作家,山本おさむさんの「どんぐりの家」は,
障害のある子どもを主人公とした作品であります。
この作品の中に,次のような内容が描かれています。
『 障害のあるその子は,小さいとき,ほとんど寝たきりだった。
母親は,その子にご飯を食べさせ,おしめを取り替えるのが日課であった。
そんな我が子を見ていると,
「この子は,これで生きていると言えるのだろうか」とつい思ってしまう。
ところが,ある日,いつものように,寝たきりの我が子のおしめを
取り替えようとしていたとき,
寝たきりのままの我が子の,微かではあるが,
その子ならではの全力を振り絞って,腰を少しでも浮かそうとしている努力が,
母の手に伝わってきた。
その瞬間,この母は,重大なことに気付かされた。
この子は,ただ無為に生きているのではない。
この子は,自分なりの精一杯の努力を,たとえそれが,
どんなに些細と思われる小さなことでも,
精一杯生命を燃やしていたのだ。そう感じ取ったとき,
その母は,育てる意味,生きる意味,働く意味を捉えなおした。』
私たちの人間観の中に,「人間として何ができる」とか,
直接的に「人間として何か他の人の役に立つ」など,
人間として生きている価値を,そこに置いた捉え方をしがちな一面があります。
「できる,できない」という物差しだけで人を見るとき,一見,
できないことの方が多いかもしれない障害のある人を,
一人の人間としての私は,どう見ているか。
また,親として,大人としてどう向き合っているか。
この作品は,そんな自問を,つまり,この世に生まれて生きる意味等を
深く考えさせられる作品でもあります。
パソコンの方は全画面で見て下さい
A Su
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