くろねこなてんし

コードギアス~反逆のルルーシュ~のスザルル小説を載せたブログ。

僕だけのお姫様-3

2006-11-20 01:20:08 | スザク×女の子ルル小説
 スザクはあの後なかなか眠れず(好きな子が隣にいたら眠れないものだが)ようやく明け方頃にうとうとして眠りにつけたものの、息苦しさからまたふっと目が覚めた。
 柔らかいものが顔全体を覆い、息が上手に出来ない。
 ふがふがと息をしてつつ、目を開くと、顔をその柔らかいものへとさらに押し付けられる。
 その状況にスザクは瞳を見開いた。
 「スザク…ん…」
 「へっふぁ」
 スザクは顔を覆われているので、くぐもった声しか上げられなかったが、声が出せたらそれはとても大きなものになっていただろう。
 スザクの顔が押し付けられていた柔らかいものは、大好きな女の子の胸だった。
 スザクの顔をぐいっと引き寄せていたのは、大好きな彼女の細い腕。
 スザクは、体の体温が一気に上がって、顔と耳、首だけに留まらず、手までも赤くなってしまった。
 この状況はまずい。
 男としてこれはすごく幸せなのだけれど、大好きなルルーシュの胸に顔を押し当てられて、自分の体がこのまま無事にすむはずがない。
 それに朝の現象も色々とあるのだ。
 あくまでも予想だけれど、こういうことにまったく知らなさそうなルルーシュには絶対に言えない。
 可愛い彼女に下世話な世界を知られたくない。
 とにかく、起こさないようにルルーシュの腕を解こうとするが、眠っている彼女はごねるように寝言でやだやだと言葉を紡ぎ、首を横に振る。
 呼吸が止まりそうなくらいに苦しそうに、嫌だ、嫌だ、と何度も何度も言葉が続けられる。
 そして、ぐっとさらにスザクの顔を自分の胸と押し付ける。
 「…や、だ…嫌、だ…」
 続け様に、スザクいくな、と零された言葉が、泣き出しそうな声になっていたことで、スザクは完敗だった。
 寝言の内容から、もしかしたら幼い頃に別れてしまった時の夢を見ているのかもしれない。
 一人寂しく夢の中で、たたずんでいるのかもしれない。
 こうしていることで、ルルーシュの心の安定が少しでもはかれるのなら、自分はそれを受け入れるしかない。
 自分の体の異変と必死に格闘しながらも、スザクはそれをぐっと理性で堪えて抑えつけ、ぐずるルルーシュの細い体に腕を回した。
 「ルル、大丈夫だよ。大丈夫」
 背中を撫で髪を梳いてあげると、安心したように苦しそうな呟きは、静かな寝息へと変わる。
 「僕はここにいるよ」
 何よりも誰よりも大切に思う眠り姫の髪を梳いて、スザクはぎゅっと抱き締めた。



 「え、今日は夕飯一緒に食べれないのか?」
 「うん、ごめん」
 放課後になり、寮に戻ってきたスザクとルルーシュだったが、スザクはでかけるようだ。
 今日は出かけて遅くなるから、夕飯を先に食べていて良いと言う、スザクの一言に、ルルーシュは不服そうに、むぅっと唇を尖らせた。
 「何でだよ」
 「それなんだけど…僕は学生だけど、ブリタニアの軍に入っているから、軍部に今日は顔を出さないといけないんだ」
 「な、何だって!」
 軍、と言う一言に、ルルーシュは大きく瞳を見開いた。
 日本とブリタニアは友好国のため、日本の防衛のためにブリタニア軍の一部が滞在している。
 日本にいるブリタニア軍は、ブリタニア人だけで構成されているわけでもなく、日本人も入隊を希望し、許可が下りれば入る事も出来る。
 そして、ブリタニア本国の軍に移動を願えば、移動する事も可能である。
 「大丈夫だよ、そんなに危な」
 「危ないに決まってるだろ!軍だぞ!」
 聞き捨てならない単語を聞いて、ルルーシュはスザクの胸倉を掴みかかった。
 「な、何だよ、それ!どうして、そんな危ないことに参加してるんだよ!」
 ルルーシュは、今にも泣いてしまいそうな声を上げて、ぐらぐらとスザクを揺らす。
 気を抜いたら本当に泣いてしまいそうな表情だ。
 「ごめん、でも、大事なことなんだ」
 「大事なことって何だよ!」
 「ブリタニアの軍に入れば、それはルルを守ることにも繋がると思ったんだ。僕は、ルルを守りたくて入ったんだよ」
 優しくルルーシュを宥めるように、そっと腕の中に引き寄せて頭から首に流れるように頭を優しく撫でるが、ルルーシュの曇った表情は晴れる事はない。
 「それに僕がいるのは技術班だから、そんなに危なくないんだ。ルルが心配するようなことはないよ」
 技術班、と言う単語に、少しだけルルーシュの表情が緩和されるが、やはり彼女の心の中は複雑だ。
 危なくない場所にいたとしても、軍は軍。
 自分を守ってくれようとして入ってくれたのはとても複雑だ。
 守ろうと思ってくれる気持ちは嬉しいけれど、自分のために危険な道へ入らないでほしい。
 自分がしっかりとスザクを見ていないと、とルルーシュは気持ちを固める。
 「じゃあ、だったら、俺も軍に行く!」
 「な、何、言ってるんだよ!」
 「別に軍に入るわけじゃないんだから良いだろ。スザクが本当に危ない事してないかを見に行くんだ」
 「良いだろって…ルルは皇女だって言っても、今は秘密でこっちに来てるんだから、部外者で入れてもらえないよ」
 「それは、大丈夫だ」
 ルルーシュは、自分のポケットから携帯を取り出すと、どこかへと電話を入れた。
 「あ、クロヴィス兄上か?今、確かにこっちにいただろ?うんうん、ああ、今からそっちに行きたいんだけど、平気か?ああ、じゃあ、行くから。あ、スザクとも会えたよ。うんうん、じゃあ、また後で。さて、電話が終わった」
 携帯を切ると、ルルーシュはスザクに向き直って、さあ行こう、と彼の手を引く。
 「ルルーシュ…あの、今の電話の相手って…」
 「ああ、クロヴィス兄上だよ。ちょっと前から日本で軍の上層部で上官としているって聞いてたから、電話したんだ。今からそっちに行きたいって行ったら、適当に理由を作るから来ても平気だって言ってくれたよ。むしろ、今からすぐに来るようにだってさ。だから大丈夫だ」
 ルルーシュの兄弟たちは、ルルーシュを溺愛していた。
 だから、ルルーシュがそちらに行きたいと言えば、確かに即答でOKだろう。
 「あ、クロヴィス兄上が、スザクに会いたいって言ってた」
 「僕に?どうして、ルルのお兄さんが?」
 「ああ、俺が良く話題にスザクのことを出してたからさ。俺が日本に留学に来るのもクロヴィス兄上には、スザクに会いたいからって言ってたからな。だから、スザクに興味を持ったのかもしれない」
 「そうなんだ」
 ルルーシュがそんなに自分のことを話してくれていたのは、とても嬉しい。
 名前まで覚えてもらえているのは、ちょっと恥ずかしいけれど。
 けれど、流石にルルーシュとの嬉しい再会の後の次の日に、すぐさまご家族の人とのご対面があるとは予想だにしていなかった。
 でも、これも良い機会なのかもしれない。
 ずっとずっと想っていた女の子と再会出来て、その子もずっと自分と同じように想ってくれていて。
 そして、日本だと、もうルルーシュは結婚出来る年齢でもある。
 遠い幼い日にも、とっくに自分たちは結婚の約束もしていた。
 だったら、自分たちの付き合いは、すでに小さな頃から結婚前提だ。
 スザクは、ルルーシュと結婚を前提にお付き合いしていることを伝える良い機会だと、思う。
 「ルル、僕もお兄さんに会えるのすごく楽しみだよ。僕たちが結婚を前提にお付き合いしてるってことも伝える良い機会だし」
 「結婚前提」
 結婚を前提に、と言う言葉に、ルルーシュの顔からぽんと湯気がたつ。
 顔中がりんごのように真っ赤だ。
 「えっと…もしかして…僕の勝手な勘違いだった?僕たちは小さな頃に結婚の約束してたし…今も、ルルも僕もお互いに好きだって思ってるから、僕たちの付き合いって結婚前提だと思ってたんだけど…」
 「い、いや!勘違いなんてことない!嬉しい!」
 確かに結婚なんてことは、心臓が飛び跳ねてしまうくらいに驚いたが、嫌なことはない。
 ずっと大好きだった人にそう言われて、嫌だなんてことは絶対にあるはずがない。
 「ちょっと、ビックリしただけなんだ」
 まさかスザクが十代のうちに、結婚前提で考えているなんて驚きだが、そこも真面目な彼らしい。
 真面目で、いつだって真剣で、真っ直ぐで。
 そこが大好きで、愛しくて、ずっと変わらないでいてほしいところ。
 「じゃあ、早速兄上に会いに行こう!俺たちがそのうち結婚するってことも報告しないとな!」
 ルルーシュは、嬉々としてスザクの手をぐいっと引いて、早く行こうと急かす。
 軍に行く初めの理由がどこかへ行ってしまった気もしないではないスザクだったけれど、ルルーシュが喜んでいるなら良いかな、と笑顔で心の中で頷いた。



スザクだったら、ナチュラルに結婚前提でお付き合いしてるとか思いそうだと思い、こうなりました。(笑)
ルルーシュは皇女だけど、ルルママがルルパパに嫁いだこともあるし、それかルルが降嫁すれば大丈夫かな~と思い、お気楽になってしまいました…。
でも、やっぱり皇女様との結婚はもうちょっと悩ませるのが普通だったでしょうか;
まあ、ルルを幸せに書こうー!このブログのモットーなので!

4 コメント

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くぁ~vv (雫石)
2006-11-20 15:02:37
結婚前提ですか!この2人!!うわ~ラブラブ~!!この2人に「初恋は実らない」なんて無粋な言葉は似合いませんね。このままラブラブ一直線に結婚まで行って欲しいです。しかしその前にルルーシュのシスコンの兄上方の許可を取るのに一苦労でしょうね・・・頑張れスザク!
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コメント有難うございます^^ (霜月菜々実)
2006-11-20 18:35:12
わーコメント有難うございます!
あのあの、初めましての方ですよね?
はい、スザルルに初恋が実らないなんてことはないと思うので、似合わない言葉だと思いますv
頑張って、このままラブラブで結婚まで行くように書きます!
スザクもシスコン兄に苦労するかと思われますが、そこは愛の試練で乗り切ると思います!
それか、ルルが怒ったら、きっと兄は受け入れるしかないと思います(笑)
それくらい、シスコンなので(笑)
とにかく、頑張れ、スザク!
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こんにちは! (月影)
2007-02-28 22:55:01
はじめまして。月影です。
THE☆苦労人なスザクがすごくいとおしいです!!
こちらの無自覚ルルにときめきました・・・。
続き楽しみにしてます。
では、失礼します。
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コメント返しが遅くなってしまってすみません>< (霜月菜々実)
2007-03-19 17:19:55
コメントいただいたのに、気づくの遅くなってすみません><
このお話のスザクさんは本当に苦労人になっております…(笑)
それだけルルたんがすごい可愛いって感じなのですがv
そして、うちのルルたんは天然さんのようなので、無自覚さんですv
楽しんでいただけて本当に有難うございますv
続きも頑張りたいと思います!
またのお越しをお待ちしておりますv
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