日経新聞のニュース
普段個人的見解はあまり述べないようにしているがどうにも我慢が出来ず、今日だけは言わずにいられない。
外国人の増加に対してどのような見解を持っているのかが良くわかる話題。
詳しい内容は新聞紙面(日経新聞2006年5月8日朝刊第二面)に載っているのでそちらを見た方がよい。
相も変らず、代わり映えのしない議論が続く。
行政コストの負担増、治安の悪化、単純労働市場の低賃金化、拒否する側の議論はいつもこれだ。
積極的な人たちの議論もまた代わり映えがしない。
少子化対策、技術者の増加、国際化の推進。
しかし、日本に住みたいと思う外国人にはそんなこと関係ないし、受け入れる側もまた関係ない。
良好な隣人としての関係を保てるかどうか。ただそれだけだ。
このブログを始めた頃、こういった単純化された議論に対する疑問を提示したことがあるが、未だに現場からの声というのは出てこないように思う。
議論の場に呼ばれるのは「学識経験者」だが、そういう人たちは本当に現場で何が問題とされ、どういったことが求められているのかを知っているのかも怪しい。
記事の最後には中野厚生労働副大臣の言葉として「高度な技術者は増やすべきだが、単純労働者の扱いは白紙」という。
入管法が何を予定して「技術者」と「単純労働者」を区別しているのかを知っての発言なのだろうか。
そもそも「単純労働」という労働が存在するかどうかも怪しい。
ビザが認められない高度技能工はどう見ても優れた技術者であり、日本の産業を支えつづけた人たちであるが、入管法によれば「単純労働」なのだ。
最近では産業スパイもたびたび社会問題になるというのに、技術者や知識労働者が果たして日本にとって有意義なものなのかどうかも怪しいと思わないようでは、政治家としての見識を疑ってしまう。内外で起きている知的財産権の侵害もまた、極めて高い技術力などを持った人たちがその中心にいることは間違いないといえる。
冨の流出が、こういった知的労働者から膨大な量で発生していることを知らないのだろうか。
合法か非合法かも大事だが、国益という政治家にとって重要な論点を芯から考え直すべき時期に来ているように思える。地下銀行から数十億円が送金されたと話題になる一方で、同じような金額で買われた旧長銀は外資ファンドに買い叩かれて新生銀行となったのちに、莫大な価値を生み出した。その利益の多くは海外へと流出していき、今も留まるところを知らない。富の流出の額は比較にならないことを政治家は良く思い知るべきだと思う。
まず国としてのあるべき理想像が何か、それに対する政策としてどういった方向性を持たせるべきなのかといった議論をすべきところを、相変わらず昔の受け売りでしかない。
参考までに、私は外国人にどんどん日本に来てもらった方がよいと思っています。仕事が増えるからと言うことが理由ではないです。日本という国が世界中の国から愛されるには世界中の人たちが集うことのできる国になる必要があると考えているからです。
そしてそこに集まることのできる人の基準は、「日本で善良な市民として生きて行くことが出来る人」。極めて単純で分かりやすい。
しかし、日本社会にとって最も受け入れてもらいやすい基準であるとも思います。