振出し 難聴、そして人工内耳へ

2007年2月17日から始めたブログ人のブログを継承しています。
gooブログは2014年11月3日よりスタート・・・

寄り道:自動車免許等

2012-03-28 10:13:27 | 聴こえ

 自分にとって、少し荷が重たい話題を取り上げてきましたので、本日は、寄り道を致します。<o:p></o:p>

 『無視すると「危ないよ」と語りかける新型信号機』という見出しで3月15日の読売新聞に掲載された記事をまずご紹介いたします。<o:p></o:p>

 岡山市北区錦町の市道交差点に設置された新型信号機の話題です。<o:p></o:p>

 この信号機、車の有無を感知して「赤」と「青」を切り替えるという機能を持っていて、車が通っていないのに赤信号で待たされる歩行者のイライラを解消し、信号無視を減らそうという狙いで設置されたものだそうです。<o:p></o:p>

 この交差点では、今まで2~3割程度信号無視をして横断していたそうですが、この要因に車が通行していないのに赤信号による待ち時間が65秒と長いことがあったそうです。そこで車両を感知し、赤信号の長さを25秒~35秒の間で調節することになったようです。<o:p></o:p>

 さらに、この信号機には歩行者を感知する機能もあり、信号無視をしようとすると「危ないよ、信号は赤だよ。渡らないでね」と女児の声で優しく注意するようになっているそうです。<o:p></o:p>

 難聴者の場合、この女児の声が届くものかは分かりませんが、岡山に行くおりがあればこの交差点に行って聞いてみたいと思います。<o:p></o:p>

 自分の住む町では大きな交差点ですと、2種類の鳥の鳴き声で「東西」「南北」が判るようになっています。<o:p></o:p>

 人工内耳装用手術後、この鳥の鳴き声が、何年かぶりで聴き取れたときは嬉しかったことを思い出します。<o:p></o:p>

 ・・・・・<o:p></o:p>

 さて、自分の自動車免許証は、「免許の条件等欄」に①中型車は中型車(8t)に限る ②補聴器 と記載されています。<o:p></o:p>

 つまり、自分の場合は、普通自動車・中型自動車・小型特殊自動車・原動機付自転車まで、運転してもよいことになります。<o:p></o:p>

 実際には、自信がないので、普通自動車だけの運転になりますし、IDカード代わりに使用しているのが実態です(笑)。<o:p></o:p>

 健聴から補聴器装用そして人工内耳装用に聴こえが変化していく中で、「補聴器」という条件が記載されるようになりました。<o:p></o:p>

 この「補聴器」という条件で自動車免許に影響があることと言えば、①必ず補聴器(人工内耳)を装用して運転しなければならないこと ②運転中に接客に支障があるという理由から第2種免許を取得できないこと の2点です。<o:p></o:p>

 ・・・・・<o:p></o:p>

 ところで、平成24年4月1日から聴覚障害者で補聴器を用いても10メートルの距離で、90?の警音器の音が聞こえない方の自動車免許の運転適用範囲が広がることになりました。<o:p></o:p>

 http://www.npa.go.jp/koutsuu/menkyo20/kakudaiannai.html<o:p></o:p>

 今までは、ワイドミラーと聴覚障害者マークをつけることで、普通自動車(乗用車)免許のみの取得ができたのですが、加えて普通自動車の貨物車もOKとなりました。さらに、小型特殊自動車や原動機付自転車~大型二輪車まで(所謂バイク)取得できることになりました。<o:p></o:p>

条件として、普通自動車(乗用車・貨物車)については、特殊後写鏡(ワイドミラー又は補助ミラー)を取り付け蝶々デザインの聴覚障害者標識を前と後に表示することです。<o:p></o:p>

 尚、聴覚障害者標識の表示は、原動機付自転車・小型特殊自動車・大型自動二輪車・普通自動二輪者の場合は、つけなくても良いとのことです。<o:p></o:p>

 ※詳細は、各警察署にお問い合わせください。<o:p></o:p>

 自分が、この変更に喜んでいるのは、普通自動車の貨物車が適用になったことです。<o:p></o:p>

 少しでも、聴覚障害者にとって働ける条件を獲得できることは嬉しいことです。<o:p></o:p>

 聴覚障害が運転に支障がないことを、実績から証明していただき、さらに緩和されるようになってほしいと願っています。

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療育を考えてみる

2012-03-21 23:32:56 | 人工内耳・補聴器

 しばらく、ブログの更新を怠ってしまいました。<o:p></o:p>

 本日は、少し自分にとっては荷が重いテーマを取り上げていきます。<o:p></o:p>

 それでもよろしければ、話にお付き合いください。<o:p></o:p>

 先月(2月)18日に東京大学山上会館で「人工内耳:原理・適応・成績・最近の進歩」というテーマで開催されたシンポジウム以来、記事にすべきかどうか、迷っている事柄がありました。その発端は、東京大学の山岨教授の講義「小児における人工内耳の術後成績に影響する因子」及びその後の質疑応答の中で感じたことでした。<o:p></o:p>

 ・・・・・<o:p></o:p>

 このシンポジウムで自分が特に興味を持った話題は、尾形エリカ先生の「言語聴覚士からみた人工内耳」という講義で、両側装用の効果について分かりやすく説明した内容です。この内容については、後日、改めて当ブログで取り上げていきたいと考えています。<o:p></o:p>

 また、シンポジウムのダイジェスト的な報告としては、麻呂さんの「人工内耳・装用記」というブログで分かりやすくまとめられています。ご興味がありましたら、ご参照ください。<o:p></o:p>

 http://blogs.yahoo.co.jp/october1009sun/3094712.html<o:p></o:p>

 ・・・・・<o:p></o:p>

 ご存じのように人工内耳手術は、適応基準に沿って対象者を特定し、さらに、中途失聴者の場合は、口語言語を取り戻したいという本人の意志、対象児にあっては、親(養育者)が子供たちの将来を考えて選択するものです。<o:p></o:p>

 しかし、残念ながら適応基準に達しない方もいますし、適応基準に達していても信条に反するということで人工内耳を選択しない方達もいます。<o:p></o:p>

 特に信条に基づいて選択しない方達に対し、人工内耳を強いることは不快なことだと認識しています。<o:p></o:p>

 逆に、人工内耳装用者やその家族及び検討している方達に対し、選択しない方達から人工内耳を装用することの全てを否定するような意見を発することがあれば、違和感を持ちます。<o:p></o:p>

 人工内耳を装用することで健聴になれるとは思いません。自分の場合は人工内耳を装用したことで、却って聴覚に障害があることを受容できたような気がします。<o:p></o:p>

 少し遠回りになりますが、人工内耳を装用することの意義について、私見を先に述べておきたいと思います。<o:p></o:p>

 人工内耳を装用するということは、聞こえや言葉の再認識、あるいは、初めて聞こえる音を言葉や環境音、そして音楽として育てていくことだけが、目的ではないと思っています。<o:p></o:p>

 自分自身のことを言えば、難聴が進行していく過程で、そして失聴したことにより、失っていったものが多々あります。社会の中で必要とされなくなったと感じた疎外感は、今でも大きな痛みとして残っており、尾を引いています。社会・家庭・仕事・友人・・・詳細は述べませんが失ったものは多く、未だにそれらを修復しきれていません。<o:p></o:p>

 ただ、聞こえを取り戻すことで、自分が欲するものに参加したいという積極的な意志を持てるようになったこと、再び参加できたという事実が、人工内耳を装用するということで得た大きな変化だと思っています。<o:p></o:p>

 したがって人工内耳を装用する意義は、聞こえを改善していくことで、見失ってしまった自分自身を取り戻していくことなのだと思います。<o:p></o:p>

 装用児の場合も、単に言葉や環境音、音楽を認知し育てていくことだけでなく、聞こえを通じて学習し、充実した社会生活を営むこと、あるいは営み方の選択肢を増やすことに意義があるのだと思います。<o:p></o:p>

 ・・・・<o:p></o:p>

 本日、取り上げるテーマは「人工内耳装用児の療育に関すること」についてです。<o:p></o:p>

 自分は、医師でも言語聴覚士でも教師でもありません。ましてや、人工内耳装用児の親でも装用児でもありません。中途失聴した人工内耳装用者です。<o:p></o:p>

 したがって、これから掲載する報告について、違和感を持たれることもあると思いますが、ご容赦ください。<o:p></o:p>

 この自分の置かれた立ち位置が、記事にすることを迷わせ躊躇した理由になります。<o:p></o:p>

 しかし、岡山大学の福島先生からご紹介があった、テクノエイド協会発行の感覚器障害戦略研究「聴覚障害児の日本語言語発達のために(~ALADJINのすすめ~)」が後押しをしてくれました。<o:p></o:p>

 尚、『療育』とは、大辞林によれば「障害児が医療的配慮のもと育成されること」と説明しています。つまり、医師・言語聴覚士・学校関係者・親の間で情報を共有し連携をしながら、聴覚障害児を育成していくことなのだと思っています。<o:p></o:p>

 

■ 学校での人工内耳装用児の割合 ■<o:p></o:p>

 東京医科大学で開催されたACIC年次フォーラムⅥ(H23年6月18日)で文部科学省初等中等教育局支援教育課の大西特別支援教育調査官が提示した資料から、整理し把握することに致します。<o:p></o:p>

 資料によれば、約1万名弱(H22聾学校8591名・通級1982名)が現行の特別支援教育制度(特別支援学校→聾学校:約100校、小・中学校の難聴特別支援学級:約720学級、その他通級による指導)が聴覚障害児童として在籍しています。<o:p></o:p>

 その内、聾学校における人工内耳装用児の割合は、H23年度で全体としては6人に1人弱(16%)、幼稚部では、4人に1人弱(26%)ですが、急激に変動しているようで学年により3人に1人、学校によっては半数以上が人工内耳装用児という実態があるそうです。<o:p></o:p>

 H23年度は、聾学校全体で人工内耳装用児童が150人増加、特筆すべきは幼稚部の3歳入学で、人工内耳装用児が100人を越えたという状況です。<o:p></o:p>

 補足すれば、幼稚部終了後、地域の小学校に行く子どもが20%弱いることから、通級を含めると人工内耳装用児の割合はもっと高くなると思われます。<o:p></o:p>

 聾学校全体ではH20年度が10人に1人弱であったものが、わずか3年後のH23年度に6人に1人弱まで割合が上昇しています。<o:p></o:p>

 特に幼稚部や小学部で、人工内耳装用児童の割合が急増している傾向が分かります。<o:p></o:p>

 

■ 幼児期における施設のコミュニケーション方法の現状把握 ■<o:p></o:p>

 「聴覚障害児の日本語言語発達のために~ALADJINのすすめ」の調査によれば、調査対象児(幼児期)が通う療育施設や教育施設がコミュニケーション(会話)に使用している言語と読み書き学習手段は、次のような結果でした。<o:p></o:p>

 ①音声言語のみ使用:4(医療機関)2(療育教育施設) <o:p></o:p>

 ②音声言語+視覚的方法を使用:12(医療機関)21(療育教育施設)<o:p></o:p>

 

■ 東大シンポジウムでの把握 ■<o:p></o:p>

 シンポジウムでの山岨教授の講義は「小児における人工内耳の術後成績に影響する因子」についてでした。<o:p></o:p>

 小児の術後の成績は、手術年齢、難聴の原因、重複障害の有無、生後の補聴開始時期、療育方法・・・等が影響していると語っていました。<o:p></o:p>

 また、近年の新生児聴覚スクリーニング(NHS)検査の精度向上や普及が難聴児の発見を助けているが、NHSの施行率は60%以上と推定されるとし、地域によって施行率の差があること、0~1歳難聴児の60%以上がNHSによって発見されており検査の重要性が認識されつつあるが、普及はまだ充分と言えず、難聴児の発見が遅れるケースがあることなどを問題点を挙げ、いっそうの普及を促していました。<o:p></o:p>

 そのうえで、難聴児が発見された場合の早期の補聴開始の重要性を述べていました。<o:p></o:p>

 先生は、せっかく人工内耳を装用しても聴覚(オーラル教育)活用を怠り、視覚(トータル教育)活用をしていけば、聴力は伸びないと話していました。その理由として、聴覚に障害を持つ小児にとって、楽な情報入手方法である視覚情報を優先的に脳が受け入れるからであると説明していました。<o:p></o:p>

 さらに、先生はコミュニケーションモードによる人工内耳術後就学時の成績の比較をグラフで示しながら、聴覚活用の必要性について説明していきました。<o:p></o:p>

 この部分については、山岨教授の論文『乳幼児難聴の聴覚医学問題「治療における問題点」』でも取り上げていましたので整理してご紹介いたします。<o:p></o:p>

(1)療育施設のコミュニケーションモードを3区分して分析をする。<o:p></o:p>

 ①オーラルコミュニケーション(口話)<o:p></o:p>

 

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N5の装用感とアラジン等について

2012-03-10 16:28:55 | 人工内耳・補聴器

3~4日前のことになりますが・・・歩いているだけで汗ばむような日がありました。おかげで、ダウンジャケットを脱ぎ去ることができ、久し振りに背筋を伸ばし大股で歩きながら、3月になったことを実感した一日になりました。<o:p></o:p>

 まだまだ、風が強い日や雨が降る日があれば、一時的に寒い日に戻るのでしょうが、北国の方には申し訳ないのですが、自分が住んでいる町は、一足、先に春になっていくと思います。<o:p></o:p>

 皆さんはいかかお過ごしですか?<o:p></o:p>

 ・・・・・<o:p></o:p>

 ご紹介いただいた社団法人テクノエイド協会発行の「聴覚障害児の日本語言語発達のために」という報告書が届きました。関係者の皆様、お手数をお掛けしました。<o:p></o:p>

 この報告書の副題に「ALADJIN(アラジン)のすすめ」とあります。<o:p></o:p>

 ALADJINという言葉は、感覚器障害戦略研究が提唱する日本語言語発達検査パッケージ、日本の小児の言語発達評価(Assessment of LAnguage Development for Japanese chIldreN)からとった造語で、言語ドメインごとの評価を行うことを目的として整理構成をしていくものだそうです。<o:p></o:p>

 ALADJINが認知され普及していくことによって、「教師・言語聴覚士・医師」相互間の連携体制を築き聴覚障害児への指導を行っていく、つまり、言語ドメインごとの「評価」を行い「指導」に直結するアセスメントであることを目指しているようです。<o:p></o:p>

 これは、昨今の補聴器・人工内耳の機能向上と普及状況に対応し、それまで蓄積されていた経験的な指導から、現在進行形で変化している状況に照らした客観的なデータによる新たな指導方法の模索と構築へのステップなのだと理解しました。<o:p></o:p>

 まだ、届いたばかりですので、この報告書の感想等については後日あらためて掲載していきたいと考えています。<o:p></o:p>

 福島先生、情報のご紹介ありがとうございました。<o:p></o:p>

 ・・・・・<o:p></o:p>

 話しは変わりますが、先日、新聞の投稿欄に『「か・き・く・け・こ」を心に持ち、かわいいおばあちゃんを目指そう!!』という記事が載っていました。<o:p></o:p>

 記事によれば、「か・き・く・け・こ」の意味は、「か」は感謝(「ありがとう」の気持ちを持つ)、「き」は興味(何でも好奇心を持ち、自分の目で見、耳で聞いて確かめる)、「く」は工夫(どうしたら快適な暮らしができるかを考える)、「け」は健康。「こ」は恋(ときめきを持つ)、ということだそうです。<o:p></o:p>

 ・・・自分はどうしようもない男ですし、いまさら、かわいくなろうとは思いませんが、「か・き・く・け・こ」の気持ちを持って暮らしていけたら素敵だなとは思います。<o:p></o:p>

 人工内耳を装用したばかりの頃は、聞こえを取り戻すことができたことに素直に喜び感謝し、健聴であった頃には考えられないほど「聴く」ということに興味を持ち、もっと良く聴こえる方法や自分に合ったリハビリ方法はないのかということを考え、難聴時に失ったもの(ブランク)は元通りには戻りませんが、難聴が進行していた頃の精神的な苦痛から解放され回復していく自分の心に手応えを感じ、音を再発見し再認識していくことにときめきを覚えたことを思い出しました。<o:p></o:p>

 しかし、人工内耳を装用してから5年が経過した今、人工内耳での聞こえの限界を感じつつ今の聴こえが当たり前になっている自分がいて、「聴こえ」の追求について以前よりときめかなくなっているような気がしています。このところ色々なことが重なって、後ろ向きになっている自分を、振出しに戻った初心に戻って考えなさいと問いかけているような思いを持ちました。<o:p></o:p>

 ・・・・・<o:p></o:p>

 さて、本日は、N5サウンドプロセッサを装用して気が付いたことについて取り上げていきたいと思います。<o:p></o:p>

 昨年(2011年)8月29日に薬事承認され、9月から発売になった(保険適用は10月1日から開始)コクレア社N5(ニュークレアス・ファイブ)サウンドプロセッサ、既に装用している方は、多数いらっしゃるのではないかと思います。<o:p></o:p>

 当ブログでも、直近では2011年9月29日「N5の仕様で、気になったこと」、11月14日に「追加 N5スマートサウンド等について」等で記事にしています。<o:p></o:p>

 したがって、いまさらこのテーマを取り上げるのはどうかと思いましたが、整理しておくことも必要なことではないかと考え、まとめることにいたしました。<o:p></o:p>

 ただ、N5も含め人工内耳での聴こえ方は、装用者それぞれの状態により違います。したがって、ここに掲載する内容はあくまで個人的な感想になりますので、その点についてはご留意ください。<o:p></o:p>

 

■N5の聴こえ方で感じたこと等(フリーダムとの比較)■<o:p></o:p>

 フリーダムサウンドプロセッサからN5サウンドプロセッサに切り替えたのが11月14日でした。ですから、装用してから4か月になります。<o:p></o:p>

 N5に切り替えたとき、直感的にフリーダムより柔らかい音だと感じました。<o:p></o:p>

 すぐ頭に浮かんだことは、3GからN5に切り替えるのであれば、意外とスムーズにいくのではないかということであり、その旨、STさんに伝えました。<o:p></o:p>

 これは、3Gからフリーダムに切り替えたときに経験したことへの裏返しで、フリーダムに切り替えた当初は、3Gよりも鋭く響き、遠くからの音や小さな音まで拾うことで、慣れるまで少し時間がかかりました。<o:p></o:p>

 その後、スマートサウンド(特にスマートサウンド2が登場し)という使用環境に考慮した4つのプログラムに慣れてくるにつれ、音の世界が広がり、それまで困難であった音楽理解が進んでいきました。<o:p></o:p>

 音の広がりを実感できたことにより、コクレア社が「SP」をスピーチプロセッサからサウンドプロセッサと呼称変更した意味が分かったような気がしました。<o:p></o:p>

 N5では、柔らかい音に聴こえたと同時に、フリーダムよりも広い範囲で音を拾うということを実感いたしました。<o:p></o:p>

 地下鉄の駅構内で、反対ホーム側からのアナウンスや話し声がはっきりとは理解できませんがザワザワと聴こえてきて、臨場感が増したような感じがします。たぶん、これはフリーダムとN5のマイク位置の違いと2マイクとも無指向性(フリーダムは2マイクが指向性と無指向性)になったためかと思います。<o:p></o:p>

 このデュアル無指向マイクは、騒音下での聴こえを向上するために開発されたとのことですが、音を広く拾うことで却って、騒音下での音の圧縮が強まったような気がします。<o:p></o:p>

 ただ、スマートサウンド2のNoise設定(騒音環境)にZoom機能が加わったことで、音声がある程度届くようになりました。それまでのNoise設定では騒音下で音をおとなしくさせることが主眼であり、そのため聞きたい音声まで弱くなり聞き取れないことがありましたので、格段の改善があったと思います。<o:p></o:p>

 したがって、これまでは、よほど騒がしい場所でない限り、聞き取り確保のためEveryday設定(日常環境)で音声を聴いていましたが、Noise設定を使用する頻度が増えました。<o:p></o:p>

 コクレア社が発行するリーフレットの中にも、デュアルマイクとスマートサウンドの組み合わせにより騒音下で平均30%程度、聴取成績が向上していると説明しており、その説明の比較として、Everydayプログラム使用時48%であったものがNoiseプログラム使用時に76%というグラフを示しています。したがって、騒音下での聴き取りについてはNoise設定でZoom機能が加わったプログラムが、N5では最適ではないかと思っています。<o:p></o:p>

 また、フリーダムよりもマイク位置が上部(上向き方向)になったことにより、携帯電話の聴き取り位置が自然なものになったと感じています。<o:p></o:p>

 逆に言えば、耳を覆うタイプのヘッドホンは、フリーダム使用時よりも位置決めに戸惑いました。<o:p></o:p>

 また、専用のオーディオケーブルを使用すると、簡易磁気ループ・ヘッドホン・人工内耳そのものよりも可聴域の低音域・高音域ともPCでの簡易な測定値ですが広がりました。<o:p></o:p>

 

■N5を選択した理由■<o:p></o:p>

 1.9mmという薄さ、コンパクト受電池にした場合の42mmという大きさ<o:p></o:p>

 2.騒音下での聴き取り向上を期待<o:p></o:p>

 3.水に強い設計(充電池使用時)<o:p></o:p>

 4.オートテレコイル機能<o:p></o:p>

 5.オーディオケーブルを接続したときに自動感応<o:p></o:p>

 6.サウンドプロセッサカバー<o:p></o:p>

 

■実際に使用してみて■<o:p></o:p>

 1.コンパクトさについては、その通りのもので満足しています。<o:p></o:p>

 但し、2つ気になることがありました。 <o:p></o:p>

 ①電池の持ち時間が短く、予備の電池を常に持参する必要があること。 <o:p></o:p>

 ②イヤフックがねじ式でなく、耳の形状に合わせ方向が変えられないこと。<o:p></o:p>

 ※標準タイプから小タイプに付け替え、イヤフックの飛び出しを抑えました。<o:p></o:p>

 ※装用感は、フリーダムと変わりありませんでした。(耳への重さの負担)<o:p></o:p>

 2.省略<o:p></o:p>

 3.フリーダムの泡沫機能では、使用頻度や期間が長くなるにしたがい気密性が損なわれ(?)、夏場で大汗を掻くと電池モジュール内に染み込み、機能が停止にすることがありました。N5では、まだ夏を経験していませんので何とも言えませんが、運動時では今のところ支障ありませんでした。<o:p></o:p>

 4.オートテレコイル機能は、簡易磁気ループ(Mリンク)やFMシステム受信機ループタイプ(磁気波変換タイプ)では機能しませんでした。但し、磁気ループシステムを設置した会場では、スムーズに反応し、磁気ループ設置場所から離れても通常の聴き取りができました。<o:p></o:p>

 5.オーディオケーブルの自動感応は、スムーズでしたが、そもそも、オーディオケーブルを人工内耳に設置するのに手間取りますので、実感としてそれほど有効ではありませんでした。<o:p></o:p>

 6.サウンドプロセッサカバーについては、電池モジュールがより固定されるという利点や傷つかせないということがありますが、夏に電池で作動した場合に汗からカバーしてくれるのではないかと期待しています。<o:p></o:p>

 但し、カバーの色が好みではなく外側半面にプロセシングユニットと同色のシールを貼りました。また、このブログにときおりコメントをいただいている「たかさん」は内側に氏名住所等を記載したシールを貼って使用していました。<o:p></o:p>

 

■その他■<o:p></o:p>

片側使用の人工内耳でしたので、じつは、あまり期待していなかったリモコン(リモートアシスタント)ですが、オーディオケーブルや磁気ループ設定時の聴き取り割合ができることで重宝しています。<o:p></o:p>

 ただ、もう少し、コンパクトだと助かりますし、意外とリモートアシスタントがサウンドプロセッサをコントロールできる距離が短いのではないかと思います。あと50センチくらい離れても操作できると助かります。

 自分の場合は、映画を観るとかする特別な場合を除いて、あまり頻繁に感度調整や音量調整をしませんので、その調整がリモートアシスタントだけで行っても、あるいは、リモートアシスタントを持ち歩かなくてもそんなに支障がないのですが、場面によって頻繁に感度や音量を調整する方にとっては、すぐに対応できないので困るのではないかと思います。事実、「たかさん」は困っているようで、特別な設定でサウンドプロセッサ側で調整できるようにしたとのことです。<o:p></o:p>

 ・・・・<o:p></o:p>

 個人的には、フリーダムとN5との聴こえの差はあまり感じていませんが、かと言って、フリーダムに戻すことはないと思っています。<o:p></o:p>

 N5での聴こえに慣れてくるにしたがって、多少なりとも聴こえが向上するような気もしています。<o:p></o:p>

 また、主治医の言葉で言えば、装用手術後の聴こえの認知はN5の方が早い感じがするというのもその通りなのだろうと感じています。<o:p></o:p>

 以上ですが、あくまで、個人的な感想ですので、皆様の使用後の感想で違うということ等ありましたら、コメントをください。<o:p></o:p>

 これからN5を装用することを考えている方達の参考になるのではないかと考えます。

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