聖マリアンナ医科大学病院臨床研修Blog

聖マリアンナ医科大学病院に勤める研修医たちの日々の情報をリアルにお届けいたします。

経験すると手術が怖い ある指導医のひとこと

2009-10-03 22:20:52 | 指導医日記
『俺はさ~手術が始まるときが一番怖い』ってボクの先輩言葉
昔は意味わかんなくてそんなもんなのか~って
でも30歳半ばで大学病院での術者になるようななって
研修医や大学院生を助手に手術をしているとき
ふと思うことが出てきた
『(今ここでボクが躓くと手術どうなるんだ?)』って

それ以降どんな小さな手術でも前日まで何度も画像検査を見返して
そして頭で様々な場面を想像して手術に入るようになった

最初の指導医で今はえら~くなった先生がいつもこう言ってた
『術前に画が描けるようになれ!』って
そのとき検査室ででき上がったばかりの画像を観ながら
しきりに手を動かしてあ~でもないこうでもないって
そして一言
『よし!終わった!完璧だ!』って笑顔で叫ぶ
(ま~た自慢してるよ~この人~)思いながらも『さすがですね~』って

でも今は思う
そうじゃないんだな~
そうやって何度も何度も画像観てあらゆる場面を想定して手術に入ってたんだって
こういうのがプロだって最近思うのです

その先生の手術のときのイメージをカルテに書き込んでおくと
翌朝には必ず手直しされてた
もちろんときには『おい!もう一度俺の前で描いてみろ』って指示されて
白紙に書き始めると『その血管は?周囲組織とどういう位置関係?』って質問されて
応えられないと黙って英語の解剖書渡された

しばらくして違う指導医についたときに
手術中に(あれっ?なんでそこ剥離するんだろ?)って思った瞬間出血して
大変になったときがあっていつの間にか助手をしててもどこを剥離してるかわかるようになってきた自分がいて
そのうち自分の手術でもいろいろな方向から術野をみるような癖がついてた
なんだか嬉しかったんだよね~

もちろん何年も経った今でも
相変わらず下手で毎回納得できないことが多い
だからいつも手術に入る前が一番怖い

でも最近は手術前の患者さんへの説明で
手術のリスクを話すときに教科書的な学会でのリスクと
自分の手術のリスクを話せるようななってきた
これも進歩かな?

研修医の先生
自分の経験を埋もれさせないようにちゃんと記録して取っておくことです

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