従弟が送ってくれた栗蒸し羊羹をツマミにハイボール

「月よみの 光を持ちて 帰りませ 山路は 栗の いがの多きに」
良寛坊御歌より

小松空港の近くに住んでる従弟が暑中見舞いに送ってくれた。
この栗蒸し羊羹は、ほんとに、どこを切っても栗が出てくる。
厚い竹皮に包んでから蒸してあるのでほんのりと竹の移り香。

小松は同人の会合で年に数回行くけどこれは知らなかった。
次回にいったら買い込んでこよ。

「人生、山あり、谷あり、奈落あり」が従弟の口癖で
「どこかで聞いたようなセリフだな、おい」と笑うと、
藁の舟で冬の日本海に漕ぎ出す気概みたいなものと彼も笑う。

お堅い家系のはみ出しっ子だったぼくが、
親戚の顰蹙を買うたびに彼は大笑しながら慰めてくれた。
畑の堆肥で転んだときは用水路の水を掛けてくれた。
鷹揚でおおきなヒマワリみたいなヤツなんよ。

その彼が初めて菓子を送ってくれたので心配になった。
心境の変化か耄碌(もうろく)したのか寂しいか？
まさか送り先を間違えたんじゃあるまいか....なんてね。

電話したらいつもの彼だった。
台風一過の石川は記録的な暑さ、南関東で暮らすおまえは
もっと暑いだろうと自分の好物のお裾分けだとさ。
やれやれ、よかった。

いつまで気軽に旅ができるんだろ、
思い立ったが吉日で仕事にことかけ青森、岩手、宮城、
石川、栃木、福島、神戸、広島とぶらっと旅に出る。

健康がいちばん！
今の生活を維持したければ禁煙・禁酒に適度なスポーツ、
ストレスフリーの穏やかな暮らし。

どこかにも書いたけど
ここがスーダラ節のこころ
わかっちゃいるけどやめられない。

ここまで好き勝手にやってきて人生の黄昏を目前にして
生活態度を変えるなんて、エサを目の前にしてお手を
するワンコみたいじゃないか...。

ヘリクツ言いながら今日もがんばる。
冷凍庫にグラスを入れた、ロックアイスもある。
ひとアセかいたら角のハイボールをぐいぐいっと、
栗蒸し羊羹をサカナにね。