4月23日、東京地裁が、日本美術院敗訴の判決を出した。もとはといえば、23年春の院展に出された梅原の作品(左)に、国司が、2002年春に院展に出した自分の作品(右)のパクリだ、と騒ぎ出して、23年4月28日に、日本美術院下田義寬理事が、梅原を追放処分にしたこと。梅原は、その処分無効を訴えていた。
背景がドロドロしていて、そもそも02年の国司の作品を選出したのが藝大の先輩の梅原。いまは、国司が藝大の日本画「修復」の教授。そして、梅原の処分をしたのが、下田義寬理事で、こいつが1987年に、写真のモロパクリで藝大を追われている。ようするに、狭い世界の内輪揉め。
で、裁判にしても、周辺にしても、似てる、似てない、で、ああだこうだ、と。結局、どいつもこいつも、目に見える部分でしか、芸術をわかっていない。そんなこと言ったら、ヨーロッパのキリスト像、日本の仏像なんて、みんな似たり寄ったりの「パクリ」だぞ。
はっきり言って、あまりに凡庸で、どっちも才能が無い。それを審査した理事なんか、仲間内でなんぼのものか知らないが、芸術家を名乗る資格からして無い。下田の作品が最低なのは、絵が似ているから、ではなく、親鷹と雛鳥というテーマそのものがパクリだから。技術はあっても、内面に描きたいものが無い、つまり芸術家ではないからだろう。
梅田にしても、国司の作品を選出したことを覚えていない、きちんと創作ノートもある、と言うが、他人でも思いつくようなアイディアなら、わざわざ展覧会に出すほどの作品ではない。つまり、パクリではないにしても、こんなレベルの低いもん、出すなよ、という話。(オーガンディスカートは、2022年あたりからの新流行で、たしかに国司のバレエチュチュのパクリではありえない。)
国司も、どうなんだろう。この手のオーガンディチュチュの女の子は、バレエが当時のはやりだったから、印象派のドガやルノアールが大量に描いている。近年では、米国のマリア・バートランがモティーフにしている。それこそ梅原の作品と同じ手の組み方のバートランの作品が2017年にある。ようするに、これももともと凡庸で、パクられた、などと騒ぐのは、電波系さえ疑われる。
日本美術院だかなんだか、勲章に近いから、こんな内部の権力争いが起こるのだろうが、インチキ理事の判断だの、ドシロウト法律家の裁判だの、アーティストのやる争いごとかね。作品で勝負するのが、アーティスト。シャネルスーツの紛いものが世に出回ったとき、イヤミな新聞記者がココ・シャネルに、訴えないのか、と問いただした。すると、ココは、答えてこう言った、マネできるものなら、マネすればいい、明日、私はもっと先にいる、ニセモノが多いほど、私はホンモノになれる、と。
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