2020年4月19日未明に、我が家の愛犬ハリーが、天使になりました。
あれから早1年、人で言うなら一周忌です。先般、家内と二人だけで、今までは毎年ハリーと三人で言っていた山陰地方の家族旅行に行ってきました。天気にも恵まれ、ハリーと一緒のような気持ちでいい旅をしてきました。
毎日、旅行ばかりしているわけにもいかないので、近辺の想い出の散歩コースをハリーと一緒のような気持ちで歩いています。
散歩しながら、その土地の地質や動植物に目をやり、吹く風の匂いを感じています。散歩コースの中ではハリーが一番好きだったのが、竹原の的場海岸でした。一周忌の機会に、久々にこのブログを更新します。的場の海浜散歩の楽しさの記事をアップしてみます。
広島県の地質は、一番多いのが後期白亜紀に貫入した花崗岩、次に多いのが後期白亜紀に噴出した珪長質(流紋岩質など)の溶結凝灰岩(高田流紋岩と)です。それ以外には、この地に白亜紀にはすでにあったわけですが、ジュラ紀付加体(海成の堆積岩や火山岩など)などです。
竹原の周辺では、2億年近い年月が経っているので、ジュラ紀付加体等はほとんど風化してなくなって、白亜紀に貫入してきたマグマが、地下でゆっくり冷え固まった花崗岩が今は地上に露出しています。
でも、的場海岸にある小さな山というか岬というかの部分は、ジュラ紀付加体が2億年近い間風雨にさらされたにも関わらず、風化に耐えて僅かに存在しています。付近の白っぽい白亜紀の花崗岩の地殻の中に、ちょっとだけ黒っぽい岩石の形で、何故か今に生き残っています。
これが、その地質図 129が花崗岩、93が高田流紋岩です。矢印のところ、60の小さな小山が的場海岸の場所です。海溝で、海洋プレートが陸のプレートの下に潜り込んだとき、潜り込めずに陸のプレートの端に付加した地質です。付加体は泥岩等の堆積岩もあれば、玄武岩などの火山岩や時にはマントル上部のこともありますが、的場海岸の部分はほとんど泥岩のように見えます。その一部は頁のように剥がれやすくなっていて頁岩と言えるかも知れません。また、泥岩が地下で固まれば花崗岩になるマグマの熱に接した部分は、ホルンフェルスになっているかも知れません。私は見つけていないけど、どこかに、ホルンフェルスが有っても、良いでしょうね。
(地質図)
(ジュラ紀付加体)
ハリーは、花崗岩が風化して出来た真砂土・白砂の砂浜を踏んで駆け回るのが好きでした。ここで、嬉々として走り回って遊んでいました。
砂浜を過ぎると、黒っぽい岩石の露頭の細道を散歩できます。この短い細道や、その先に再び現れる白砂の砂浜があり、砂浜に散らばる泥岩の薄い剥離片を水面に投げて、水面をジャンプさせて遊んだりできます。
この、ほんの狭い場所に、多様な海浜植物が群生していて、私たちの目を楽しませてくれます。
いずれも珍しくもない植物達ですが、いつも癒される可憐な生き物たちです。今日はこの地のを植生などを紹介します。
細道の入口、後背地的な場所に、マルバアキグミ的なグミの木が繁茂しています。
マルバアキグミ
細道に入って、ハマボッス、ハマナデシコ、タツナミソウなど多様な植物が生えています。
また、その先の砂浜には、ハマダイコンやハマヒルガオが自生しています。
ハマボッス
ハマボッス、ハマナデシコ、カワラナデシコのどれとも違うような蕾 なんだろう
ハマナデシコ
カワラナデシコ
ハマサオトメカズラ? (ヘクソカズラと変わらないので、見分けが難しい)
あ、それから、アスパラガスの葉っぱみたいな蔓もある オオバスギカズラ
蔓でもなく、海浜植物でもはないけど、どこにでも生える アキニレ
テリハノイバラは、新葉なのでノイバラとの違いが判らない
ハマヒルガオ
ハマエンドウ
トベラ
イヌビワ よく見ると去年の小さなイチジクの果実が干からびて付いていた
タツナミソウ 立つ波の形から名前が付いたというが、ここでは、立つ波によって洗われるところに咲いているのが、面白い
アオサ 海水中にありました。 美味しそう
貧相な ヒメウズ ここの場所付近には、秋になるとコシオガマが咲きます。
海岸の砂浜を荒波から守る護岸は、多分倉橋島産の粗粒黒雲母花崗岩です。
岸壁に使うのに、建材用などの均質で、きれいな岩石は要らない。安価で、ムラの多い石材で十分です。でも、アバタや傷のある石材が本当は面白い。よく見ると、少なくとも3つの岩石はペグマタイト岩でした。
カリ長石、斜長石、石英、黒雲母などの大きな塊が認められます。晶洞の入口らしき部分もあります。黒い部分は大部分が黒雲母でしょうが、黒い放射状のとこには電気石もあるかもしれません。晶洞の中には水晶やトパーズ、ベルリ等の結晶ができているかも。
花崗岩のマグマが固まる過程で、最後までマグマに取り残された成分が凝集されているので、何か珍しい物質 レアーメタルができているかも知れません。そう考えると、ロマンです。