ごくまれ日記

思いついたこと、書きたいことをごくまれに投稿します。

「西郷どん」第40話

2018-11-18 12:49:51 | 映画・ドラマ
大久保「国父様、今一度お考え直しいただけもはんか? 天子様があれほどまでに国父様を頼りにしておるのでございます」
島津久光「まさかお前の口から天子様のお言葉を聞かされっとは」
大久保「天子様が国父様を頼りにしておるのは誠でございます。どうしても国父様に…」
島津久光「薄暗い書庫で碁を打ったのはいつの頃じゃったかのう? はっはっは。じゃって病じゃっち言うておる。寄る年波には勝てんちゅうこっじゃ。寄る~年波に~」
大久保「悪いようにはいたしもはん。我らと東京へ…」
久光「待て。悪いようにはいたしもはん? 悪いようにはいたしもはん? 何様じゃお前は! いつからそげな口を利けるようになった? うおぉぉ! お前ら政府の考えちょっこつなんてわかっちょっど。わしを東京に縛り付けて、こん薩摩を抑え込むつもりじゃろう! すべてお見通しじゃ! わしはのう、お前らの指図など死んでも受けん! 下がれ! わしの言うことが聞けんのか? 下がれ! 下がれっちゅう… 何じゃい?」
大久保「いつまでそのようなことを仰せられますか?」
久光「あぁ?」
大久保「私はもう島津家ではなく、天子様にお仕えしている身でございます」
久光「は? はぁ?」
大久保「一人時世に取り残されますぞ」
久光「お前、それがお前の本性か?」
大久保「国父様にも新政府の席を設けてお待ちしているのでございます。それが私の恩返しです。(深く礼)では、これにて失礼つかまつりまする。島津久光様」
久光「ちょっと、ちょっと待て。一蔵! 一蔵! 行かんでくれやい! 行かんでくれ!」


大久保「吉之助さぁ、皆やりにくかち言うちょう」
西郷「そうじゃろうなぁ」
大久保「おはんわかっちょって。何ごて足を引っ張るようなことすっとな?」
西郷「おいは過ぎた銭をもらって、過ぎた暮らしをすっために東京に来たわけじゃなか。おはんとまつりごとをしに来たとじゃ」
大久保「じゃったら何ごて?」
西郷「一蔵どん、おはんらは何をやっちょっとな? こいでは横山やすたけの言うちょったまんまじゃっと? 政府の悪政と私腹を肥やす役人、そんせいで日本は何も変わっちょらんちゅうて腹を切った若者じゃ。藩を取り潰し日本のまつりごとを一つとする。そうでなければ世界の列強と対等に渡り合っていくこつなどできん、もっともじゃ! じゃっどんそん前にやらねばならんことがあっとじゃなかか?」
大久保「日本のまつりごとを背負う者は、か弱き民の手本とならねばならんか? そげなこつただの綺麗事じゃ」
西郷「そうじゃろかい?」
大久保「よかか? 立派な屋敷に住むのも、贅を尽くした飯を食べるのも、異国に舐められんようにすっためじゃ。劣った暮らしをしている相手と対等に話をする者などおらん。こん国をいち早く世界の一等国にするには、一等国である西欧の真似をするしかなか。こいは百年先の民の暮らしを考えてのこっちゃ。頼んだぞ、吉之助さぁ」


後藤象二郎「西郷さん、わしら訳あって、袂を分かつことになったがですき」
江藤新平「あとは薩摩と長州で好きにしたらよか」
西郷「お待ちくだされ、待ってくだされ!」
大久保「構わん、吉之助さぁ」
西郷「んにゃこいじゃいかん。薩摩と長州だけでできるはずがなか」
大久保「できる!」
西郷「できん! できるはずがなか!! 藩の取り潰しは、おいたち政府が一枚岩になってこそじゃ。藩がなくなった後も行く末を任せられると信じてもらわねば、反乱も起きてしまう」
大久保「そうならないために御親兵がいるんだ、西郷隆盛がいるんだ!」
西郷「御親兵とて同じじゃ! 皆おいたちを信じて集まってくれちょっど。あの者たちじゃなか。すべての民にこげなつまらん政府ち思わせたらいかん。おいたちの方には、戊辰で死んでいった8千の魂が乗っちょっだっど。もう一度皆が一つになって存分に話し合いもんそう。ほいでそん覚悟で堂々とやったらよか。そいでも出てしまう膿は、反乱でも何でもおいがすべて引き受けもんそう。もう一度、どうかお頼みいたします」


大久保「吉之助さぁ、おいは、何か間違っちょったか?」
西郷「んにゃ。おはんはそいでよか。何年後、何十年後にこいでよかったち皆が思える日本にする。そいがおはんがしようちしちょうまつりごとじゃろう?」
大久保「ああぁ、そうじゃ」
西郷「じゃったらおはんは思ったとおり存分にやればよか。おはんが抱えきれんもんは、俺が抱えって」


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