気ままに更新していますが、少し更新に間が空いてしまいました。
1月後半から、プライベートな用件で休みが費やされてしまい、思うように自分の時間が取れない状態にあります。
おまけに、感染ピークが過ぎたと言われているインフルエンザに罹ってしまい、現在、ドクターストップということで、プライベートな用件についても手が付けられない状態に陥っています。
・・・たぶん3月中には、プライベートな用件については、解決すると思っています。
重なるときは重なるもので、同時期にそれ以上に気になる出来事が発生しております。
それは、片側を失聴している知人が「突発性難聴(?)」になり、残念なことにステロイド治療の効果を得ることなく、両側失聴の状態のまま退院したことです。
今後は通院加療をし、検査を受けながら、回復あるいは聴力の固定化の確認をすることになりそうです。回復が見込めない場合は、身体障害者2級への障害等級変更の手続きや、人工内耳装用を視野に入れ、対処することになると思います。
さて、2月中にブログに掲載したいと思っていた記事が幾つかありました。また、参加したかった勉強会もいくつかありました。
身動きできないうちに、機会を逃してしまったという感じがしていますが、掲載したかった記事のひとつに、平成27年4月1日から適用される「聴覚障害認定基準」のマイナーチェンジに関わることがありました。
知人の身体障害者2級への等級変更手続きのことも気になりますので、本日は、このことをテーマとして、簡単に記録にしておこうと思います。
マイナーチェンジと記述しましたが、従前から(今は、トーンダウン?) 全難聴が推し進めてきた「デシベルダウン運動」(障害認定を中軽度難聴者まで対象に広げる)や片側失聴(難聴)者の取り扱い変更という抜本的な見直しと違い、聴覚障害者の内、2級の認定方法についてのみの変更だったためです。
平成27年1月29日付で厚生労働省から発令された今回の措置は、平成26年3月頃明らかになった、ゴーストライター音楽家と確執のあった佐村河内氏の「障害者手帳返納」に関わることが発端にあったのではないかと思います。
この「障害者手帳返納」に際しては、認定に至った診断書(12年前)と返納に至った新たな診断内容が新聞記事等で提示されました。
所謂、「聞こえが回復し、2級から障害認定非該当の聴力」になったとの説明があったものです。
この記事に書かれている内容を私自身は体験上とても信じることが出来ないのですが、そのことについては今回のテーマとずれてしまいますので、今回は触れません。
しかし、世間一般的には、聴覚障害は目に見えない障害ということもあり、障害認定の在り方に疑念を生じさせたのではないかと思っています。
したがって、単に一個人の特異な事例で障害者手帳が返納されたということだけではなく、その返納の真偽については、聴覚障害者全体に波及する問題であったと思います。
ともかくも、このことがきっかけとなり、2級判定の仕方の見直しを厚生労働省にて検討されることになったようです。
4月1日付の変更ですが、平成27年1月29日に厚生労働社会・援護局障害者保健福祉部企画課長名で各都道府県に通達が発令されました。
また日本医師会に対しては、1月30日付で通知しています。
通達は4つありました。
1.「身体障害者基準の取り扱い(身体障害認定要領)について」の一部改正について
2.「身体障害者基準等の取扱いに関する疑義について」の一部改正について
3.「身体障害者手帳に係る交付手続き及び医師の指定に関する取扱いについて」の一部改正について
4.聴覚障害者に係る指定医の専門性の向上について
見直しの内容は・・・
・手帳非所持者の場合、聴覚障害者2級の認定には「他覚的聴覚検査」が必須になった。
※「他覚的聴覚検査」とは具体的に言えば、A B R などの他覚的聴覚検査、またはそれに相当する検査(「遅延側音検査」「ロンパールテスト」「ステンゲルテスト」等)になります。
・実施した検査方法と検査所見を診断書・意見書に記載し、記録データのコピーを添付すること。
以上になりますが、簡単に「他覚的聴覚検査」について触れておきます。
①ABR検査(聴性脳幹反応・・・脳波聴力検査)
聴覚については、従来から乳幼児や高齢者等の音が聞こえたかどうか意思の確認が難しい人や、「後迷路性難聴」の判定などに使用されてきました。
ベッドに横たわり、左右の耳たぶと頭頂部と前額部の4か所に脳波計の電極を付け、ヘッドホンからの音で脳が反応して脳波の変化が生じるかどうかを確認する検査です。
音刺激を与えると5~7の波形が現れます。Ⅰ波は蝸牛神経、Ⅱ波は蝸牛神経核、Ⅲ波はオリーブ核、Ⅳ波は外側毛帯、Ⅴ波は下丘に対応していると言われ、音刺激からこれらの脳波が現れる時間差の違いや波形が現れなかった場合にどこが異常であるのかを特定するときに活用されています。
専門家ではないので、誤った認識かもしれませんがⅠ波が内耳、Ⅴ波が後迷路性難聴に関連しているらしいです。
②遅延側音検査
録音しながら被験者に適当な言葉を暗唱させ、直ちに再生し、フィードバックして聞かせる。つまり、発声させながら、少し遅れて録音した音声を被せ聞かせるときに起こる発声の変化で判断する検査です。
再生を0.2秒遅らせると ①声が大きくなる ②時間がかかる ③発語が乱れる。これを遅延側音効果というようです。
聞こえていれば上記の3つの効果は免れないということだそうです。
③ロンパールテスト
朗読など連続的に発語をさせている最中に60㏈以上程度の雑音を聞かせて、反応を見る検査です。
耳が聞こえていれば自然に声が大きくなるということです。
③ステンゲルテスト
ある周波数の純音で聞こえる側の耳の閾値を測ります。次に聞こえない側の耳に“聞こえない”範囲でなるべく大きい同じ周波数の純音を聞かせながら、もう一度聞こえる側の耳の閾値を測り直します。
同じ音を両耳に同時に聞かせると、強い方だけ聞こえて弱い方は聞こえなくなる現象(両耳聴の現象)があるので、聞こえる側で測った2回の閾値の間に大きな相違があれば、聞こえない耳に聞こえがあることを示すことになるという検査です。
※②③④については第6回疾病・障害認定審査会障害認定分科会、参考資料3より抜粋
最後に4つの通達文のことで注目した事項を記事にし、更新を終えたいと思います。
注目した点は次の3点です。
1.上記にあるように身体障害者手帳を所持していない方が、聴覚障害2級申請をする場合は、他覚的聴覚検査を必須とする。
2.「聴覚障害に係る指定医の専門性の向上について」という通知文書がある。
3.「『身体障害者認定基準の取り扱いに関する疑義について』の一部改正について」という通知文の添付文書の中で、人工内耳等に関連している疑義事項を確認。
1.については、ここまでしないと障害認定の疑義に対応できなかったのかという残念な思いがあります。
手帳を所持していない方が、聴力の急激な悪化で聴覚障害2級の申請をする場合、一刻も早く認定してほしいと希望しても、他覚的聴覚検査が出来る医療機関でなければ証明できませんし、検査結果が出るのに時間を要するのではないか、申請書類を発行する費用負担が高くなるのではという時間的・精神的・金銭的な負担があるのではないかとの思いが残りました。
2.については、厚生労働省が(?)指定医を信頼できなくなっているのか?という疑問とともに医師のプライドはどこにいったの?ということを率直に感じました。
3.については、[聴覚・平行機能障害]としての疑義事項としては10項目あり、今回の見直しに関する事項については、8番目に記載されていました。
8番目に記載している内容で注目すべきことは、単に身体障害者手帳を所持していない者だけでなく、過去に取得歴があっても検査時に所持していない場合は、他覚的聴覚検査等を実施されたい。としています。
その他、個人的に気になったのは、人工内耳装用に関連する2つの疑義事項でした。
ご紹介いたします。
<疑義事項>
Q1.満3歳未満の乳幼児に係る認定で、ABR(聴性脳幹反応検査)等の検査結果を添えて両側耳感音性難聴として申請した場合であっても、純音検査が可能となる概ね満3歳時以降を持って認定することになるのか?
A1.乳幼児の認定においては、慎重な対応が必要である。聴力についてオージオメータによる測定方法を主体としているが、それができず、ABR等による客観的な判定が可能な場合については、純音聴力検査が可能となる年齢になった時点で将来再認定することを指導した上で、現時点で将来的に残存すると予想される障害の程度をもって認定することが可能である。
Q4.人工内耳埋め込み術後の一定の訓練によって、ある程度のコミュニケーション能力が獲得された場合、補聴器と同様に人工内耳の電源を切った状態で認定できると考えて良いか?
A4.認定可能であるが、人工内耳の埋め込み術前の聴力レベルが明らかであれば、その検査データをもって認定することも可能である。
本日の内容については、誤認して解釈している部分もあるかもしれませんので、疑問が生じましたら専門家にお尋ねください。
インフルエンザも快方に向かっていますが、ひとまずここで終了し休むことに致します。
<追 記>
障害年金の障害認定基準の一部改正・・・平成27年3月31日付 厚生労働省報道発表
◆聴覚の障害の一部認定方法の変更について
新規に障害年金を請求する方の一部について、他覚的聴力検査を行うこととする。
※聴覚の障害による障害年金を受給していない方が、1級(両耳の聴力レベルが100デシベル以上)の障害年金を請求する場合には、オージオメーターによる検査に加えて、、聴性脳幹反応検査(ABR)などの他覚的聴力検査又はこれに相当する検査も行うこととする。
◆施行日:平成27年6月1日
[補 足]
聴覚にのみ障害を持つ方に限定すると、障害年金1級は身体障害(身体障害者手帳)2級と同レベルの聴覚障害を有する方になります。
聴覚障害2級認定の検査方法が4月1日より変更になったことから、6月1日より障害年金1級の認定についても同様の変更がなされたものと思います。