くない鑑

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60余年目の光と深い影

2008年03月12日 | くない観
米軍の大規模空爆によって甚大な被害を受けた,世に言う「東京大空襲」から63年目を迎えた3月10日。
TBSで放送された、これに関する特別番組を視ました。
被災地域を撮影していた警視庁警務部の石川光陽写真主任(空襲写真専務)を主人公にしたドラマを織り交ぜたドキュメンタリータッチで、劇中の遺族や被災者,更には、爆撃に加わっていた元米軍兵らのインタビューもあってとても観応えが有り、途中から,合間には裏番組も視ていたのですが、何時しかずっと,食い入る様に最後まで視ていました。

例え時の戦略とは言え、一晩で,2時間半余の爆撃で、10万余の一般市民(非戦闘員)が殺戮されたという出来事は下にもおぞましく,感情の念を通り越して、ただただ愕然としました。
鳴り止まぬ空襲警報,B29の爆音,焼夷弾の落下する音や爆発(音),そして、火焔地獄と化した街...。
どれ一つとっても,さぞかし恐怖であった事は、想像に難く無いです。
そうした中で,今回の主人公たる石川光陽さんの行動には感動を得、貴重な戦災記録を,未曾有の惨事と、GHQからの提出要求に拒否をして残されたことに、深い敬意を表したいです。
歴史学の本質として,この惨事を鑑とし、戒めとする資料を被災国(民)が有している事の意義は、とても大きいと思います。
ただしかし,これを活かせないのが(人間)社会なのか...
ベトナム戦やイラク戦然り,他にも、例えば飛散型爆弾のクラスターを、使用禁止するどころか有しているという現実。
国土は狭くて山ばかり,四方も海に囲まれた日本の、“専守防衛”が大原則の自衛隊が有している現状には、全くもって,理解に苦しむところです。
(四方を海に囲まれ、海岸線が長いので、防衛上「有効」とも言いますが...。)
自国民を爆撃でもするつもりなのでしょうか?!

ところで...
広島長崎沖縄などへの関心度に比べ、この「東京大空襲」について注目される様になったのは、ここ10年余のように感じます。
(そういえば...大学からの友達が属する劇団が、これを題材にした舞台を行ったのを観に行きました。)
首都東京の受けたみぞうの惨状に、国家(政府)の面子とアメリカの,どことない後ろめたさがリンクして、余り公にはされなかった・・・と、解説されていました。
また,被災者への慰霊は、両国の【江戸東京博物館】近くの公園内に在る、関東大震災での被災者を慰霊する[東京都慰霊堂]に,半ば間借りしているかの様に設けられているとのこと。
以前,たまたまここに行き着いた事がありましたが、その時はそうとも知らず...
そう聞くと,ますますもって悲しく,また、腹立たしい限りです。
九段の杜へ行く行かない,あの人を合祀するしないなどと言う前に,まずは、時の日本国政府の失策と無策によって護る事の出来ず,犠牲となった人々に対して謝し、哀悼の念を表する事の方が先決なのでは...と、感じました。

如何に熱病に冒されていたとはいえ、本来,国家は国民の生命と財産を護るべきもの。
それが全く逆の,途端の苦しみを強い、また,我が国の貴重な文化財を喪う結果となった判断を下した時の政府(首脳)に対しては、(やはり)強い憤りを感じます。
そして,その失策の責めを、日本国政府と国民が(当事者に対して)下せなかった事に、忸怩たるものがあります。

石川さんの写真を見た元米軍兵士の反応はまちまちでしたが、ある一人の米軍兵士は...
「俺達は、命令に従ってやったんだ」
...と、幾分取り乱し気味に話していました。
そう,彼等は国家から命じられた通りに職務を遂行したまでであり、これを聞くと,余計に国家の政策方針の“重さ”を感じます。
しかし、当の政治家ときたら相変わらず,国民(有権者)の「付託」と「意思」を曲解し、その思いと乖離した行動をとるのでしょう。
特に昨今,気骨が無くて理念に乏しく、党利党略がキツ過ぎます。
政争の閉塞感を突かれて軍部の暴走を許してしまった、戦前政治史すらも鑑戒とすることが出来ないのですから...。

ただ今は,選挙が(一応)機能しているだけ、マシというものでしょうか...。

私はただ只管に,平穏無事な世の中が来る事を願ってます。

→でも←でも無く、ただ思うところをツラツラと記しただけなので。。。

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6 コメント

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Unknown (のんゆり)
2008-03-13 01:52:41
私も観ましたよー。
ドラマだけでない、アメリカや被災者への取材が活きている、とてもよい番組でした。
東京大空襲は知っているようで全然知らなかったのだなと、改めて勉強させてもらいました。

石川さんの功績は、あまりにも大きいと感じました。
返信する
Unknown (チェリ)
2008-03-13 10:07:26
私もじっくり腰を据えてではなかったですが、見てました。

表参道や渋谷の逸話は聞いたことあったのですが、
下町の逸話は知らなかったのでショックでした。
一番燃え広がる(被害が大きくなる)からと下町を狙い、
次々と焼夷弾を落としていく映像は本当に恐ろしかったです。
隅田川に飛び込んでる姿や、翌日の折り重なった人達。
それが功績となってしまう戦争。

色々と考えさせられました。
返信する
真の功労者 (記主くない)
2008-03-13 12:31:16
▽のんゆり様
コメント,ありがとうございます。
東京大空襲に関しては、特に林家のおかみさん,海老名香葉子さんが精力的に活動してますね。
恥ずかしながら,私はそのお陰で関心を向け、(少し)知ることが出来ました。

勝てば官軍負ければ賊軍...
石川さんの功績って、ホントに大きいですよね。
よくぞネガを守り,残してくれましたよ..。
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そこここで... (記主くない)
2008-03-13 12:37:57
▽チェリ様
コメント,ありがとうございます。
話には聞いていましたが、斯くも悲惨だったとは...
改めて,戦争の悲惨さを思い知りました。
ただ、東京以外でも大規模な空爆があったとき聞いたことがありますので、これらを合わせると...
きっと、途方も無い数の犠牲者があったのでは?!と、思います。

>それが功績となってしまう戦争。
空爆作戦司令官が、勲一等旭日大綬章を得ている事実には、驚きました。
如何に空自創設に尽力したからと言って,如何に戦略だったとは言え...
「勝てば官軍」ということでしょうか。
複雑ですね。。。
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広島や長崎に… (マーメイド)
2008-03-13 14:41:49
匹敵する様な被害者を出しながら慰霊する施設が間借り…と言う事に驚きました!当時の事を語られて居た方々の悲しみが伝わって来て辛かったです…。
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最も優先すべきこと (記主くない)
2008-03-13 17:15:34
▽マーメイド様
コメントをお寄せ下さり、ありがとうございます。
私も驚きました,専用の慰霊施設がないことに。
本来,国民の生命と財産を護るべき政府が真っ先に
建てなければならない施設のはずなのに...。
驚きとともに、怒りすら込み上がってきますね。
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