした。

「イージー・リンク」が税込69,615円、「マイ・リンク」が68,250円で、合計137,865円になります。

<別の使用方法>

テレビなどを観る場合、「イージー・リンク」をスピーカーの前に置いておけば、遠くにいても聞き取ることが可能です。

つまり、家族が使用するボリュウムとほぼ一致したボリュウムで一緒に楽しむことが可能かもしれません。

また、雑踏などでお話ししながら歩くには、送信機を首にぶら下げていただければ快適に聴こえるかもしれません。

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もちろん欠点もあります。この答えはカタログの中にヒントがありました。

カタログを見ると

「マルチチャンネル」とか「簡単チャンネル切り替え」とか「マイ・リンクの説明文の中で・・・誘導コイルの特性のため、言語習得前のお子様向けにはお勧めしておりません」というようなことが書かれています。

また、送信機と受信機の組み合わせが自由に選択できるのか?つまり送信機を「キャンパスSX」にしなければ、本来のFM受信はできないのかということについて、FMシステムを取り扱っている補聴器専門店にお尋ねしましたので、後半はそれらの事柄を中心に掲載していきます。

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耳の医療 6-5

2008-03-01 10:52:22 | 聴こえ

さて、京都大学医学部耳鼻咽喉科「これからの難聴・耳鳴治療」、市民講座の最後は「耳鳴治療」です。

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タクは「耳鳴」はしますが、それで気がめいるほどのものではありませんので、自身では大きな問題として捉えていない部分があります。疲れるとタクの場合は「耳鳴」が大きくなるようでツーンという音やジーンとする音、どちらかと言えば金属音が聴こえます。

ついては、「耳鳴」自体をあまり気にしていなかったので、メモがおろそかになっていますことを最初にお詫びします。

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でも、最後は本気モードで小川先生のお話しを聞いていました。

なるほどという思いを持ったので、話題になった部分のことで調べたのですが、調べが足りないのかちょっと残念な結果になりました。このことについては、のちほど書きます。

・・・・・・・・・・・・

皆さんは「耳鳴」どのように聴こえていますか?慶応義塾大学の小川先生のお話しによれば、この「耳鳴」の表現の仕方(擬音)が多彩にあるのは日本人の特性であって、外国(ヨーロッパとか・・・)ではこのような表現をしないので、研究論文などで、この

表現が使えないということを嘆いていました。

・・・・・・・・・・・・

小川先生のお話しの前に、平海先生が丁寧に「耳鳴」とはのことを説明してくれました。分かりやすい話し方で、きっと患者さんにも明確にお話しされているのだろうなと好感の持てる話しぶりでした。

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平海先生は、耳鳴はどこから発生しているのだろうということの原因究明から、治療に向けて今後どういった方向で捉えようとしているのかについてお話しされました。

タクは自分の耳鳴が金属音のような「耳鳴」をしていますと書きましたが、現在、タクは人工内耳をとれば全く音が聞こえない耳をしています。

つまり、耳が聞こえていない者であっても「耳鳴」があるということです。

従来からの「耳鳴」の捉え方は、①耳に原因がある。という説と②頭(頭脳)に原因がある。という説がありました。

現在では、それに加え③精神的な要素もあることがわかってきました。

①耳 ②脳 ③心 これら3つの要素が影響しあい、「耳鳴」が発生しているのではないかという話です。

・・・・・

①内耳・聴神経から来る耳鳴(耳)

「耳鳴」という症状を訴えている大部分の方は、なんらかの難聴を伴っています。ですから難聴が「耳鳴」のきっかけだとも考えられます。

ご存じのように、内耳の中の有毛細胞は「内有毛細胞」と「外有毛細胞」があり、役割はそれぞれ「内有毛細胞」は音を感じて脳に伝えることですし、「外有毛細胞」は音の感じ方を調節することです。

吉川先生の話にも出てくるのですが、「外有毛細胞」は損傷しやすく(この部分はタクが理解するための前提として書き入れました。)「外有毛細胞」に障害が生じると音の調節ができませんし、残された「内有毛細胞」がその分までカバーしようとして常に興奮した状態になったり、正常より弱い刺激で興奮したりして、「耳鳴」が生じることになります。

また、内耳よりも深いところにある聴神経が血管に圧迫されて傷つくことで「耳鳴」が発生する可能性もあります。

やっかいなことに・・・・・・

人間の耳は、もともと「敵から守るため」「獲物を獲るため」という基本的な音の情報を得るために発達してきましたので寝ることで他の部位は休んでいても耳だけは休んでいません。つまり、内耳に障害が起こっているということは、寝ている状態でも常に音が入ってくることなので「耳鳴」も寝ている状態でも聴こえることになります。

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②脳から来る耳鳴(脳)

いったん音が耳にはいりますと、音は内耳を通じて聴神経に伝えられます。→脳幹→大脳へという聴覚路(音を音として識別するための情報伝達経路というべきものか?)で伝わっていきます。

つまり、ドという音・レという音・ミという音の識別をし、それぞれの音を担当する細胞が脳の中にあります。

内耳に何らかの障害があって、この内の例えばレの音がうまくキャッチできなくなるとその音を担当する部分の脳細胞も休んでしまいます。脳細胞はある意味、弱肉強食の世界ですから働かなくなった脳細胞のレの細胞を押しのけるようにドとミの担当が大きくなります。また、そのほかにも働かなくなった脳細胞の周辺には普段休んでいる細胞がたくさんありますからこれらの細胞が動きだすようになります。

これにより「耳鳴」が発生すると考えられます。

また、難聴が長く続くと、もともと聴こえなかった音を担当していた脳細胞が他の音に反応するようになり(要するに不協和音か?)、これも「耳鳴」の原因になります。

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③精神的要素の強い耳鳴(心)

最近の研究で、従来から言われてきた「耳」・「脳」に加え「心」も大いに影響していることがわかってきました。

音の刺激は、聴覚神経を通して脳の聴覚を司る部分だけ音の信号が伝わるのではなく、感情を司る部分にも音の信号が伝わっていることがわかりました。(タクは勝手に注釈を付けますが、歯医者さんが歯を削る音や、ガラスを爪だてる音が不快な音として聴こえますが、これって、音だけでなく感情からも不快感を持つからではないのか?)

つまり、「耳鳴」のある方は常にその信号が感情を司る大脳辺縁系という部分に送られるため、気分が塞ぎ込みがちになりやすくなり、精神的な要素と「耳鳴」が悪循環を生じてますます症状を悪化させているのではないかと考えられます。

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以上が平海先生のお話しでした。

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これを受け、小川先生のお話しがありました。小川先生は実際の治療についてお話しをされていました。

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米国やドイツでは人口に15%が何らかの耳鳴を感じており、そのうちの20%が治療を要する激しい耳鳴を有しているとされています。

日本では300~400万人が頑固な耳鳴に悩まされていると推測できます。

しかし耳鳴がしても80%の方が生活に支障をきたしていないので20%の人のなやみが理解されにくい状況があります。

これから高齢化やストレス社会により、ますます耳鳴に悩む方が増えていくだろうと思います。

これは、耳鳴がどんなものでどれくらいの音なのかを測る機械がないことから、医療的にも治療方法が確立できない原因とされてきました。(痛みやかゆみと同じような自覚症状であり多様だということもあります。)

耳鳴で自殺してしまう人・耳鳴で人を殺してしまう人(師事した先生の例・・・メニエル病患者で耳鳴に悩まされた患者がちっとも耳鳴が改善しないことから医師を殺害)までいます。小川先生自身も耳鳴をお持ちだそうです。

平海先生もお話しされたように、心・脳・耳に関連していますのでそれに即した治療が必要になっています。

小川先生は、何度も「難聴」と表裏一体にあるのが「耳鳴」だとおっしゃっていました。

難聴と耳鳴はWHOでもQOL(生命の質)を損なうものだと(7番目)認定されている。つまり難聴や耳鳴が続けば、生きていることの充実感が得られず、うつになりやすい。逆に言えば、耳鳴り治療の一歩としては心の問題を抜きに出来ないともいえ、抗不安薬・抗うつ薬の処方で改善される場合もあります。

以前は、耳から主に耳鳴が発生すると思われていたので、聴神経を切ることで(つまり聴こえなくなることを選択すること)耳鳴を解決しようとする人もいたが、改善された方と変わりない方の統計を見ると、この方法が良いとは言えない。

・・・・・・・

今の治療で画期的だと言われている治療方法としてはTRT(耳鳴に対して聴覚中枢を再訓練する治療方法)があります。

これは、耳鳴自体を消すのではなく、耳鳴に適合する聴覚をつくる方法で、日本ではシーメンスが取り扱っています。・・・・「耐性耳鳴治療」

つまり、補聴器のような(実際、画像で見る限り耳掛型補聴器そのものであった)機器を使用し、あらかじめ充分にカウンセリングしたうえで測定し作られた小さな音を一定時間聴くことによって、耳鳴の音を不快な音から普段聴こえている音へと意識づける治療方法です。

小川先生のところでも、改善した事例がいくつかあるそうです。(耳鳴の罹っている人は静かな場所にいるのではなく、例えばBGMが常に流れている場所にいて音になれる必要があるようです。)

ただ、この治療も、TRTだけでなく、薬物とか心のカウンセリングと一緒に行った方が良いとのことでした。

(ただ、残念ながらシーメンスはこの医療機器から撤退することを表明しています。小川先生の話しではTRTを取り扱っている病院検索もシーメンスホームページ上で示されているのではないかとの話しでしたが、念のためにシーメンスを検索しましたがすでに掲載されていない様子でした。検索の仕方が悪いのかもしれませんので、見つけましたら教えてください。)

(小川先生は、この機器自体はシーメンスだけでなく他社でも取り扱っているが、外国でのことであり、日本では1社のみとのことでしたので、もしシーメンスがこの分野から完全撤退しているようであれば、薬事法の問題がありますので早く他社が認可申請をし認可されることを希望します。)

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以上、タクの報告は終了します。

ただ、タクがメモして書いたことは、タクの視線から書いていますので、他のブログで同様な報告があればご覧になることをお勧めします。

また、京都大学ではこのプログラムのレジュメを作成していますのでこれも参考にしてください。

他のブログでこの市民講座の具体的な内容が書かれているのは、タクが見た限りでは、

「POOL」というブログでした。この件だけでなく参考になる事柄もありますのでお勧めします。

http://poolpool.blog68.fc2.com/blog-entry-273.html

京都大学

市民公開講座「これから難聴・耳鳴治療」抄録集(pdf形式

コメント (10)
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