車輪を再発見する人のブログ

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丸山真男

2009年03月13日 | 文化論

池田信夫blogに丸山真男氏に関する記事が出ている。丸山真男氏の思想の中心にあったのは、西欧の確立された自己・近代的主体と日本の従属的で全体に流される日本人という、西欧の自立に対して自立できない日本人を否定し、それが日本が抱える多くの問題の根本であるとする考えだ。このような思想は、丸山氏だけでなく多くの進歩的知識人が共有するものであるし、そもそもはヨーロッパの思想家のヨーロッパ中心主義から来たものだ。

しかし、客観的な事実を見ればこのような主張はほんとに根拠の怪しいものである。ヨーロッパ人は自立している。個が確立していると言われる。では、集団に流されたり支配されたりしないかといったらそうではない。自立した個人が一つの思想に支配され他の者達を支配するということが起こり続けている。フランス革命などはその典型で一部の人間達が勝手な理想を掲げ、それに多くの市民が迎合し、それに従わない民衆や貴族達を虐殺した。ヨーロッパ人が自立していると言うのは、王には従わず、一部の人間達が勝手な考えで談合し、他の人間達を暴力で従わせる。所詮、その程度のものなのである。世界的に見ても、ヨーロッパ人は強いものに迎合し、主体的に自分の考えで行動することが出来ず、強いものによる支配に反対し自立していたのは日本人や現地人であった。

このように、客観的な事実に基づけば自立したヨーロッパ人という概念はそもそも胡散臭いものであるし、それがヨーロッパ社会の発展をもたらし他の社会との違いをもたらしたという主張も怪しいものである。そもそも、そのようなことが起こるのなら最初にそのような思想が現れたギリシャ・ローマがそのまま発展せず、世界史的に見ても特異な文化と知識の暗黒時代を6世紀から13世紀にかけて作りだしたことが不可解そのものだ。結局は、進歩的知識人の思想は結論ありきのこじ付けとも言うべきもので、ヨーロッパ中心主義者と同じで事実に基づいて理論を組み立てるではなく、そうあってほしいという願望で理論を組み立てているに過ぎないのである。

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2 コメント

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正統と異端を論じた二つの書 (健吾)
2009-03-29 21:23:04
最近、和久利康一氏の「丸山真男の日本論」(カテラ出版会)と田中久文氏の「丸山真男を読みなおす」(講談社)の二つの著書が出版された。どちらも、丸山真男の「正統と異端」を真面目に論じた書で実に面白い内容である。両著を読み比べてみると、解釈の違いもあったりして、興味深い。いずれにしても、「正統と異端」に着眼した良書だろう。
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いらっしゃいませ (管理人(車輪工場))
2009-04-03 17:49:07
いらっしゃいませ。コメントありがとうです。これからもどうぞ贔屓にしてください。
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