毎日新聞 (追加記入)
在日米軍再編: 沖縄の負担軽減では日米に温度差
2005年6月5日 0時57分
在日米軍再編問題の年内最終決着に向け、協議の加速を確認した4日の日米防衛首脳会談。しかし、北朝鮮情勢の緊迫化や中国の台頭に備え「抑止力の強化」を主張する米側に対し、一層の「沖縄の負担軽減」を求める日本側との温度差が鮮明になった。これまでの事務レベルの協議では普天間飛行場(沖縄県)の海兵隊へリ部隊を嘉手納基地(同)へ移設することなど再編案の骨格が固まっており、最終的には小泉純一郎首相とブッシュ大統領のトップレベルでの政治決断が「負担軽減」の行方を左右する。【シンガポール古本陽荘、ワシントン及川正也】
◇嘉手納・岩国基地の周辺住民にとっては負担増
「沖縄を中心とする負担の軽減の問題が大事だ」。大野功統防衛庁長官はラムズフェルド国防長官との会談で、沖縄の基地負担が在日米軍再編にあたっての重要課題であることを訴えた。
しかし、ラムズフェルド長官は「米軍による抑止力の維持も重要だ」と指摘し、米側が対北朝鮮・中国の抑止力を強化する拠点に在日米軍を位置づけていることを強調。さらに国内総生産(GDP)の3.2%を国防費に投入している米側の軍事負担の大きさに言及し、双方の認識の違いが明確になった。
03年秋に米側が具体案を提示して始まった日米協議は、日本側が基地の再編に消極姿勢を取ったことに米側が強く反発し、いったんは暗礁に乗り上げた。昨秋、(1)共通戦略目標(2)役割・任務の分担(3)基地問題--の3段階で進める仕切り直しを図った経緯がある。
米国が世界規模で進める米軍の変革・再編(トランスフォーメーション)は技術革新による軍の軽量化・効率化を進めるもので、日本政府内には沖縄に駐留する海兵隊が削減されることへの期待感もあった。しかし、仕切り直し後の戦略協議で米側は対北朝鮮・中国の抑止力を強める姿勢を鮮明にし、日本側も北朝鮮の核開発や拉致問題で米国の圧力を必要としているため、日米の共通戦略目標は抑止力重視の内容になった。
そこで日本側は朝鮮半島有事や日本有事を想定した役割・任務分担の協議で、自衛隊が米軍任務の一部を分担する代わりに基地負担の軽減を進めることを狙った。だが、米側は海兵隊などの兵力削減には難色を示しており、このままでは自衛隊と米軍の一体化ばかりが進んで負担軽減は置き去りにされる恐れもある。
これまでの協議では特に「世界一危険な基地」と言われる普天間飛行場と、夜間発着訓練(NLP)の騒音問題を抱える厚木基地(神奈川県)に対象を絞り、普天間から嘉手納へのヘリ部隊移転や厚木から岩国基地(山口県)への空母艦載機移転などが固まった。
日本政府はこれらを「目に見える負担軽減策」としてアピールしたい考えだが、在日米軍全体の削減にはつながらず、受け入れる嘉手納・岩国基地の周辺住民にとっては負担増となる。特に県内移設に反対する沖縄の理解をいかに得るか。今後、厳しい条件下での交渉を迫られることになり、最後は小泉純一郎首相の政治決断に委ねられる。
◇「中国警戒論」あらわの米側
ラムズフェルド国防長官「中国を脅かす国などないのに、なぜ中国はこれほど軍事費を投じるのか」…
崔天凱・中国外務省アジア局長「中国がどの国からも脅かされていないと、本気で考えているのか」…
日米防衛首脳会談に先立って開催されたアジア安保会議。先陣を切ってスピーチした同長官が、軍事費を毎年10%前後伸ばし続け「軍近代化」を進める中国への警戒論をあらわにすれば、中国側がすかさず切り返し、会議は米中が冒頭から火花を散らす展開となった。
米国の対中警戒論の背景にあるのは「米国に唯一挑戦しようとしているのが中国」(米外交筋)との見方だ。米国は近い将来、中国が最大のライバルになり、アジアの軍事バランスや中台問題に深刻な影響を与えることを警戒している。
米国防総省は近く中国軍事力の年次報告を発表するが、同長官はそれを先取りする形で、中国の中長距離弾道ミサイル増強に触れた。その上で「中国の軍事費は公にされている額よりも多い。世界第3位、アジアでは最大の軍事予算と推定される」と強調、公然と軍拡路線に警鐘を鳴らした。対中警戒論をアジア全体の懸念として共有させる狙いがあったともいえる。
北朝鮮の核問題に対する中国の取り組みが不十分だとの不満も対中警戒論を増幅させている。同長官は3日、記者団に「北朝鮮政策の見直しを進めている」と語ったが、見直しは対中政策にも及ぶ可能性がある。米軍が在韓米軍にF117ステルス攻撃機15機を派遣したのも北朝鮮と同時に中国向けの抑止力誇示という見方も出ている。
中国への備えは、在日米軍再編にも連動する。米陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)のキャンプ座間(神奈川県)移転について、日米軍事筋は「再編を進めている在韓米陸軍司令部の統合も視野に入れている」と指摘。国防総省関係者は「東アジアでの抑止力強化を意味するもの」と説明する。
米軍はアジア太平洋全体での再編を進めており、装備のハイテク化により即応性を持たせることで、部隊を沖縄の外に後退させることは可能という。
だが同時に「後退による中長期的な軍事影響力の低下」(同省筋)も考慮しており、沖縄の基地負担の軽減は対中抑止力とのバランスをどう取るかが決め手になりそうだ。
■日米安保と米軍再編をめぐる主な動き
96年 4月 沖縄県の米軍普天間飛行場返還で日米合意
同月 日米安保共同宣言
12月 沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)最終報告を日米が了承
99年12月 普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古沖移設を閣議決定
02年12月 日米安全保障協議委員会(2プラス2)で日米防衛体制見直しで合意
03年 2月 日米外務次官級戦略対話で在日米軍兵力構成協議開始で合意
03年11月 ブッシュ米大統領が海外駐留米軍再編の声明を発表
04年 6月 在韓米軍1万2500人削減を公表
05年 2月 2プラス2で共通戦略目標合意
6月 日米防衛首脳会談
朝日新聞
米国防長官、中国の軍増強に懸念 アジア安保会議で演説
2005年06月04日10時56分
ラムズフェルド米国防長官は4日、シンガポールで開かれている「アジア安全保障会議」(英国際戦略研究所主催、朝日新聞社など後援)で演説し、昨年末に起きたスマトラ沖大地震・津波災害の際の米海軍による救援活動を「米軍変革(トランスフォーメーション)」の成果と強調。大量破壊兵器の拡散や海賊問題、自然災害など「共通の脅威」に向けた同様の変革を日本を含む域内の同盟・友好国軍に促す考えを示した。経済、政治両面での自由の重要性を強調し、北朝鮮の人権抑圧や核開発問題、中国の軍事力増強に懸念を示した。
ラムズフェルド長官は、津波災害の際、米海軍の艦船がわずか5日でスマトラ沖に到着したことを挙げ「米国は、同様の軍変革を目指す各国軍との協力を重視する。軍変革は人道及び安全保障面での将来的な取り組みに寄与する」と述べた。
域内各国とともに取り組む重要課題として、大量破壊兵器の拡散を防ぐ拡散防止構想(PSI)▽海賊や麻薬、人身売買を防ぐ海上安全保障構想▽日豪などと進めるミサイル防衛――などを挙げた。「人為的なものであれ、災害であれ、米国は支援する」と述べ、域内安全保障に継続的に関与する姿勢を示した。
長官はブッシュ政権が掲げる自由と民主主義の拡大をアジア太平洋地域でも重視する姿勢を強調。朝鮮半島を「自由と圧制の相違が(南北で)これほど明白に示された場所はない」と述べ、北朝鮮による反対派の子孫に対する強制労働や脱北者の本国連れ戻しなどの人権侵害を批判した。また近く米国防総省が発表する中国の軍事戦略に関する年次報告書にふれ「軍事支出は公式に認めている額よりもかなり大きく、世界第3位。アジアでは最大の軍事国家と推定される」と述べた。
讀賣新聞
大量破壊兵器拡散阻止で国際協力を…大野防衛長官
2005年6月4日13時5分
【シンガポール=小川聡】大野防衛長官は4日、シンガポールで開かれている「アジア安全保障会議」(英国際戦略問題研究所主催)で講演した。
ミサイル防衛や大量破壊兵器拡散阻止構想(PSI)の重要性を指摘した上で、「この地域における拡散を阻止するための国際的な努力が極めて重要だ」と強調。8月にシンガポールで予定されているPSIの国際共同訓練に、自衛隊の艦船と航空機を派遣する考えを表明した。
大野長官は各国軍隊の役割について、<1>災害救援<2>海上の安全保障<3>人道復興支援――の3点が重要だと指摘。「日本は平和を愛する国というだけでなく、平和を支援する国として生まれ変わらなければならない」と述べ、国際協力に積極的に取り組む姿勢を強調した。アジア・太平洋地域の安全保障環境に関しては、「緊張緩和とはほど遠いところにある」とし、「北朝鮮の最近の核兵器保有宣言といった挑発的態度は、地域と国際社会の主要な不安定要因となっている」との見解を示した。
毎日新聞
アジア安保会議: 米国防長官、中国の軍拡に警戒感
◇大野・防衛庁長官、北朝鮮の協議復帰を促す
2005年6月4日 東京夕刊
【シンガポール古本陽荘】 ラムズフェルド米国防長官は4日、シンガポールで開かれているアジア安全保障会議で演説し、中国の軍備拡大路線に強い警戒感を表明し、民主化を求めた。また、大野功統防衛庁長官は同会議で、核兵器保有宣言など最近の北朝鮮の動向が地域の不安定要因になっていると表明。日米防衛首脳は同日午後、焦点の在日米軍再編問題などについて協議する。
ラムズフェルド長官は、国防総省が近く発表する中国軍事力に関する年次報告で、中国の国防費が公式発表を大幅に上回っていると結論づけたことを明らかにした。中国が軍事費増大やミサイル能力の向上、軍事技術の革新などを進め、軍事大国化していると指摘。特に中国のミサイルについて「アジア太平洋地域を越え、世界の多くの地域を標的にしている」と指摘し、「どの国も中国に対して脅威を与えていないのに、どうして軍事費に投資するのかという疑問がある」と述べた。
中国の政治体制についても言及し、「いずれ中国政府は、中国国民が熱望する恩恵を達成するためには、開かれた代議制を受け入れる必要に迫られるだろう」と経済自由化に合わせて政治的な民主化を進める必要があると強調した。同長官の一連の「中国警戒」発言は、中国側の反発を呼びそうだ。
また、北朝鮮については「多国間の枠組みは不可欠」として、6カ国協議への復帰を求めると同時に、中国にも働きかけを強めるよう呼びかけた。
◇拉致問題解決へ各国の協力要請
一方、大野長官は最近の北朝鮮の挑発的な姿勢を例に挙げながら「北朝鮮の6カ国協議への即時無条件の復帰がアジア太平洋地域の最重要課題」と訴えた。
日本人拉致事件についても「北朝鮮の不誠実な対応は重大懸念であり、日本国民の3分の2が経済制裁のような強硬路線を支持している」と強調し、関係諸国に解決に向けた協力を求めた。
産経新聞(共同配信)
中国の軍拡に強い懸念 米国防長官
2005年6月4日 13:41
ラムズフェルド米国防長官は4日、シンガポールで開催中の「アジア安全保障会議」で講演し、中国の軍事力拡大について「中国を脅かす国がないのに、なぜ(多額の)軍事支出が必要なのか」と述べ、強い懸念を表明した。同時に、北朝鮮の核開発問題の解決を目指す6カ国協議再開に向け、中国の役割に期待を示した。
長官は「中国はその指導者が認識している以上に、軍事費を支出している。(その額は)世界3位で、(アジア太平洋)地域では1位だ」と指摘。さらに「ミサイル(の配備)を拡大し、世界のあらゆるところへ届くようにしている」と述べた。
また、北朝鮮問題について「核に対する野心を持っているから、世界や地域を脅かす」と強調。その上で「(世界)各国は北朝鮮に6カ国協議に戻るよう促している。これに向けて中国からの貢献があり得る」と述べ、中国による説得工作が近く行われるとの見通しを示した。(共同)
毎日新聞
米国防長官: 年内に訪中の意向 就任以来初めて
2005年6月4日 11時41分
【ワシントン及川正也】 ラムズフェルド米国防長官は3日、シンガポールに向かう機中で記者団に対し、年内に訪中する意向を明らかにした。曹剛川国防相らと会談する。秋以降で調整している。同長官の訪中は01年の就任以来初めて。国防総省が同日、会見内容を公表した。
同長官は「中国は経済成長率とほぼ同じペースで軍事費を増やし、世界の主要な武器購入国で、多くの弾道ミサイルを配備している」と、中国の軍備増強に強い警戒感を表明。訪中では軍事費の透明性向上などを要求するとみられる。
在日米軍再編: 沖縄の負担軽減では日米に温度差
2005年6月5日 0時57分
在日米軍再編問題の年内最終決着に向け、協議の加速を確認した4日の日米防衛首脳会談。しかし、北朝鮮情勢の緊迫化や中国の台頭に備え「抑止力の強化」を主張する米側に対し、一層の「沖縄の負担軽減」を求める日本側との温度差が鮮明になった。これまでの事務レベルの協議では普天間飛行場(沖縄県)の海兵隊へリ部隊を嘉手納基地(同)へ移設することなど再編案の骨格が固まっており、最終的には小泉純一郎首相とブッシュ大統領のトップレベルでの政治決断が「負担軽減」の行方を左右する。【シンガポール古本陽荘、ワシントン及川正也】
◇嘉手納・岩国基地の周辺住民にとっては負担増
「沖縄を中心とする負担の軽減の問題が大事だ」。大野功統防衛庁長官はラムズフェルド国防長官との会談で、沖縄の基地負担が在日米軍再編にあたっての重要課題であることを訴えた。
しかし、ラムズフェルド長官は「米軍による抑止力の維持も重要だ」と指摘し、米側が対北朝鮮・中国の抑止力を強化する拠点に在日米軍を位置づけていることを強調。さらに国内総生産(GDP)の3.2%を国防費に投入している米側の軍事負担の大きさに言及し、双方の認識の違いが明確になった。
03年秋に米側が具体案を提示して始まった日米協議は、日本側が基地の再編に消極姿勢を取ったことに米側が強く反発し、いったんは暗礁に乗り上げた。昨秋、(1)共通戦略目標(2)役割・任務の分担(3)基地問題--の3段階で進める仕切り直しを図った経緯がある。
米国が世界規模で進める米軍の変革・再編(トランスフォーメーション)は技術革新による軍の軽量化・効率化を進めるもので、日本政府内には沖縄に駐留する海兵隊が削減されることへの期待感もあった。しかし、仕切り直し後の戦略協議で米側は対北朝鮮・中国の抑止力を強める姿勢を鮮明にし、日本側も北朝鮮の核開発や拉致問題で米国の圧力を必要としているため、日米の共通戦略目標は抑止力重視の内容になった。
そこで日本側は朝鮮半島有事や日本有事を想定した役割・任務分担の協議で、自衛隊が米軍任務の一部を分担する代わりに基地負担の軽減を進めることを狙った。だが、米側は海兵隊などの兵力削減には難色を示しており、このままでは自衛隊と米軍の一体化ばかりが進んで負担軽減は置き去りにされる恐れもある。
これまでの協議では特に「世界一危険な基地」と言われる普天間飛行場と、夜間発着訓練(NLP)の騒音問題を抱える厚木基地(神奈川県)に対象を絞り、普天間から嘉手納へのヘリ部隊移転や厚木から岩国基地(山口県)への空母艦載機移転などが固まった。
日本政府はこれらを「目に見える負担軽減策」としてアピールしたい考えだが、在日米軍全体の削減にはつながらず、受け入れる嘉手納・岩国基地の周辺住民にとっては負担増となる。特に県内移設に反対する沖縄の理解をいかに得るか。今後、厳しい条件下での交渉を迫られることになり、最後は小泉純一郎首相の政治決断に委ねられる。
◇「中国警戒論」あらわの米側
ラムズフェルド国防長官「中国を脅かす国などないのに、なぜ中国はこれほど軍事費を投じるのか」…
崔天凱・中国外務省アジア局長「中国がどの国からも脅かされていないと、本気で考えているのか」…
日米防衛首脳会談に先立って開催されたアジア安保会議。先陣を切ってスピーチした同長官が、軍事費を毎年10%前後伸ばし続け「軍近代化」を進める中国への警戒論をあらわにすれば、中国側がすかさず切り返し、会議は米中が冒頭から火花を散らす展開となった。
米国の対中警戒論の背景にあるのは「米国に唯一挑戦しようとしているのが中国」(米外交筋)との見方だ。米国は近い将来、中国が最大のライバルになり、アジアの軍事バランスや中台問題に深刻な影響を与えることを警戒している。
米国防総省は近く中国軍事力の年次報告を発表するが、同長官はそれを先取りする形で、中国の中長距離弾道ミサイル増強に触れた。その上で「中国の軍事費は公にされている額よりも多い。世界第3位、アジアでは最大の軍事予算と推定される」と強調、公然と軍拡路線に警鐘を鳴らした。対中警戒論をアジア全体の懸念として共有させる狙いがあったともいえる。
北朝鮮の核問題に対する中国の取り組みが不十分だとの不満も対中警戒論を増幅させている。同長官は3日、記者団に「北朝鮮政策の見直しを進めている」と語ったが、見直しは対中政策にも及ぶ可能性がある。米軍が在韓米軍にF117ステルス攻撃機15機を派遣したのも北朝鮮と同時に中国向けの抑止力誇示という見方も出ている。
中国への備えは、在日米軍再編にも連動する。米陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)のキャンプ座間(神奈川県)移転について、日米軍事筋は「再編を進めている在韓米陸軍司令部の統合も視野に入れている」と指摘。国防総省関係者は「東アジアでの抑止力強化を意味するもの」と説明する。
米軍はアジア太平洋全体での再編を進めており、装備のハイテク化により即応性を持たせることで、部隊を沖縄の外に後退させることは可能という。
だが同時に「後退による中長期的な軍事影響力の低下」(同省筋)も考慮しており、沖縄の基地負担の軽減は対中抑止力とのバランスをどう取るかが決め手になりそうだ。
■日米安保と米軍再編をめぐる主な動き
96年 4月 沖縄県の米軍普天間飛行場返還で日米合意
同月 日米安保共同宣言
12月 沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)最終報告を日米が了承
99年12月 普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古沖移設を閣議決定
02年12月 日米安全保障協議委員会(2プラス2)で日米防衛体制見直しで合意
03年 2月 日米外務次官級戦略対話で在日米軍兵力構成協議開始で合意
03年11月 ブッシュ米大統領が海外駐留米軍再編の声明を発表
04年 6月 在韓米軍1万2500人削減を公表
05年 2月 2プラス2で共通戦略目標合意
6月 日米防衛首脳会談
朝日新聞
米国防長官、中国の軍増強に懸念 アジア安保会議で演説
2005年06月04日10時56分
ラムズフェルド米国防長官は4日、シンガポールで開かれている「アジア安全保障会議」(英国際戦略研究所主催、朝日新聞社など後援)で演説し、昨年末に起きたスマトラ沖大地震・津波災害の際の米海軍による救援活動を「米軍変革(トランスフォーメーション)」の成果と強調。大量破壊兵器の拡散や海賊問題、自然災害など「共通の脅威」に向けた同様の変革を日本を含む域内の同盟・友好国軍に促す考えを示した。経済、政治両面での自由の重要性を強調し、北朝鮮の人権抑圧や核開発問題、中国の軍事力増強に懸念を示した。
ラムズフェルド長官は、津波災害の際、米海軍の艦船がわずか5日でスマトラ沖に到着したことを挙げ「米国は、同様の軍変革を目指す各国軍との協力を重視する。軍変革は人道及び安全保障面での将来的な取り組みに寄与する」と述べた。
域内各国とともに取り組む重要課題として、大量破壊兵器の拡散を防ぐ拡散防止構想(PSI)▽海賊や麻薬、人身売買を防ぐ海上安全保障構想▽日豪などと進めるミサイル防衛――などを挙げた。「人為的なものであれ、災害であれ、米国は支援する」と述べ、域内安全保障に継続的に関与する姿勢を示した。
長官はブッシュ政権が掲げる自由と民主主義の拡大をアジア太平洋地域でも重視する姿勢を強調。朝鮮半島を「自由と圧制の相違が(南北で)これほど明白に示された場所はない」と述べ、北朝鮮による反対派の子孫に対する強制労働や脱北者の本国連れ戻しなどの人権侵害を批判した。また近く米国防総省が発表する中国の軍事戦略に関する年次報告書にふれ「軍事支出は公式に認めている額よりもかなり大きく、世界第3位。アジアでは最大の軍事国家と推定される」と述べた。
讀賣新聞
大量破壊兵器拡散阻止で国際協力を…大野防衛長官
2005年6月4日13時5分
【シンガポール=小川聡】大野防衛長官は4日、シンガポールで開かれている「アジア安全保障会議」(英国際戦略問題研究所主催)で講演した。
ミサイル防衛や大量破壊兵器拡散阻止構想(PSI)の重要性を指摘した上で、「この地域における拡散を阻止するための国際的な努力が極めて重要だ」と強調。8月にシンガポールで予定されているPSIの国際共同訓練に、自衛隊の艦船と航空機を派遣する考えを表明した。
大野長官は各国軍隊の役割について、<1>災害救援<2>海上の安全保障<3>人道復興支援――の3点が重要だと指摘。「日本は平和を愛する国というだけでなく、平和を支援する国として生まれ変わらなければならない」と述べ、国際協力に積極的に取り組む姿勢を強調した。アジア・太平洋地域の安全保障環境に関しては、「緊張緩和とはほど遠いところにある」とし、「北朝鮮の最近の核兵器保有宣言といった挑発的態度は、地域と国際社会の主要な不安定要因となっている」との見解を示した。
毎日新聞
アジア安保会議: 米国防長官、中国の軍拡に警戒感
◇大野・防衛庁長官、北朝鮮の協議復帰を促す
2005年6月4日 東京夕刊
【シンガポール古本陽荘】 ラムズフェルド米国防長官は4日、シンガポールで開かれているアジア安全保障会議で演説し、中国の軍備拡大路線に強い警戒感を表明し、民主化を求めた。また、大野功統防衛庁長官は同会議で、核兵器保有宣言など最近の北朝鮮の動向が地域の不安定要因になっていると表明。日米防衛首脳は同日午後、焦点の在日米軍再編問題などについて協議する。
ラムズフェルド長官は、国防総省が近く発表する中国軍事力に関する年次報告で、中国の国防費が公式発表を大幅に上回っていると結論づけたことを明らかにした。中国が軍事費増大やミサイル能力の向上、軍事技術の革新などを進め、軍事大国化していると指摘。特に中国のミサイルについて「アジア太平洋地域を越え、世界の多くの地域を標的にしている」と指摘し、「どの国も中国に対して脅威を与えていないのに、どうして軍事費に投資するのかという疑問がある」と述べた。
中国の政治体制についても言及し、「いずれ中国政府は、中国国民が熱望する恩恵を達成するためには、開かれた代議制を受け入れる必要に迫られるだろう」と経済自由化に合わせて政治的な民主化を進める必要があると強調した。同長官の一連の「中国警戒」発言は、中国側の反発を呼びそうだ。
また、北朝鮮については「多国間の枠組みは不可欠」として、6カ国協議への復帰を求めると同時に、中国にも働きかけを強めるよう呼びかけた。
◇拉致問題解決へ各国の協力要請
一方、大野長官は最近の北朝鮮の挑発的な姿勢を例に挙げながら「北朝鮮の6カ国協議への即時無条件の復帰がアジア太平洋地域の最重要課題」と訴えた。
日本人拉致事件についても「北朝鮮の不誠実な対応は重大懸念であり、日本国民の3分の2が経済制裁のような強硬路線を支持している」と強調し、関係諸国に解決に向けた協力を求めた。
産経新聞(共同配信)
中国の軍拡に強い懸念 米国防長官
2005年6月4日 13:41
ラムズフェルド米国防長官は4日、シンガポールで開催中の「アジア安全保障会議」で講演し、中国の軍事力拡大について「中国を脅かす国がないのに、なぜ(多額の)軍事支出が必要なのか」と述べ、強い懸念を表明した。同時に、北朝鮮の核開発問題の解決を目指す6カ国協議再開に向け、中国の役割に期待を示した。
長官は「中国はその指導者が認識している以上に、軍事費を支出している。(その額は)世界3位で、(アジア太平洋)地域では1位だ」と指摘。さらに「ミサイル(の配備)を拡大し、世界のあらゆるところへ届くようにしている」と述べた。
また、北朝鮮問題について「核に対する野心を持っているから、世界や地域を脅かす」と強調。その上で「(世界)各国は北朝鮮に6カ国協議に戻るよう促している。これに向けて中国からの貢献があり得る」と述べ、中国による説得工作が近く行われるとの見通しを示した。(共同)
毎日新聞
米国防長官: 年内に訪中の意向 就任以来初めて
2005年6月4日 11時41分
【ワシントン及川正也】 ラムズフェルド米国防長官は3日、シンガポールに向かう機中で記者団に対し、年内に訪中する意向を明らかにした。曹剛川国防相らと会談する。秋以降で調整している。同長官の訪中は01年の就任以来初めて。国防総省が同日、会見内容を公表した。
同長官は「中国は経済成長率とほぼ同じペースで軍事費を増やし、世界の主要な武器購入国で、多くの弾道ミサイルを配備している」と、中国の軍備増強に強い警戒感を表明。訪中では軍事費の透明性向上などを要求するとみられる。