西郷どん「一蔵どん、おいはここに来るまで何も知らんかった。藩には途方もなか金があるもんじゃのうち思っちょったのう。そん金の多くは、この島から搾り取ったもんじゃった。そのためにこいほど島の人たちを苦しめちょったとは。じゃっどん、みんなよう笑っちょう。唄も踊りもほんのこて美しか。憎かはずの薩摩のおいにまで優しか。砂糖や作物は薩摩に全部召し上げられるが、海には魚がおる。山にはイノシシがおる。腹が減ったら、いつでん釣りや狩りをして、そん命をいただく。おいはここで、生きる力をもろうた。人の愛っちゅうもんを教えてもろうたとじゃ。おいにとってここは、極楽じゃ」
西郷どん「パークス公使にこうお伝えください。日本のことは日本人で解決せねばなりません。日本はエゲレスのものでもフランスのものでもありもはんど」
西郷どん「慶喜公はのう、異国に日本を切り売りしようしちょう。もう腹をくくるしかなか。武力をもって徳川を討つ。威圧するだけじゃやっせん」
大久保「吉之助さん。決めたら後には引けんど」
西郷どん「もう決めた。向こうは捨て身じゃ。こっちも覚悟をきめにゃ幕府は倒せん」
岩倉「麿の命、お前らに預けたるわ」
西郷「坂本さんは何もわかっちょらん。こいでは何も変わらんど」
坂本「ずいぶんな言われようじゃの」
西郷「慶喜公はうまく逃げただけじゃ。大政奉還の真の狙いは、おいたちが振り上げた拳をかわすことじゃ。ただの詭弁じゃ」
坂本「西郷さん、それはいくらおまんでも言い過ぎぜよ」
西郷「んにゃ、あん頭のよかお人はわかっちょう。政権を返したところで、今の朝廷には何もできんち、すぐにまた政権が手元に戻ってくるち。もう武をもって徳川を叩き潰さんにゃ、何も変わらん。新しか世は来ん」
坂本「いや、わしはそうは思わんけぇ。今徳川と戦をしたら、日本全土は火の海ぜよ。それこそ異国の思うつぼじゃけ。西郷さん、おまんも戦は好かんかったがじゃろ?」
西郷「何ち言われようと、おいは慶喜を討つ。息の根を止めっとじゃ」
西郷どん「慶喜公はのう、異国に日本を切り売りしようしちょう。もう腹をくくるしかなか。武力をもって徳川を討つ。威圧するだけじゃやっせん」
大久保「吉之助さん。決めたら後には引けんど」
西郷どん「もう決めた。向こうは捨て身じゃ。こっちも覚悟をきめにゃ幕府は倒せん」
岩倉「麿の命、お前らに預けたるわ」
西郷「坂本さんは何もわかっちょらん。こいでは何も変わらんど」
坂本「ずいぶんな言われようじゃの」
西郷「慶喜公はうまく逃げただけじゃ。大政奉還の真の狙いは、おいたちが振り上げた拳をかわすことじゃ。ただの詭弁じゃ」
坂本「西郷さん、それはいくらおまんでも言い過ぎぜよ」
西郷「んにゃ、あん頭のよかお人はわかっちょう。政権を返したところで、今の朝廷には何もできんち、すぐにまた政権が手元に戻ってくるち。もう武をもって徳川を叩き潰さんにゃ、何も変わらん。新しか世は来ん」
坂本「いや、わしはそうは思わんけぇ。今徳川と戦をしたら、日本全土は火の海ぜよ。それこそ異国の思うつぼじゃけ。西郷さん、おまんも戦は好かんかったがじゃろ?」
西郷「何ち言われようと、おいは慶喜を討つ。息の根を止めっとじゃ」
糸「愛加那さんは、どげんお方でしたか? 旦那さんのお子を2人も生んでくださったお方。私には及びもつきもはんど。ただ知りたか」
西郷どん「糸どん、おいは、一度死んだ人間じゃ。そいをわかってくれやい。愛加那は、おいを再び生かしてくれた。愛加那がおらんかったら、おいの心は今も死んだままじゃった。愛加那は、そげな女子じゃ」
糸「ようわかりもした。恥ずかしか。そげん大切なお方に、私は嫉妬しちょった。じゃっでん、旦那さんに聞く勇気が出んかった」
糸「おりょうさんとも誓いました」
西郷どん「おりょうさんと、何を?」
糸「難儀な男に惚れたんじゃって、一生惚れ通すしかなかち!」
西郷どん「糸どん、おいは、一度死んだ人間じゃ。そいをわかってくれやい。愛加那は、おいを再び生かしてくれた。愛加那がおらんかったら、おいの心は今も死んだままじゃった。愛加那は、そげな女子じゃ」
糸「ようわかりもした。恥ずかしか。そげん大切なお方に、私は嫉妬しちょった。じゃっでん、旦那さんに聞く勇気が出んかった」
糸「おりょうさんとも誓いました」
西郷どん「おりょうさんと、何を?」
糸「難儀な男に惚れたんじゃって、一生惚れ通すしかなかち!」