たかち芸能祭 | 佐渡島・高千地域の伝統芸能が一堂に会す夏祭★毎年8月13日★

佐渡島・高千は芸能の宝庫、たかち芸能祭を支える「もんて」(佐渡の方言で”仲間”)のスタッフブログです。

新聞で紹介していただきました!

2009年08月06日 22時19分35秒 | 芸能祭2009
 法政大学教授の田中優子先生(TBSのサンデーモーニングあたりで見かけます)が、新聞で芸能祭のことを紹介してくださいました。
 田中先生、ありがとうございました!!


(以下、掲載記事)

 佐渡は島である。この島で私は毎年、学生と合宿をしている。離島というと過疎のように思えるが、食糧自給率が極めて高く、米も魚も果物も美味な島だ。海が隔てているから不利というわけでもない。江戸で早くから失われてしまった説経節や文弥節、一人遣いの人形が残り、能舞台は野外を含め三〇カ所以上、鬼太鼓の祭が一〇〇カ所以上、残っている。まさに日本伝統芸能の宝庫なのだ。多くの集落で、今までどおり祭が行われている。そこに参加させていただくのだが、地元の方々の生活を外から来た人間が共有するさまは、バリ島に匹敵する。外海府の中程に高千(たかち)という集落がある。ここは佐渡で一番美味しいといわれる米の生産地だ。住んでいる人々は季節の移ろいにあわせて、その時々の仕事を淡々とこなしている。しかし若者の他県流出に歯止めがかからず、長く続いた芸能祭の中止を余儀なくされた。それを七年前に地元のリーダーが率いる若者組が復活したという。企画運営はすべて彼らがおこない皆で汗を流す。お盆に帰省する人たちも加わって多くが集まる。外来者も混じってはいるが、地元の人と同じ扱いだ。観光客に媚びる催し物ではない。これこそが佐渡流である。「町づくり」「地域活性化」などの空虚な言葉を並べ立て、結局は東京の企業に利益をもたらすまやかしがまかり通っているが、その類ではない。この高千芸能祭は継続することによって、若者の他県流出をくい止め、ユーターンをもたらすかも知れない。トライアスロンやトキも素晴らしいが、佐渡の力は伝統や人にもある。観光するだけでなく土地の文化に人のまなざしが向き、関心が深まれば、日本は変わる。

田中優子

(2009年7月28日 神戸新聞 随想「佐渡で考えたこと」より)

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