ブレーキ、アクセル、バンキング～初中級から中上級へ(1)

　初中級から中上級のクラスへレベルアップしていく中で、それまで考えて目指していたこととは違うことをアドバイスされたり、新たな目標を自ら設定するようになることがあります。つまり、操縦技能が全体に向上し、バランスやフォームや操縦動作がスムーズにないしは速やかなものに改善されることによって、それまで問題だったことに代わって別のことが課題になり、その結果、目指すべきものが変わってくるのです。

　まず、ブレーキングについて言えば、初中級でオフセットパイロンへのアプローチでブレーキングするときに、あまり強くブレーキをかけると倒し込みの手前でスピードが落ち過ぎ、そのために図の②の位置で特にフロントブレーキを手放してしまうことがよくあります。
　そうすると、フロントサスペンションが跳ね返ってくるので③に向ってバイクを傾けてもハンドルが切れにくくなって、大回りになってしまいます。
　そういう動きをしている人を見れば、多分イントラさんは「止まるためのブレーキと違うので、もっと軽い滑らかなブレーキングでスピードを調整しましょう」といったニュアンスのアドバイスをするかと思います。そうやってジワッと長い時間減速してフロントサスの跳ね返りを防ぎながら②から③でバンクし、セルフステアを誘うわけです。

　しかし、上級の人の走りを見ると、特にＵターンへのアプローチなどでは、殆ど急ブレーキというべき強いブレーキをかけているように見えるはずです。
　それは、強いブレーキによって、より強くフロントサスペンションを潰すようにして（キャスターを立てて）もっとシャープなコーナリングを狙っているからです。上級でＮ口イントラさんが後についたりすると、「もっとブレーキ使いましょう（ニヤリ）」とダメ出しされたりするわけです。
　こういう走り方の前提としては、精確なブレーキとタイミングのよいブレーキリリース、そして素早い倒し込みができるようになっていないといけません。ですから初中級の人は、ブレーキを強くすることよりは、セルフステアやスムーズな倒し込みができるようになることを優先するべきでしょう。


　次に、アクセル操作です。次のパイロンに対して「ブレーキを使えるようにするためには」、しっかりとアクセルを開けてスピードを上げることと、その前提としてなるべく早いタイミングでアクセルを開け始めることが大切です。
　私自身の初級から中級にかけてのメモを見ると「ブレーキをかけられるだけ、アクセルを開けろ！！」と書いてあります。だからこの時期にはともかく必死にアクセルを開けていたと思います。結果として、早く開け過ぎてリアタイヤがズリッと滑ったりすることもありましたが、動きが遅れているのでともかく大きく開けるということで構わないのです。アクセルを素早く開けようと本人としては思っているのですが、回り切るまで忙しいので、実際にアクセルを開けるのはコーナーを回りきってからになります。そうするとともかく急いで開けるのが正解だったのです。

　しかし、旋回がスムーズに出来る様になるとその終わりでいきなり大きくアクセルを開けると後輪が危なくなるので、特に開け始めを小さくということを考えなければならなくなります。そこで、この段階での課題はアクセルを小さく徐々に開けましょうということになります。

　で、その次は、再び「もっと開けられますよ」というアドバイスが入ってきます。だからといって、いきなりガバッと開けるわけではありません。開け始めを微妙に操作するということが出来ているという前提で、その後、もっと一気にあけられるようになるよという意味なのです。

　アクセルに関しても、「もっと開けましょう」「もっとゆっくりと」「もっと大きく」「もっとジンワリと」「もっと早く」「もっと速く」といった多様なアドバイスがあり得ます。このステージの変化を理解しながら、課題に挑戦していくということになります。

　さらに上達してくると、後輪のトラクションとグリップの状態を感じ取れるようになりますから、それに反応しながら、「もっと開ける」とか「もっと早く開ける」ということを判断することができるようになります。（なると思います）

　長くなりましたので、稿を分けます。次はバンキングについてです。


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