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聖マリアンナ医科大学病院臨床研修Blog

聖マリアンナ医科大学病院に勤める研修医たちの日々の情報をリアルにお届けいたします。

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後期臨床研修医募集中!

聖マリアンナ医科大学では平成26年度後期臨床研修医を募集中! 詳しくは聖マリアンナ医科大学臨床研修センターまでお問い合わせ下さい!

研修に指導医は重要な要素です

2010-12-13 20:48:32 | 医学教育
毎年毎年新しい研修医がマッチして研修を始めます
平成16年に始まったこの制度
その年に研修した先生たちがすでに7年目を迎えています

ということは臨床指導医の研修を受ける資格を持つようになったわけです

聖マリの臨床指導医WSもアドバンスコースを加えて17回を数えます

常に聖マリ全体で300名を超える指導医が臨床の現場で指導に当たっています

その指導医によって共通のポートフォリオ評価を受け
研修を行っています

簡単なようで実は一番大切なポイントです

指導医が自己流の指導方法を貫けば
いい指導医に当たればラッキーそうでなければアンラッキー?
そう言うわけにはいきません

常にある一定水準の研修環境を提供し続けないといけない
そう思います

聖マリではこの臨床指導医WSは一度取得すればいいというわけではありません
その後にアドバンスコースが控えています

このコースでは実際の評価手法やメンタルサポートの訓練も受けます
毎年毎年繰り返していくことで
常にここが臨床医の第一歩を歩み始める研修病院で
その善し悪しは自分たちの指導にかかっているという自覚を持たせていきます

先週もたくさんの先生たちと一緒に
ワークショップを行いました

今後は必修化1年目の先生が参加するようになるのでしょう
非常に楽しみです

今後は指導医WSの内容も徐々に変えていく予定です
だってすでにマッチングによって研修した世代になってきたんですから
常に成長していきたいと思っています

医学部のFD

2010-09-09 22:48:04 | 医学教育
FDとはファカルティ・ディベロプメント (Faculty Development)の略
最近はさかんにFDの重要性が増していると言われています

さて
ファカルティ=Facultyとは大学の教員組織
ディベロプメント=developmentとは能力開発のこと
つまり
『大学教員の教育能力を高めるための実践的方法』のことで
大学の授業改革のための組織的な取り組み方法を指すとあります

そもそも大学における教育的手法とは大教室における講義が主体
そしてその中身は教授の専門領域が一方的に話されるのみって一方通行の手法であった
それが少子高齢化にともなって大学が学生のニーズに応える教育をする必要に迫られたため
さまざまな『教育支援ツール』が考えられてくるようになってきた
この『教育支援ツール』を覚えることがFDではなく
あくまでこの『教育支援ツール』を使いこなせるように教員を導く組織的な取り組みがFDです

話を続けます
歴史的に
大学の管理サイドからは教育評価のひとつとしての「授業評価システム」を導入し
大学教員の教育的手法の改善に「気づき」を促すというアプローチをとった経緯がありますが
どうも多くの大学で抵抗にあったようです
教育に関して興味の薄い教員は相変わらずの大講堂での授業を続け
熱心な先生はさまざまな取り組みを行うのでさらに忙しいということみたい
でも教育的効果をあげるには
教員サイドの意識改革を行い気づきを促し教育能力を高めることが寛容なのです

医学部ではまだまだ教え方を含めて満足行く内容ではないけど
でもそんな中で
本学ではこんな風に頑張っているぞってもっと伝えて行きたいですね

臨床研修とコンピテンシー?

2010-06-27 00:44:29 | 医学教育
現時点でできる能力abilityから
自分で解決できる能力自己指示的学習能力であるcapabilityを修得するようになれば
ずっと継続して学習していくように成長したことになる
これが医師の生涯学習と言われています

医師としてのプロ意識に目覚めた段階とも言えます
自己を振り返り問題解決していく能力を修得したわけですから

つまりすべてを教えることではなく
このような能力を身に付けさせればいいのだという発想です
これもあれも教えることが研修で求められていないということ

ここでいつものセリフです
あなた方研修医はいったい何種類の病気や何人の患者さんを受け持ったら自信がつくというのですか?

研修において
一定のサポートのもと安全に医療が実践できる段階をcompetentといいます
このレベルに達する事が望まれるわけですが・・・・
competentって?
辞書で引くと要求にかなう・十分な・(行為が)許容されるなんて意味があります
これは「ボクは~できます」って口で言うより
実際に臨床において行動することが重要
そこで初めて「できる」と評価されますよね
このレベルをcompetentというのだと思います

さて・・・・今人事考課で「コンピテンシー評価」っていうのがあるのをご存知ですか?
というより聖マリアンナ医科大学では最近受けた病院機能評価で
医師の自己評価でこの「コンピテンシー評価」を記入したのを覚えてますか?
このときこの評価のことを担当したんですよね~
なんだかそんなことばっかりやって~って呆れないでください
好きで担当した訳でもないんです・・・・・・はい・・・ま・嫌いじゃないですけど・・ははは


この「コンピテンシーcompetency」ですが・・・・
よく臨床でも指導医たちが研修医を捕まえてこう評していることがあります
「あいつは基本がわかってない」とか
「いくら頭がよくて理屈がわかっていても実際にできなきゃ意味ね~ヨ」って
これって評価的な発言・・・・・まさに行動評価ですね
臨床家を自負すればするほどこの発言が多いですし意味もよくわかる
医療現場にこそふさわしい評価的発言とも言えますが
企業におきてはこのような評価が人事考課で用いられてて
この場合コンピテンシーは「高い業績をあげるための能力や行動」などと説明されてます
そしてその評価のためにも「具体的な事実に基づいて」行われるべきなのです

おろ?ポートフォリオっぽくないですか?
さらにさらにこの「コンピテンシー評価」においてはしばしば360度評価っていうのが
行われるわけですよ・・・・・・ほらほらまた出てきた
聖マリアンナ医科大学の研修医や指導医の評価表もこれだったのですがわかりますか?


ある研究家は「コンピテンシー」はわかりやすく考えればスキルに近いと説明してます
確かにね~

以前解説した「指導医ガイドライン」によれば
この「コンピテンシーモデルを用いた行動評価」にはこのように説明されています
つまり・・・・
医療者として高い業績(パフォーマンス)をあげるような望ましい行動を明示するということは
企業にあてはめるとその病院において「期待される人間像・医師像」を提示することである
ただ医師は個人で評価されることが多いのでこの場合は
「医師として求められる行動」としてとらえるべきであり
「患者から見た望ましい医療人像を提示するもの」として考えるべきとしています

だからこそ「・・・・できる」ではなく「・・・・する」といった評価項目が求められ
どんなに「する能力」があっても実際に行動できなければ評価されない
そのもっとも最たる職業人である医師にこそこの評価が重要なんだと感じます
研修病院を評価する機構もありますが
そこでもコンピテンシー評価は重視していて
360度評価を行っているかって注目してますよね

ここで面白い興味深い論文を発見
まったく医学に関係ないですが・・・・
ある関西の大学の卒業論文だと思いますが
「学生の就職活動が個人の成長を促している」というもの
このとき自己受容度と社会的コンピテンス能力に着目
説明しよう!
自己受容とは「自己の現実の姿について正確な観察を行いその姿をありのままに受け入れる」(Combs&Snygg,1949)こと
コンピテンスとは環境との積み重ねの結果生じるものつまり効果的に環境と相互作用する能力と定義(White,1959)。


その結果は非常に興味深い
大学生は3年生のときより4年生のほうが
自己受容度・コンピテンスともに大きな伸び率が認められたというもの
だって4年生になると就職活動のためにまず
現在の自分を他人それも全く知らない人にわかってもらわなければならない
自分がどれだけできるのかしっかり自分を見つめ直し
自己分析「自分を深く掘り下げ過去の自分を振り返り現在の自分も見直すこと」を行ったことで
自分を理解し自己の存在価値を認めるようになったんだそうです
コンピテンスについては
社会に自分自身をより近づけようと努力をしていることが成長率から見られ
より多くの社会の情報を得ようと他者や周囲に目を向けて
「自己を見つめるのみだけでなく他者との関わりの中で自分自身の位置を定めていること」になった

ほらほらこれって面白くないですか~?
だって医学部ってこれまで就職活動なかったわけでしょ?
ところがここへきて急にマッチングなわけ
これがどういった影響を医学生に及ぼすか興味深いですよね

つまり本学の聖マリアンナ医科大学の医学生が一生懸命マッチング対策をとるということは
ほらほら・・・・・悪くないんじゃないですかね?
そして聖マリアンナ医科大学の臨床研修がこれらの振り返り・自己分析を積極的に行う理由
ポートフォリオを用いて何を促しているか
どうですか?わかっていただけますか?
研修医の皆さ~ん!ほら何をすればいいのか
何をすれば自分がどうなるのか見えてきましたか?

もうひとつ面白い結論
楽観主義者の方が悲観主義者よりも就職活動において納得いく成果を得ているんだって
もっともこれは言い切るほどのデータではなかったらしいですが・・・・ふ~ん
マッチングで満足するには楽観的にいきなさいってことかしら?


長い書き込みですが許してくださいませ

でも個人的には面白いな~って調べてて思っちゃいました



さっそく試してますか?

2010-06-22 16:16:53 | 医学教育
指導医養成ワークショップお疲れ様でした

いくつか指導方法もお話ししましたが
どうですか?
試してみましたか?
もちろん
授業と一緒でなかなかすぐに修得できるものではありません
面白いですよね
医学生相手に教えただろ~!こんなことも覚えてないのか~!って言う先生方が
自分が学習者だと・・・・・・・へへへ
そういうもんです

だからときどき思い出して頂こうって主旨で
ちょいとお勉強タイム

参考にしているのは
皆さんもアクセスできる臨床指導医ガイドラインです
ぜひぜひご参考にしてください

ポートフォリオ評価は聖マリアンナ医科大学の研修内容を紹介してますから

さて
臨床の忙しい現場でどう教えるか?
教えるっていうより
忙しい現場でいかに臨床能力を高めるように指導していくか?って
発想をまず変えてみる事だと感じます

まず
feedback手法はなんとなくわかるけどって指導医の先生は多い
でも
効果的にってことになると何が効果的なのか?って思うようです
それに本学だとしきりに研修医のレベル(到達度)が取りざたされるけど
いったいその研修医がどのレベルなのかもまずわかんないっていうのが現実問題なんでしょうか


時間のない臨床の現場で効果的なフィードバックを行うときのひとつの方法がありますよって
指導医WSで話したのを覚えてますか?
病棟のナースステーションで
救急の外来で
昼飯を食べながらお茶しながら
ちょっとの時間を利用してポイントを絞ってフィードバック  

それが1分間指導法(5micro-skills)です
これは研修医の思考過程を明らかにしつつfeedbackを行い
研修医自身が振り返りを促されるもの

ほら?思い出しましたか?
指導医WSのadvancedコースでは互いにやってみたやつです

5つの段階的な質問で済みますからやってみてはどうでしょう?
まずはこんな質問からスタートです
第1ステップ 研修医の現時点での考えを聞く
「先生はどう考えますか?」
まず研修医自身の考えを引き出す
もちろん開かれた質問であることが重要!
うっかり「○○○は考えなかったの?」ではダメですよね
相手が何を理解してどこまで考えたかを明らかにするステップです

第2ステップ その考えの根拠を聞く
「なぜそう考えたんですか?」
研修医の知識と思考過程の確認作業です
そう考えるに至った根拠を確かめます
偶然あってたなんて場合もあります
診察そものがうまくできていないのか?(報告者レベル?)
情報を分析することができなかったのか?(解釈者レベル?)
ここを明らかにしましょう!
ここで大切なポイント
あくまで研修医のレベルを知ること
中には「え~そう思ったんだけど違うんですか?」「・・・・・・わかりません!」って言い訳や逃げてしまう研修医もいます
そこで諦めてはいけません
研修医のための指導です
「(笑顔で)そう思ったという理由を話してみてよ先生」
「(二コっと)そのわからないとこが何か話してみてよ先生」って感じです

そしたらここ大切なステップです
第3ステップ 出来たことを褒める
「なるほど!いいね~!先生!」
現時点でできていること(診察出来たこと?解釈できたこと?)を確認して
まずはその段階を褒める
すると相談しやすい雰囲気になりますし研修医は自信を持ちます
ここまではいいのか~!よかった~!ってね

この第2・第3ステップがうまくいくと
たとえポイントずれた解釈をしていても
「それは面白いところに目をつけたね!でも・・・このケースではどうだろう?」
研修医は「ん?何か違うんだなきっと・・・・」と自分で考える癖を身に付けます
振り返りをどんどん促すことを習慣づけていけるようになります

このときやっちゃいがちだけどダメなのは
「○○○忘れてるじゃん!知らないの?」と先に答えを知ってしまうこと
きっと研修医は丸暗記していきますヨ

第4ステップ 一般論を提示する
「一般的にはこういう風に考えるよね」「文献的にはこうだよね」
あやふやなことを明確にしながら知識の定着を促します
つまりまず間違いに気付かせる
患者と一般論がセットになると知識が定着しやすいようです
ここで注意すること
あれこれ教えすぎないこと!
そうそう以外とこれって多いですよね
ちょっとのつもりが話し過ぎちゃうパターン
今その話しされてもって研修医は自然に耳に蓋してますよきっと

そして最後に
第5ステップ 改善点を提示する
「じゃ~先生!今度同じような患者さんが来たらどうしますか?」
臨床上の問題を明らかにしていく段階です
目の前にいる患者に則して学習課題を明らかにしましょう!
もちろん研修医の側から
「これが理解できていなかったので勉強してきます!」なんて感じになればいいけど
指導医から促すのもありです

これって慣れてくると本当に1分程度で済みます
ボクは実際に研修医に配布している日々の記録帳に書き込ませます
忘れないように

すると後日余裕があるときに
そう言えばあれどうした?って手帳片手に一緒に学ぶ姿勢が出てきます

そう
教えるって発想ではない方が疲れませんし負担感を感じなくできます
リラックスして試してみてはどうでしょう?


指導医で左右される臨床研修

2010-06-17 16:36:46 | 医学教育
毎年毎年新しい研修医がマッチして研修を始めます
平成16年に始まったこの制度
その年に研修した先生たちがすでに7年目を迎えます

ということは臨床指導医の研修を受ける資格を持つようになったわけです

明日から聖マリの臨床指導医WSが2日間にわたって開催されます
すでに16回を数えます

常に聖マリ全体で300名を超える指導医が臨床の現場で指導に当たっています

その指導医によって共通のポートフォリオ評価を受け
研修を行っています

簡単なようで実は一番大切なポイントです

指導医が自己流の指導方法を貫けば
いい指導医に当たればラッキーそうでなければアンラッキー?
そう言うわけにはいきません

常にある一定水準の研修環境を提供し続けないといけない
そう思います

聖マリではこの臨床指導医WSは一度取得すればいいというわけではありません
その後にアドバンスコースが控えています

このコースでは実際の評価手法やメンタルサポートの訓練も受けます
毎年毎年繰り返していくことで
常にここが臨床医の第一歩を歩み始める研修病院で
その善し悪しは自分たちの指導にかかっているという自覚を持たせていきます

また明日たくさんの先生たちと一緒に
マークショップを行いますが
とうとう必修化1年目の先生が参加するようです
それも非常に楽しみです

今後は指導医WSの内容も徐々に変えていく予定です
だってすでにマッチングによって研修した世代になってきたんですから
常に成長していきたいと思っています

では明日お会いしましょう

研修医向け指導方法  忙しい臨床現場で使ってみては?

2010-05-14 16:57:18 | 医学教育
落ち込んでた研修医に理由を聞いたら
「指導医の先生が忙しくて・・・・(聞くタイミングが難しいんです)」
そいつは困りもんです

指導医はというと
「いや~そんなつもりはないんですけど・・・・(ム!何だよ!って顔)」
ま~気持ちはわかりますけどね


もうすぐ指導医養成WSが開催されます
いくつか指導方法もお話しするんですが
授業と一緒でなかなかすぐに修得できるものではありません
面白いですよね
医学生相手に教えただろ~!こんなことも覚えてないのか~!って言う先生方が
自分が学習者だと・・・・・・・へへへ
そういうもんです

だからときどき思い出して頂こうって主旨で
ちょいとお勉強タイム

参考にしているのは
皆さんもアクセスできる臨床指導医ガイドラインです
ぜひぜひご参考にしてください

ポートフォリオ評価は聖マリアンナ医科大学の研修内容を紹介してますから

さて
臨床の忙しい現場でどう教えるか?
教えるっていうより
忙しい現場でいかに臨床能力を高めるように指導していくか?って
発想をまず変えてみる事だと感じます

まず
feedback手法はなんとなくわかるけどって指導医の先生は多い
でも
効果的にってことになると何が効果的なのか?って思うようです
それに本学だとしきりに研修医のレベル(到達度)が取りざたされるけど
いったいその研修医がどのレベルなのかもまずわかんないっていうのが現実問題なんでしょうか


時間のない臨床の現場で効果的なフィードバックを行うときのひとつの方法がありますよって
指導医WSで話したのを覚えてますか?
病棟のナースステーションで
救急の外来で
昼飯を食べながらお茶しながら
ちょっとの時間を利用してポイントを絞ってフィードバック  

それが1分間指導法(5micro-skills)です
これは研修医の思考過程を明らかにしつつfeedbackを行い
研修医自身が振り返りを促されるもの

ほら?思い出しましたか?
指導医WSのadvancedコースでは互いにやってみたやつです

5つの段階的な質問で済みますからやってみてはどうでしょう?
まずはこんな質問からスタートです
第1ステップ 研修医の現時点での考えを聞く
「先生はどう考えますか?」
まず研修医自身の考えを引き出す
もちろん開かれた質問であることが重要!
うっかり「○○○は考えなかったの?」ではダメですよね
相手が何を理解してどこまで考えたかを明らかにするステップです

第2ステップ その考えの根拠を聞く
「なぜそう考えたんですか?」
研修医の知識と思考過程の確認作業です
そう考えるに至った根拠を確かめます
偶然あってたなんて場合もあります
診察そものがうまくできていないのか?(報告者レベル?)
情報を分析することができなかったのか?(解釈者レベル?)
ここを明らかにしましょう!
ここで大切なポイント
あくまで研修医のレベルを知ること
中には「え~そう思ったんだけど違うんですか?」「・・・・・・わかりません!」って言い訳や逃げてしまう研修医もいます
そこで諦めてはいけません
研修医のための指導です
「(笑顔で)そう思ったという理由を話してみてよ先生」
「(二コっと)そのわからないとこが何か話してみてよ先生」って感じです

そしたらここ大切なステップです
第3ステップ 出来たことを褒める
「なるほど!いいね~!先生!」
現時点でできていること(診察出来たこと?解釈できたこと?)を確認して
まずはその段階を褒める
すると相談しやすい雰囲気になりますし研修医は自信を持ちます
ここまではいいのか~!よかった~!ってね

この第2・第3ステップがうまくいくと
たとえポイントずれた解釈をしていても
「それは面白いところに目をつけたね!でも・・・このケースではどうだろう?」
研修医は「ん?何か違うんだなきっと・・・・」と自分で考える癖を身に付けます
振り返りをどんどん促すことを習慣づけていけるようになります

このときやっちゃいがちだけどダメなのは
「○○○忘れてるじゃん!知らないの?」と先に答えを知ってしまうこと
きっと研修医は丸暗記していきますヨ

第4ステップ 一般論を提示する
「一般的にはこういう風に考えるよね」「文献的にはこうだよね」
あやふやなことを明確にしながら知識の定着を促します
つまりまず間違いに気付かせる
患者と一般論がセットになると知識が定着しやすいようです
ここで注意すること
あれこれ教えすぎないこと!
そうそう以外とこれって多いですよね
ちょっとのつもりが話し過ぎちゃうパターン
今その話しされてもって研修医は自然に耳に蓋してますよきっと

そして最後に
第5ステップ 改善点を提示する
「じゃ~先生!今度同じような患者さんが来たらどうしますか?」
臨床上の問題を明らかにしていく段階です
目の前にいる患者に則して学習課題を明らかにしましょう!
もちろん研修医の側から
「これが理解できていなかったので勉強してきます!」なんて感じになればいいけど
指導医から促すのもありです

これって慣れてくると本当に1分程度で済みます
ボクは実際に研修医に配布している日々の記録帳に書き込ませます
忘れないように

すると後日余裕があるときに
そう言えばあれどうした?って手帳片手に一緒に学ぶ姿勢が出てきます

そう
教えるって発想ではない方が疲れませんし負担感を感じなくできます
リラックスして試してみてはどうでしょう?


成人学習理論と現実の臨床研修 夢から現実へ

2010-03-21 22:24:05 | 医学教育
この連休
多くの医学生は羽根を伸ばしているのか?
進級できたしちょっと浮かれているのだとしたら・・・・・う~ん呑気だ
世間では就職難なわけでいかに自分を売り込むのかってみんな必死
『ボク達にだってマッチングがある!』って言いたげ・・・・でもちょいと違う

ということで今日は医学生を対象に書き込み

自分が学生のころはほぼ毎日部活動だった
6年生になっても同じ状況になるのは目に見えてたから
この春休みは内科制覇を試みて朝倉内科学を読込み
すでに国試の過去問題集で一般問題を解き始めていた
一つ決めていたことは絶対にペースを乱さないこと!
そうそうだから6年生の夏休みは毎日プールに通ってた・・・・・これじゃ参考にならないね
悪い学生でした
なんせBSLの試験では100番台で学長室呼び出し急降下でしたから・・・・ははは

これで焦ったのもあるけど
何よりもとにかく自分の限界に気付いたので無理しないことにしてました
朝倉内科学を読み始めて国家試験問題集を6年の1学期までに終えることができるように
月曜日~金曜日で全問振り分けてにしっかりと計画立てた
だから周囲をまったく気にせずペースを守ることだけに集中

今の診療科を選んだのはその頃
最後まで2つ悩んで最終的に一番しごいてくれそうなところに決めました
いや~すぐにサボるのは自覚してたから
もう一つの理由は
医局がこじんまりしてて
『おい!研修医!』ではなくて嫌でも名前で呼ばれそうなところっていう理由
おかげで3日に1度は当直で1年目の総当直日数が198日だった
今では考えられませんよね

さて今日のお題は・・・・
『成人学習理論と現実の臨床研修』ってことで過去のブログをちょっと追加してご紹介

というのもこのブログで大人とはなんだ?とかを問い掛け
成人学習ではちゃんと自分で学ぶべきことを知ってる医学生に
勉強しろって失礼だ!なんて書き込んできたわけですが
ある指導医向け書籍のコラムにまったく似たような文章があって
思わずほ~らね

そうさ~
だって卒業前までに大人としての学習の原則を満たされているという前提があるわけで
ボクは何科にいくべきでしょう?とか
何をやったらいいのか見えないって状態の医学生たちに
そもそも成人理論を当てはめて研修を評価することがいいのか?
いやそれより適切か?ってこと

そうなると卒業前に何を身につけておくか?っていうことになるし
何よりも研修病院はその医学生が何を身に付けているかを十分に検討して採用すべき
でないと昔は自分の実力から判断してちょっと無理かな~なんて思ってた一流研修病院に
いけんじゃないかな?なんて非常に軽~い希望でマッチしたりしてないかな?って
ちょっと心配

自分の立ち位置を知るGPSもないのに
行けますよと言われて・・・・
あ~そう?行けるかな~?ボクなんて

つまりちゃんと自分で振り返り自分のことを
ちゃんと長所も短所もわかろうとしている姿勢を今医学生のときに涵養すべきでは?


平成16年当時から聖マリアンナ医科大学ではこう考えていたんです

そう医学部を卒業するときにはそうあるべきですけど
現実今そうはなかなか理論的にはいかないでしょ?
かといって諦めてばかりでいると・・・・・
ニヤニヤした指導医たち(当時は免許もなく自称指導医が横行していましたからね)に
『だからさ~俺達の言うように研修スケジュール組めよ!俺達がちゃんと見てやるってばさ~』って
いいように扱われてオレ流の研修に戻ってしまう危険性が高かった
そこで当時の病院長である現理事長が考えた

ちょいと2年間だけでもこいつら達に任せて貰えませんか?って集められたのが
今の臨床研修センター運営委員会の書記メンバーだった
そこで熱く語り合ってたどり着いたのが
『振り返りを身に付ける研修』ってわけ

理論を実践につなげるには
それを信じて強い信念を持って計画した医学教育を提供することだと思うんです

たとえば
振り返りを促すツールには
significant event analysisとかself assessmentなんかがあるし
気付きを臨床の場で効率よく促すには
one minute five microskillなんてやり方もある
360度評価なんていうのも大切なツールです
そして
これらは自分がどう変わっていくか成長したかの大切な証拠であって
これをちゃんととっておいてあとで自分の成長を確認するのが
ポートフォリオなわけで
そしてそして
これを臨床研修という実践の中で用いながら
理論から実践にしていこうって真剣に考えてる大学病院のひとつに
ボクたち聖マリアンナ医科大学も入れてもらえたらな~って当時は真剣に考えてました

そして今
少しは当時の夢を現実にできているかなと思ってるわけです
はい

日ごろの研修で活かしてみませんか?

2010-02-23 22:22:07 | 医学教育
落ち込んでた研修医に理由を聞いたら
「指導医の先生が忙しくて・・・・(聞くタイミングが難しいんです)」
そいつは困りもんです

指導医はというと
「いや~そんなつもりはないんですけど・・・・(ム!何だよ!って顔)」
ま~気持ちはわかりますけどね


明日は本院の診療部長会議で少々お話ししてきます
そのときお話できるかどうか・・・・時間ないし

たくさん時間があればいくつか指導方法もお話しするんですが
授業と一緒でなかなかすぐに修得できるものではありません
面白いですよね
医学生相手に教えただろ~!こんなことも覚えてないのか~!って言う先生方が
自分が学習者だと・・・・・・・へへへ
そういうもんです

だからときどき思い出して頂こうって主旨で
ちょいとお勉強タイム

参考にしているのは
皆さんもアクセスできる臨床指導医ガイドラインです
ぜひぜひご参考にしてください

ポートフォリオ評価は聖マリアンナ医科大学の研修内容を紹介してますから

さて
臨床の忙しい現場でどう教えるか?
教えるっていうより
忙しい現場でいかに臨床能力を高めるように指導していくか?って
発想をまず変えてみる事だと感じます

まず
feedback手法はなんとなくわかるけどって指導医の先生は多い
でも
効果的にってことになると何が効果的なのか?って思うようです
それに本学だとしきりに研修医のレベル(到達度)が取りざたされるけど
いったいその研修医がどのレベルなのかもまずわかんないっていうのが現実問題なんでしょうか


時間のない臨床の現場で効果的なフィードバックを行うときのひとつの方法がありますよって
指導医WSで話したのを覚えてますか?
病棟のナースステーションで
救急の外来で
昼飯を食べながらお茶しながら
ちょっとの時間を利用してポイントを絞ってフィードバック  

それが1分間指導法(5micro-skills)です
これは研修医の思考過程を明らかにしつつfeedbackを行い
研修医自身が振り返りを促されるもの

ほら?思い出しましたか?
指導医WSのadvancedコースでは互いにやってみたやつです

5つの段階的な質問で済みますからやってみてはどうでしょう?
まずはこんな質問からスタートです
第1ステップ 研修医の現時点での考えを聞く
「先生はどう考えますか?」
まず研修医自身の考えを引き出す
もちろん開かれた質問であることが重要!
うっかり「○○○は考えなかったの?」ではダメですよね
相手が何を理解してどこまで考えたかを明らかにするステップです

第2ステップ その考えの根拠を聞く
「なぜそう考えたんですか?」
研修医の知識と思考過程の確認作業です
そう考えるに至った根拠を確かめます
偶然あってたなんて場合もあります
診察そものがうまくできていないのか?(報告者レベル?)
情報を分析することができなかったのか?(解釈者レベル?)
ここを明らかにしましょう!
ここで大切なポイント
あくまで研修医のレベルを知ること
中には「え~そう思ったんだけど違うんですか?」「・・・・・・わかりません!」って言い訳や逃げてしまう研修医もいます
そこで諦めてはいけません
研修医のための指導です
「(笑顔で)そう思ったという理由を話してみてよ先生」
「(二コっと)そのわからないとこが何か話してみてよ先生」って感じです

そしたらここ大切なステップです
第3ステップ 出来たことを褒める
「なるほど!いいね~!先生!」
現時点でできていること(診察出来たこと?解釈できたこと?)を確認して
まずはその段階を褒める
すると相談しやすい雰囲気になりますし研修医は自信を持ちます
ここまではいいのか~!よかった~!ってね

この第2・第3ステップがうまくいくと
たとえポイントずれた解釈をしていても
「それは面白いところに目をつけたね!でも・・・このケースではどうだろう?」
研修医は「ん?何か違うんだなきっと・・・・」と自分で考える癖を身に付けます
振り返りをどんどん促すことを習慣づけていけるようになります

このときやっちゃいがちだけどダメなのは
「○○○忘れてるじゃん!知らないの?」と先に答えを知ってしまうこと
きっと研修医は丸暗記していきますヨ

第4ステップ 一般論を提示する
「一般的にはこういう風に考えるよね」「文献的にはこうだよね」
あやふやなことを明確にしながら知識の定着を促します
つまりまず間違いに気付かせる
患者と一般論がセットになると知識が定着しやすいようです
ここで注意すること
あれこれ教えすぎないこと!
そうそう以外とこれって多いですよね
ちょっとのつもりが話し過ぎちゃうパターン
今その話しされてもって研修医は自然に耳に蓋してますよきっと

そして最後に
第5ステップ 改善点を提示する
「じゃ~先生!今度同じような患者さんが来たらどうしますか?」
臨床上の問題を明らかにしていく段階です
目の前にいる患者に則して学習課題を明らかにしましょう!
もちろん研修医の側から
「これが理解できていなかったので勉強してきます!」なんて感じになればいいけど
指導医から促すのもありです

これって慣れてくると本当に1分程度で済みます
ボクは実際に研修医に配布している日々の記録帳に書き込ませます
忘れないように

すると後日余裕があるときに
そう言えばあれどうした?って手帳片手に一緒に学ぶ姿勢が出てきます

そう
教えるって発想ではない方が疲れませんし負担感を感じなくできます
リラックスして試してみてはどうでしょう?


態度を変える!

2010-02-16 20:05:24 | 医学教育
臨床研修における態度をどのように評価できるのか?
すごく難しい問題です
同僚による評価(360度評価)や
本学のポートフォリオ評価など
それぞれの評価を受けることで成長を促すことができます
でもどの方法をとっても
学習者である研修医が自覚しないと
おそらくあまり意味がないのでしょうし
その人に変化を期待できません
この変化こそが成長なのだと感じます
でも指導医ガイドラインにもあるように
どのような研修の態度が望ましいのかすら
明確でなければその達成度や修得度を測ることは難しいし
学習者である研修医自身が自分の成長を見返すことはできないでしょう

指導医ガイドラインに基づいて
『自主的な研修意欲を持つ』という行動目標を考えると
まず意欲がある研修医を想像し
続いてそうでない研修医を想像する
そしてその二人が明らかに異なる行動をとるような場面を想像する
例えば
わからないことがあってもすぐに指導医に聞かず自分で調べる自立性
指導医や指導助手などから言われて学習するのではなく自ら率先して学習する自発性
指導医の説明を唯聞いているのではなく積極的に質問したり逆に意見を言える能動性
指導医や研修センターの定めた内容のみ研修するのではなく自分で目標を設定できる自律性
これらは明確に異なって行動するでしょうから
この項目で観察したりすればいいらしい

これって何でも当てはまりそう
自立性・自発性・能動性・自律性
全部とても大切なことでプロ意識をもつとはこのことのような気さえしませんか?
ちょっと意識すると変われるかも知れませんね

研修における教育的ツール(再)

2010-01-20 02:19:50 | 医学教育
臨床研修がはじまって多くの臨床研修病院では指導医が悩んでいます
どうやって指導するんだろう?って
研修において遭遇する多くの問題
たとえばマッチングは研修医にとってはもっとも身近な問題
でも指導医にはなかなかなじめない中身
とくに大学病院でないとあまりマッチングそのものの仕組みはわからないかも

同じように
臨床の現場では研修到達目標やら実際の研修における中身
さらにその評価にいたるまで指導医全員に理解してもらうことは難しい

研修医は研修を受ける側なので
研修病院であれば当然同じような研修を受けられると思っているかも
中には研修制度の目的とは関係なく
病院の差は有名かどうか?ブランドかどうか?で選ぶ医学生もいるのかも

指導医にも研修医にも有意義な研修となるためには
きちんとした教育的ツールを活用することが望ましい
そのためにまず基本的な研修カリキュラムを作成できるように
指導医養成ワークショップなるものが義務づけられている


そこではさまざまな教育的ツールを学ぶけど
このツールも使ってみないとわからないから
まずは体験してみろってことなんだけど
どうも理解に苦しむ
なぜ有用なのか?って
プロフェッショナリズムにしても指導医が思っているものと教育学上の意味合いが異なると
当然話がかみ合わないのです
とくに研修に思い入れが強い指導医の場合我流であるがゆえ
素直には受け入れがたい
そうなると当然普段の研修でも我流の指導となるので
研修医と指導医の組み合わせによって良し悪しが出てくる
組み合わせが悪い時にはその研修医がセンス?なしってことになりかねない

ボクが思うに教育的ツールとは
研修医とともに成長するための有用なツールという意味合いがある
文献的な裏付けも行いながらポートフォリオも活用してきたけど
やっぱり教育的ツールはつかってみないと
その良さも弱点もわからないだろうな~って

研修医の皆さんはきっとそれぞれの病院で頑張っていることと思いますが
この臨床研修の意義を十分に思い起こしてください

ということで
明日も教育的ツールをたくさん使って研修医と一緒に学ぶつもりです
はい