期間限定の独り言

復興の道のりはつづく。

寒くなってきた

2011-11-30 20:07:55 | 日記
 終日どんよりと曇って、どんどん気温が下がってきた。今夜から明日にかけて真冬並みの寒さになるとのことである。
 しかし私は相変わらず半休日のようなゆったりした時間を過ごさせて頂いている。今日も一時間目だけ出勤、すぐに帰って近くのスーパーで買い物を済ませ、お昼を食べてから出かけた。
 今日行きたいと思っていたのは古本屋萬葉堂である。電車とバスを乗り継いで、片道五百五十円もかかるが、ここは近郊では古本の殿堂である。時を忘れて午後から夕方まで二時間くらいはうろうろしていたように思う。
 収穫は例によって旧大系二冊、『狭衣物語』と『近世文学論集』である。一冊五百円で、一割引の券があったので九百円也。
 この狭衣は、初めて読んだのは理学部の学生を兼業していた、確か大学三年生の秋である。大学図書館から借り出した本を、リュックに入れて毎日持ち歩いていたら、ある日とつぜん滝のような大雨が降って来て大洪水になり、電車もバスも何も止まって、夜中に叔父の車に拾われてほうほうの体で帰ってきた。停電で真っ暗な家にたどり着いて、濡れない様にポリ袋に入れて大切にしまって置いた狭衣をリュックからようやく取り出したのを思い出す。
 それ以来つい去年か今年になってからだったか、十数年ぶりに読み返してみようと思って古本屋から買って来て、自室に置いておいて、まだ全く手もつけないうちにあの本は大津波にのみ込まれてしまった。今度こそはと思うが、やはり現状では正直な所いつ読めるかわからない。
 もう一冊の『近世文学論集』は、これ自体は全く未見の本であるが、前半の歌論は、別の刊本で読んだものも多いから懐かしい。後半の漢詩論は、今まで全く勉強したことのない分野だから何とも言えないが、江戸時代に行われていた学問というのは改めて追ってみたい所である。
 明日もC校の出勤日ではあるが、仕事は特に何もない。種々考慮の結果、明日は全面的に無断欠勤を決め込んで、買い物ならびに逍遥、そして仮設実家の訪問に充てようと思う。理屈としては、あさっての金曜日はC校の勤務日ではないが、試験があるから必然的に行かねばならない。明日は自発的にその代休である。間違ったふりをして出勤簿の判子は木曜日に移動させて置けばよいと考える。非常勤はいろいろと思い悩むことが多い。

暖かだった

2011-11-29 16:57:15 | 日記
 昼間はどうかすると上着が要らないほどで、自転車の男子高校生などはワイシャツの袖をまくり上げているのも居た。
 うららかな天気で、街を歩くと昼間から高校生がうろうろしているのが目障りであるが、これはどこの学校も今は定期試験の季節だからで、私が暇なのも全くそのせいであるから、不平を言っても始まらないのである。
 今日は本来であれば一時間目C校、その後A校に移動して五時まで四コマの授業という、週で最も過酷な時間割であるが、幸いどちらも今日から試験なので、ゆっくりさせてもらった。
 今年の三月まで勤めたB校は、授業がつぶれても勤務日は来るべしという御達しが教頭からあったが、C校からは今までそんな話は聞いたことがない。ただやはりちゃんとした普通の高校なので、自発的に授業なしの出勤を励行して、今日も一応出勤簿に判子だけは突いて来た。それからちょっと仕事をして、十時のお茶を済ませて帰る。
 本来であればそれからA校に移動すべきであろうが、こちらは五年勤めていてそんな話は聞いたことがないという気安さもあって無断欠勤を決め込む。後でどこかから故障が出れば年休を取るまでの話である。だいたいA校にはこの五年来使わなかった年休が積もっていて、十数日あるはずである。C校は今年から行ったばかりだから、最初からそんなにお休みが与えられていない上に、県の教採の一次二次で使い、今また来週水曜日のD校の試験で休まねばならず、あと二日くらいしか無いのである。考えてみれば県の教採は全く得る所なく人を落としておいて、罪滅ぼしに年休くらい戻してくれないものかと思う。全くの自己都合で休んだわけではなく、二次などは特に県のお招きを受けて行ったのであるから、改めて考えてみればまんざら筋の通らない話でもないように思う。
 しかし本来そんなことはこの稿ではどうでもよいのであった。今日はそんなわけで昼前に仕事を上がって、街に買い物に行く。パソコンは今回見送って、冬物衣料を買うことにした。スーツの上に着るコートと、暖ったかな厚手のジャケットである。
 震災に遭ったのはまだ寒い頃だったから、その時の装束は冬のこしらえで、セーターの上に分厚い黒のダッフルを着ていた。外套があってその後つづいた流浪生活の中では相当助かったが、ただ仕事の時に着て行くブレザーやコートは無くて、この頃は何だか中途半端な格好で落ち着かなかった。
 いわゆるビジネスコートを手に入れたから、D校の採用試験は春に買ったスーツの上にこれを着て行ける。指導案より衣装を優先した格好であるが、着るものは後々まで役に立つから心豊かである。本当は冬用の暖かなスーツも欲しかったのだけれど、普段の仕事で着られるジャケットの方を買ってしまった。仕方がないから採用試験の時は下着を重ねて寒さに対抗しようと思う。
 書き忘れたがこれらを買ったのは仙台駅前のコナカである。そこからすぐ隣のさくら野百貨店に入って、ブックオフに上がって行ったら掘り出しにぶつかった。旧大系の『芭蕉文集』八百円で出ていて、状態もよさそうなので買ってしまった。ブックオフには昔はこういう本は無いとしたものだったが、この間は新大系の枕草子も買ったくらいで、最近はそうでもないらしい。
 明日も仕事の予定は特にない。天気が荒れて寒くなるらしいが、行きたい所はいくつかある。しかしこう私用ばかりにかまけて飛び歩いていると指導案の宿題を忘れそうである。

挫折した

2011-11-28 16:57:17 | 日記
 早い。
 今日は一時間目の途中からC校に出勤して、先週実施された二年生の古典の採点を延々とやっていた。むやみに問題数の多い試験で、しかも普通の学校だから一クラス四十人もいる。実は先週のうちに半分まで終わっていたのだが、残り半分をつけて、見直しながら点数を手帳に転記して、エクセルに入力して集計、これだけの作業が昼前までかかってようやく終わった。
 それで六時間目は三年生の授業だが、明日から試験なので、世論の希望に従って自習と相成った。C校はつくづく普通の進学校で、こういう時に自習させると誰しも静粛に各自の仕事をするうちに、あっという間に五十分が過ぎる。これが普通でないA校となると、やはり明日から試験だというのに、先週金曜日の授業を十分ほど自習にしたら、時間を持て余す生徒が多すぎる。漫画を読む、携帯をいじるというのはまだよい方で、何もする事がなくぼんやりしているというのが少なくない。こういうのを見るとつくづく可哀相というか、高校に来ているのが全く時間の無駄というものであって、早く社会に出て働けば良いのにと思うが、働く場所がないというのが現下の日本である。
 それで今日はほとんど授業らしい授業もしなかったのは予定通りであったが、夕方になったら何だかくたびれて街に行く気はなくなった。部屋に帰る途中、ちゃんと銀行に寄ってお金まで下ろしてきたけれど、パソコンを買うのは何だか物憂い。それでこうしてまた古い機械で日記など書いている。いよいよ壊れてからばかり慌てることになるとは分かっているが、指導案もこの機械で作ってしまおうかと思う。いずれ明日以降気が向いたらの話にする。

パソコンを買うぞ

2011-11-27 21:33:43 | 日記
 やはり津波をかぶった機械は接触がよろしくなく、と言うより、だいたい普通に動作しているのが奇跡というものであろう。震災当日私は自宅におらず、自室の机の上に置いてあったパソコンが一体どういう目に遭ったやら、正確には分からないのであるが、それにしても大人の胸くらい浸水した家の中にあって無事なわけはないのである。それでも外見はほとんど変わりがなく、本当に注意して見れば、あちこちの端子の接続部にごく薄っすらと埃のようなものが付着している程度とは奇跡としかいいようがない。
 それで今現在もその機械でこうして問題なく文章を書き綴っているわけであるが、やはり時々AC電源が取れなくなる。ケーブルを差し込み直せばたいていは復活するのだが、この間はしばらくバッテリーに切り替わったままになって、いよいよ終わりかと青くなりかけた。
 被災して書物や衣類はじめほとんどの私物を失ってこの方、できるだけ物は増やさず、身辺は簡略なままで過ごしたいと思って暮らして来て、パソコンも基本的に勤務先のを使えば良いという方針で来たが、やはりうちで仕事をすることもあるし、ネットを見ることもある。特に今は、D校の採用試験のための指導案も書かねばならない。
 それでこの際、ちゃんとしたノートパソコンとプリンタくらい買おうと思い立った。だいたい家賃補助を受けたり義捐金を頂いたり年金保険料を免除してもらったりしているのは生活再建のためのはずである。やみくもに貯金するばかりが能でもあるまいと思う。
 幸い今週は、先にも書いた通り、定期試験のおかげでけっこう暇がある。明日は六時間目だけに授業が入っているが、それまでは何にもなく、そんなに草臥れもしまいから、夕方からでも電器屋に遠征しようかと志を立てている。パソコンなんか買った日にはその後どこにも行けるものではなく、真っ直ぐ帰るしかないのだから、こんな用事は一日の最後に引っ掛けるのが得策である。
 しかしこうして書きながらも、どうするかなと迷っている。物を買って所有することに対しては昔から面倒くさいという感じがあったが、震災を経ていっそうそういう気分は濃厚になったような気がする。特にパソコンなんか買い求めてからもいろいろ面倒を見てやらなくてはいけないから、それが楽しみでもあるが面倒でもある。それに比べると書物はよほど単純でいい。そんなわけで、果たして本当に新しい機械は導入されるのか、それは次回以降の話である。

寒さ続く

2011-11-24 20:21:57 | 日記
 北海道ほどではあるまいと思うけれど、当地もそれなりに寒くなっている。特に学校という所は、温度ではなく日程で暖房を管理するから、例年ちょうど今頃、冬に入りかけが一番寒い。十二月にならないと油は配給にならないと言うことで、その頃にはまた大方暖かくなっていることであろう。
 何だか最近いらいらする事が多い。やはり食生活に原因を求めれば、端的にカルシウムが足りないのかと思う。牛乳は全然飲まないが、チーズはお昼のサンドイッチに入れるから、ほぼ毎日一枚ずつは食べている。しかし魚はやはり全く食べていない。やはりCa不足は否めない、ということで、いずれシラス干しでも買って来て食べようかと思う。
 生徒に対して苛々するのは、まあ仕事の忙しいせいもあろうかと思う、のでできるだけ仕事をセーブして、ストレスを取ろうと考える。幸い来週はA校C校とも定期試験で授業は暇になる。ただし二校とも金曜日に受け持ち科目の試験が集中したから、来週末は缶詰になること間違いなしである。
 そしてその次の週の水曜日には、例のD校の採用試験が入っている。先週末に速達が来て、どうやら教授のご威光か、書類は通ったようで、筆記試験の招待が来た。
 加えて、以後はメールで連絡をしたいからアドレスを知らせろという指令もあった。そこらのコンビニで売っている履歴書には、連絡先の中にアドレスを書く欄がない、それでつい失念したが、この頃のこういう書類には当然書いておくべきものだったと思う。
 それでさっそく届けて置いたら、ついさっき携帯電話にメールが来て、ところが添付ファイルは綺麗に削除されているので、津波をかぶっていまだに生き残っているパソコン――この頃はまたAC電源が接触不良になってきた――を立ち上げて、改めてメールを取ってみたら、こちらには完全版がちゃんと来ていた。
 何でも模擬授業をやってもらうというので、送られて来たのはその教材であった。A4一枚ばかりの随筆の文章について、指導案を作って持参せよという。しかも念の入ったことに、自校の生徒を実験台にして、どうも五十分、実際に授業を受けさせるらしい。
 県の採用試験でも、指導案を作って模擬授業というのはあるが、聞いているのは試験官二人だけである。だから本当に模擬でしかなく、質問をしても答が返ってくるでなし、透明な壁に向かって物を言っているような虚しさがつきまとうのであるが、それに比べればよほど興味深い、面白いやりようではある。生徒はどのように言い含められているものやら、初対面で講義をするからには名乗る程度でも自己紹介などしていいものかどうか、よく分からないことは多いが、とにかく面白そうだと思う。実際やってみたらひどい目に遭うか知らないが。

寒かった

2011-11-16 19:52:56 | 日記
 しかしこの秋冬一番の寒さになるとおどかされて覚悟していたから、さほど辛くはなかった。学校はまだ暖房が入らないから、服装は室内・屋外兼用で考える。長袖の下着を着て、セーターを着込んだ上にブレザーを着る。これだと外を歩いても大丈夫だし、火の気のない部屋で座っていてもそれほど侘びしくない。
 今夜もこうして自室でパソコンが開いてよしなし事を書き綴っているわけであるが、普段だいたいこのくらいの閑暇はあるとしたもので、先週までが異常だったのである。
 話は文化の日の少し前に遡るが、私がこの三月に失意のまま卒業した研究室の教授から、突然連絡が来て、某私立学校の求人があるという。それでまず先週月曜日に、C校の六時間目の授業を課題にしてもらって、夕方大学に行って話を聞いてきた。
 詳細は略すが、要するに教授としては、社会人で修士に入って、ろくに論文も書けないのに三年も居続けた挙句、突然博士に進学したいなどと血迷ったことを言い出した私を、単に放り出したままではいささか気の毒だと思ったのであろう。地元の某私立学校(以下D校とする)から、採用担当の先生が訪ねてきて、推薦の依頼があったのだそうであるが、まず私を第一の候補として考えてくれたらしい。
 加えて、震災で被災して家を失い、一家離散となり、生活を再建するためには定職がなくてはなるまいと気遣ってくれたようで、有難い話である。要項によれば書類提出期限は先週の金曜日で、とうてい間に合わないのだが、それも教授の口利きで延ばしてくれるというから、応募してみることになった。
 それでその日のうちに大学の教務に証明書を頼んで、木曜日の夕方にはそれをまた取りに行き、その間水曜日の放課後は近くの医院に行ってまた健康診断を受け、さらには履歴書を書いて写真を撮ってなど、こういう書類を調えるという作業は単純なようで面倒くさい。
 実を言うと私としては内心、採用には至るまいという気がして来ているのである。だいたい教授から話のあった当初から気がついていたが、D校は中高一貫の学校であるのに、私は中学の免許を持たない。だから応募はできないと思いますと最初返信したら、何とも念の入ったことに、わざわざ先方に確認してくれて、中学の免許は現時点では無くても良いという話になり、断る口実がなくなった。
 それでも中学の免許を持つ他の候補者と比べたら、相当ハンデはあるだろうと思う。いくら教授の推薦状があったって、実際受けに行けば落とされる公算が大である。それでも応募するのは、教授の親切を無にしては悪いというのが大きな動機で、私の中ではいわばお付き合いだから、時間は取られるし健康診断その他で金はかかるし、考えてみりゃ阿呆らしいなあという気がして来る。
 まあこういうやさぐれた態度だから、いつまで経っても私は良縁に恵まれないのだというのもまた事実であろう。教授から連絡があった数日前、県の教採の結果も舞い込んで、今年もめでたく落選と相成った。なにしろ千年に一度という天災地変も起こる年だから、何があってもおかしくないと公言していたが、こと私の教採に関しては、県教委は例年と変わらない判断を下したようである。いよいよ私の人生において、専任の教員という目は出ないらしい。生涯一講師という覚悟を新たにした方がいいかも知れない。

寒くなってきた

2011-11-14 20:03:27 | 日記
 ようやく閑暇を得てこうして身辺を振り返ることができる。この頃はとにかく忙しくて、先週あたりは(実は今も)精神的にも少しあぶなかった。教員の不祥事という報道を見聞きするたびに、馬鹿な奴がいるものだと世間の人は思うだろうし私もそう感じていたものであるが、ストレスに追い込まれると人間どうなるか分からんということはうっすらと実感できるような気がする。
 考えてみると週十八コマというのは講師を始めて以来、記憶する限り最多のコマ数で、加えて今は生活全般を自分の手で処理しなくてはならないから、仕事と家事だけで一日の持ち時間が埋め尽くされる感じである。食生活を改善したおかげで健康状態はわるくないが、野菜を刻んで味噌汁を毎日煮るだけでも面倒である。仕事の方はパソコンを打つにしても何にしても、慣れているだけに相当手際がよいのだが、炊事は始めたばかりだから、何かと手がのろいのはやむを得ない。
 それで今一番つらいのは、手の指先のあちこちで、あかぎれが猖獗を極めていることである。こうしてキーボードを打つのも痛い。これは授業でチョークを使うたびに手を洗うせいもある。だから冬になると例年それなりに痛んでいたが、今年は炊事も加わり、さらにこの間まで続いた出血のため、まだ皮膚まで栄養が行き渡っていないのではないかと推察する。
 クリームを塗ったり、カットバンを貼ったりして保護に努めているが、しかし痛いものは痛い。物に触ったり操作する時に無意識にかばうから、動きが制限されて物が手に着かない。特に、店で買い物をして、財布からお金を出す時にいらいらする。中でもカフェやコンビニの店員などは、如何に早く客をさばくかに命を賭けているような連中で、私のような一時的障害者としては、お金を出しお釣を受け取り、商品を運び去るという一連の動作に、果し合いのような緊張を強いられる。最近ではこれにポイントカードのやり取りまで加わったりするから、そんなに急かすなちょっと待てと言いたくなる。指先の痛みと苛々する気分で気配が自然と険しくなるらしく、カフェの店員にも何となくその空気が伝わっているような気がする。
 それで先日ふと気がついたのだが、これはまさに老人の置かれた身体的状況ではないか。年寄りというのはとかく動作が鈍い、それとつねに何となく苛々して不機嫌であるというのは、決して別々の事ではなかったのである。
 そこからいろいろな考え方があるだろうが、自分自身としては、これから年老いていくに当たり、そういうことを自覚して、意識して不機嫌を抑えるようにしないといかんと思う。まあ要するに不祥事にならない程度にストレス解消に努めないといけない。
 実は最初書き出した時は、仕事の他にも最近面倒な話が持ち上がって先週は忙しかったという話をしようかと思ったのだけれど、全く行き着かないままに終わってしまった。また後日である。