レモングラス~まっちょんのお気楽日記~

乳がん患者歴9年目。結構ベテランの域に。現在骨、頭部、肝臓転移治療中。日々の思いを気ままに、ゆったりまったり綴ります。

明日地球が滅亡するとわかっていても・・・

2009-02-04 | 日々のこと
久々に映画を観た。妻夫木聡主演「感染列島」。
映画館は10人ほどで、ゆったり。
さすがに医療関係の映画だけに、私の斜め後ろは、看護師さんコンビ。
映画が始まるまで、職場の話をしているようだった。

有効なワクチンがない、正体不明のウィルスが流行する。
何千万人という感染者、爆発感染により都市機能もマヒする。
そんな中で、病院へ押し寄せる患者の治療に当たる医師や看護師。
感染源を何とか見つけようとするWHO職員や研究者・・・といった内容。

「まあ映画だからね、実際にはこんな展開ないだろう?」と突っ込み入れたくなる場面もあるが、
近い将来流行するであろう新型インフルエンザがもしパンデミックを起こした場合、さもありなん、と思えることも多々あった。

まだ感染源が特定されていないのに、メディアの報道先行によって感染源を疑われ、養鶏業者が自殺してしまう場面、
(結局、映画のウィルスは国内の鳥インフルエンザから変異したものではなく、海外から運ばれたエボラ出血熱に似た未知のウィルスだった)
さらに、パニックによる暴動や都市機能のマヒ、
病院に押し寄せる患者のトリアージや医療機器、医療スタッフの圧倒的不足など、現実的にあり得ることもたくさん盛り込まれていた。

すべて映画中の絵空事ではない。
実際に起きるかもしれないことだ。
自分の身を守れるよう最低限の準備だけはしておかなければ、と思った。

映画のラストで、治療にあたっていた壇れい演じる医師が、自らも感染して命を落としてしまう。
その彼女が言っていた言葉、それが、
「明日地球が滅亡するとわかっていても、今日、リンゴの木を植える。」だった。

ハッとした。
少し表現は違うが、この言葉をある本で読んだことがあったから。



「乳がん患者に送る 愛と勇気の玉手箱」 ワット隆子 著(同友館)より


がんは・・・

人を死と直面させる。
命の尊さを教えてくれる。
人の生き方を考え直すチャンスをくれる。

人を謙虚にする。
野に咲く雑草の命までいとおしく感じさせてくれる。
森羅万象に感謝の気持ちを抱かせてくれる。

家族のぬくもりのありがたさを再確認させてくれる。
真贋見極める目を鍛えなおしてくれる。
この世に物より大切なものがあることを教えてくれる。

疎遠にしていた友を懐かしく思い出させてくれる。
「まさかの友は真の友」の意味を再確認させてくれる。
人の痛みをわが痛みのごとく感じる感性を与えてくれる。

自分の弱さ愚かさを認める勇気を与えてくれる。
人生の中で大事なのは人のためになることをすることだと教えてくれる。
決断の時の迷いを吹き消す力を与えてくれる。

人生の中で本当にしたかったことは何だったのか気付かせてくれる。
人は誰でも死ぬのだという当たり前の事実をつきつける。
人は死ぬ時も生まれたときと同じく一人なのだと悟らせてくれる。
人が生きるのに不可欠なものは「希望」だと囁き続ける。

「明日死ぬとわかっていても 私はリンゴの木を植える」の真意を考えなさいと言う。


敬愛する、あけぼの会会長・ワットさんの宝のような言葉の数々。
今、改めてこの言葉をかみしめる。