毎夏我が家では、愛犬ハリーとともにささやかな家族旅行をしており、今年は出雲地方に2つの古刹と2つの灯台を訪ねる旅をしてきました。
まず行った先は、島根半島の突端近くの美保神社です。
(美保神社)
ここは各地に鎮座する事代主神系えびす様の総本社です。拝殿の奥のご本殿は左右2棟からできており、右殿に大国主神の子の事代主神(えびす様)、左殿に大国主神の后の三穂津姫命が祀られています。
ご祭神がこんなに偉い神様なので、安産、学問、ドッグ・アジリティーなどの芸事に大変なご利益があるようなんですよ。
この地、島根半島は「国引き神話」の舞台です。八束水臣津野命(やつかみずおみつぬのみこと)が、北陸地方から引っ張ってきたみたいです。
門前町の美保関は、日鮮貿易の拠点として、北前船航路の中継基地として栄え、西日本有数の歓楽街で多くの遊郭が軒を連ねた町で、狭い土地の中で行き交う人や大八車などのために古くから青い天然石が敷き詰められていたようです。
(青石畳)
私は、最近付け焼刃で岩石の勉強をしていて、この美しい青石畳に大変興味をそそられました。調べてみたらグリーンタフ(緑色凝灰岩) — 火山灰の堆積岩でした。
(イカ焼き)
門前の茶店で食べたイカ焼きの、美味しかったこと。1匹500円を小さくカットしてもらって2人で食べました。「ハリーはダメ、見るだけだよ。」
(美保関灯台)
神社の近くには「世界の歴史的灯台100選」にも選定されている美保関灯台があります。水面からの高さは83mを誇り、「地蔵岬灯台」とも呼ばれています。ここからの日本海な紺色の海の眺めが素晴らしく、数羽のトンビが目の高さで風に乗って遊んでいました。
(境港)
昼は、境港の駅の近くで海鮮どんぶりを食べましたが、境港の町はちょうどこの日港祭りで賑わっていて、海では派手な漁旗を立てた漁船群が波を蹴立てて駆け回り、商店街をパレードが練り歩いていました。
今夜の宿の平田メープルホテルには、宍道湖の北側を通って行きますが、湖沿いの道の中ほどに
「秋鹿なぎさ公園」があります。
(秋鹿なぎさ公園 道の駅)
ここは、宍道湖でヨット、カヌーなどが楽しめるマリンスポーツパークで、湖畔の芝生広場は炊事棟もあり、ご家族やグループでディキャンプを楽しむことができます。
ハリーのいざというときのために車に犬用ライフジャケットを常備していたのでマリンスポーツを楽しむことにしました。
(カヌーとスワンボート)
私は本当はカヌーに乗りたかったけど、家内が怖がるのでチョッとランクを落としてスワンボートに乗りました。
(ゴビウスから望む宍道湖)
65歳以上は一人120円という料金の安さにビックリです。今回の旅はどこに行っても65歳以上割引をしていただき、大変恐縮でした。私なんか皆さんから「齢のワリに若く見える」と言っていただいていたのに、どこに行っても「免許証を出さないといけないか?」とお尋ねしたら、「それには及ばない。」と言われて、ちょっと拍子抜けでしたけど。
(平田めーぷるホテルの室内 お食事中)
2日目は、出雲大社と日野岬を訪ねる旅です。
出雲大社の神職の千家国麿さんが、高円宮家の次女の典子様と婚約されることが決まり、平成の大遷宮とともに出雲大社は大人気になっています。
(参道の美しい松)
(平成の大遷宮)
縁結びの神様として知られる大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)をまつる出雲大社は、今「平成の大遷宮」が行われていますが、ご本殿などはすでに完了しています。
(修理の痕)
(しめ縄)
(さざれ石)
修理は、大屋根(ひわだ)の撤去、野地板の修理などを経て、新しい檜皮による葺き作業などですが、良く見ると真新しい野地板や檜皮の様子がわかります。境内の一部の杉の大木の樹皮がはがされた跡があったことから「檜皮」とはいっても、ヒノキ以外にスギも使われているのかなと思いました。
(稲佐の浜 弁天岩)
出雲大社から日野岬に至る行程に「稲佐の浜」があります。ここは日本の渚百選に入っているといっても、ちょっと清掃が行き届いてないのが残念です。
キメの細かい砂浜に、小さな辨天島だけぽつんと残されているような奇妙な風景です。どうやら、深い海の底で泥が堆積した成相寺層(流紋岩火砕岩、淡水から汽水の浅い海の中でたまった地層の古浦層の可能性もある)の流紋岩の島のようです。
このあたりは、頁岩、凝灰性の泥岩、流紋岩溶岩、火砕岩からできていて、柔らかい頁岩、凝灰性の泥岩が浸食された後に硬い流紋岩が取り残されてできた奇形がこの島のようです。
(青石)
また、砂浜には青い岩も一つ突き出していて、この岩は粗粒玄武岩(ドレライト)が取り残された物のようです。
日野岬の土地は、「国引き神話」では八束水臣津野命が、朝鮮半島から引っ張ってきたみたいです。
(日野岬灯台)
灯台の立ち位置の高さは43.65mあり、海面から灯塔の頭上までは63.30mと日本一の高さを誇っています。100歳を越えた今なお現役で海の安全を守っているそうです。
歴史や文化的な価値の高さから、「世界の歴史的灯台百選」の一つに、また、国の登録有形文化財に選ばれています。
この地域の露頭は新生代新第三紀の成相寺層の頁岩と、それを貫いている流紋岩からできていて、灯台付近でかつて溶岩ドームをつくっていたようです。
日本海にせり出した絶壁付近では、流紋岩の節理が美しく、眼下の紺色の海は白波を立てていました。
帰路は「国引き神話」において杭の役割りを果たした三瓶山を経由しました。
(草原を疾駆)
(林間の小路も涼しい)
北の野原の草原散策路は、涼しくて、ハリーの夏のお気に入りの散歩コースです。リードを外すと喜んで、風になびく大草原を駆け回りました。