
衰退する地方の村を納屋キャバレーで農業テーマパークにした実話(2015)が映画になっている。Les Folies Fermières (2022)。その最後で女装歌手がステージを盛り上げるのが、この曲。
1979年にダリダが歌ってフランスで大ヒットした。いまでも映画やテレビドラマでも、ちょこっと出てくることがしばしば。それくらいの国民歌謡だ。ところが、これがかなりいろいろ。歌詞の解釈が同じ曲とは思えないくらいばらばらで、そのせいで曲調もノリノリのラテン調ディスコから、いかにもシャンソンっぽい鬱で嘆きの短調バラードまで。
もともとは、イタリアの Toto Cutugno というシンガーソングライターの1978年の Voglio l'Anima(ソウルをもっと)。つまり、当時の世界的ディスコブームに乗っかったノリノリの曲で、これをフランスの人気歌手ダリダがカバー。しかし、このダリダ(1933-87)も曲者で、イタリア人のエジプト生まれで、フランスで歌手として成功。日本語を含め、さまざまな言語でレコードを出し、色恋沙汰も派手で、躁鬱病に苦しみ、そのための向精神薬のオーバードースで死んでしまった。
そのせい、というわけではないが、この曲が彼女の躁鬱をそのまま引き継いでいる。たいした歌詞ではないが、もともと英仏混淆でダブルミーニングっぽい。
Monday, Tuesday
Day after day life slips away
Monday, it's just another morning
Tuesday, I only feel like living
Dancing along with every song
Moi, je vis d'amour et de danse
Je vis comme si j'étais en vacances
Je vis comme si j'étais éternelle
Comme si les nouvelles étaient sans problèmes
Moi, je vis d'amour et de rire
Je vis comme si y avait rien à dire
J'ai tout le temps d'écrire mes mémoires
D'écrire mon histoire à l'encre bleue
Laissez-moi danser laissez-moi
Laissez-moi danser chanter en liberté tout l'été
Laissez-moi danser laissez-moi
Aller jusqu'au bout du rêve
月曜日、火曜日
毎日なんか、あっという間
月曜日、それはただの朝
火曜日、私はただ生きたい
どんな曲でも踊りたい
私は愛とダンスで生きている
人生ずっとヴァケーション
それが私の永遠のように
どんな出来事もなんでもないように
私は愛と笑いで生きている
言いたいことなんかないかのように
思い出なんかあとでも書ける
青いインクでいつでも書ける
踊らせて、ほっといて
夏の間くらい、自由にさせて
踊らせて、ほっといて
夢の果てまで追いかけたいの
とまあ、なんとも刹那主義の躁病的な歌詞とも読める。ところが、同じ歌詞も解釈しだいで、その真逆にも読める。
月曜日、火曜日
毎日が滑り落ちていく
月曜日、なにもない朝
火曜日、ただ生きているだけ
曲に合わせて踊っているだけ
私には愛とダンスしかない
人生ずっとからっぽのまま
それが永遠に続くかのよう
どんな事件もなにもならない
私に愛と作り笑いしかない
言いたいことも言えないで
思い出を書く時間だけがある
青いインクでそれを書くだけ
踊らせて、お願いだから
夏に自由に歌いたいだけ
踊らせて、お願いだから
夢の果てに突き進むだけ
こうなると、まさに鬱で、アイドル歌手の仕事と人気に束縛された悲哀の毎日。青いインク、というのが、どうもこの躁鬱転換の鍵になりそう。


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