ノブコ・ロードと工事人夫婦
私の家内の名前は「のぶ子」である。その家内が交通事故により不慮の災害を受け、大腿骨骨折となり臀部と右足の部分に、金属の人工骨を移植した。
そこで、大通りへ出るまでの約百メーターばかりの私道を、福祉用具のシルバーカーを押して歩く必要に迫られ、大金を投じてシルバーカー用に一部舗装工事を行った。私はこの市道を家内の名前を取り入れ「ノブコ・ロード」と名づけた。
舗装工事は昨日完了したが、大通りと私道の接点にある水道のメーターのセメントが完全に乾くまで車の通行は控えねばならぬ事となった。今日、工事の監督者が来て承認されるまで、自動車の乗り入れは禁止である。
この舗装工事には、セメントを積んだミキサー車が三回もやって来て、コンクリートを流し込むで行ったが、その時は四名ばかりの工事人がかかわったが、それ以外の日は老夫婦の二人が毎日やって来て工事を丁寧に進めてくれた。
この工事人夫婦の女性の方とはよく話しをしたが、男の方は一見無愛想で口下手だったので殆ど仕事以外の話はしなかった。ところが、最終日になって、家内はこの二人の労力を感謝する意味で、梨と麦茶を差し入れ休憩して貰った時に、話が弾み夫婦間の平素の様相にまで踏み込んだ。
仕事をしている間は男は完全に主導権を握り、いろいろと命令していたが、この休憩時間に二人の夫婦としての様子を初めて聞かされた。話によると家では女の方が主導権を握っているようで、男はカラオケなどに仲間と行くらしいが、女の方は行ったことがないという。
男は言う「この頃、声が出なくなってドレミファソラシドしか出ないのです。少し前までは、その上のドレミ辺りまで出たのですが」と無念そうに私と家内に話すのである。女の方は「年をとれば声もしゃがれてくるのは当たり前です。そう話しているのに、この人は聞き分けがないのです」と、子供に母親が言い聞かせるような口調で言った。
私は面白かったので「それは美声で女の人に魅力を振りまきたいのでしょう、つまり女の関心を得たいのだろう」と冷やかした。男はまったく否定せず。「そうです。それが高いオクターブが出ないので・・・」と無念そうに答えた。
日焼けして顔も腕も真っ黒になった老工事人が「オクターブ」という言葉を口にしたので危なく私は吹き出すところであった。そんな踏み込んだ世間話を最後に二人は私達夫婦に丁寧に礼を述べて帰って行った。まるで子供扱いにされていた男の真っ黒な顔が、なんとも可愛いく見えた。
私たち夫婦も他人が見たらどのように感じるのだろう。ブログなどで色っぽい記事などを書いている自分を省みて、実情を知ったら他人は何と言うだろうと気になった。
私の家内の名前は「のぶ子」である。その家内が交通事故により不慮の災害を受け、大腿骨骨折となり臀部と右足の部分に、金属の人工骨を移植した。
そこで、大通りへ出るまでの約百メーターばかりの私道を、福祉用具のシルバーカーを押して歩く必要に迫られ、大金を投じてシルバーカー用に一部舗装工事を行った。私はこの市道を家内の名前を取り入れ「ノブコ・ロード」と名づけた。
舗装工事は昨日完了したが、大通りと私道の接点にある水道のメーターのセメントが完全に乾くまで車の通行は控えねばならぬ事となった。今日、工事の監督者が来て承認されるまで、自動車の乗り入れは禁止である。
この舗装工事には、セメントを積んだミキサー車が三回もやって来て、コンクリートを流し込むで行ったが、その時は四名ばかりの工事人がかかわったが、それ以外の日は老夫婦の二人が毎日やって来て工事を丁寧に進めてくれた。
この工事人夫婦の女性の方とはよく話しをしたが、男の方は一見無愛想で口下手だったので殆ど仕事以外の話はしなかった。ところが、最終日になって、家内はこの二人の労力を感謝する意味で、梨と麦茶を差し入れ休憩して貰った時に、話が弾み夫婦間の平素の様相にまで踏み込んだ。
仕事をしている間は男は完全に主導権を握り、いろいろと命令していたが、この休憩時間に二人の夫婦としての様子を初めて聞かされた。話によると家では女の方が主導権を握っているようで、男はカラオケなどに仲間と行くらしいが、女の方は行ったことがないという。
男は言う「この頃、声が出なくなってドレミファソラシドしか出ないのです。少し前までは、その上のドレミ辺りまで出たのですが」と無念そうに私と家内に話すのである。女の方は「年をとれば声もしゃがれてくるのは当たり前です。そう話しているのに、この人は聞き分けがないのです」と、子供に母親が言い聞かせるような口調で言った。
私は面白かったので「それは美声で女の人に魅力を振りまきたいのでしょう、つまり女の関心を得たいのだろう」と冷やかした。男はまったく否定せず。「そうです。それが高いオクターブが出ないので・・・」と無念そうに答えた。
日焼けして顔も腕も真っ黒になった老工事人が「オクターブ」という言葉を口にしたので危なく私は吹き出すところであった。そんな踏み込んだ世間話を最後に二人は私達夫婦に丁寧に礼を述べて帰って行った。まるで子供扱いにされていた男の真っ黒な顔が、なんとも可愛いく見えた。
私たち夫婦も他人が見たらどのように感じるのだろう。ブログなどで色っぽい記事などを書いている自分を省みて、実情を知ったら他人は何と言うだろうと気になった。
奥様のために色々と使い易いように心を砕いておられる亮さんは、本当にお優しいお方ですね。
大体高齢の男性は亭主関白が多いそうですが、奥様はお幸せですね。
「ノブコ・ロード」、私も歩いてみたいですわ。
しかし、この工事人夫婦は女の方が大人で、上手く主人を手玉にとっている感がありました。そんな夫婦に魅力を覚えたのです。
私は変な性分ですね。