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『地球温暖化対策の実像/ロンドンからの報告「神話」か?「真実」か? [前編]』 

2009-02-01 08:59:33 | 環境教育

 「らくちんランプ」の管理人スパイラルドラゴンです。今日は、2009年2月1日です。

 東京電力ロンドン事務所前副所長の浅妻一郎(あさづま いちろう)氏が2008年6月23日に、日経BPのECOマネジメントへ寄稿された地球温暖化対策の実像/ロンドンからの報告 「神話」か?「真実」か?[前編][後編]の記述は、多くの識者達が発信しているCO2温暖化悪玉論とは明確な政治目的を持って立案されたプロパガンダに過ぎないという警告に一切耳を傾けずに、温暖化対策の一環としての環境税導入を主張している日本の全ての政党・政治家と、その支持者の方々に、熟読吟味して頂きたい内容だと思いますので、以下その全文を転載します。


(以下転載)

 地球温暖化対策の実像/ロンドンからの報告
 「神話」か?「真実」か?[前編]


 クラウス・チェコ大統領の叫び
2008年6月23日(月)公開

 「気候変動は自由までも抑圧するのか?」

 気候変動の議論は、7月の洞爺湖サミット(主要国首脳会議)での中心的議題の一つとなっており、日本においても排出量取引導入の是非など、日に日に関心が高まっている。その際の論調を見ていると、欧州で展開されている議論をそのまま持ち込んでいるケースが少なくないのでは、と思われる。

 それでは、日本が“お手本”としている欧州内の議論は、一枚岩で盤石なのであろうか? 実は、欧州においても、気候変動についてはさまざまな議論がなされており、決して型にはまったものではない。

 「危機に晒されているのは気候変動ではない、自由である」

 2007年6月14日、刺激的な見出しが英フィナンシャルタイムズ紙を飾った。チェコ共和国の現職大統領であるヴァクラブ・クラウス氏が気候変動問題について寄稿したのである。

 同大統領は、目下、先進国をはじめ各国の共通課題となっている気候変動の問題を「プロパガンダが真実となってしまった典型的な例である」と言い切っている。

 クラウス大統領は、「地球温暖化は、自然科学というよりも社会科学の問題であり、地球平均気温のコンマ数℃の変動よりも、むしろ人類とその自由についての問題である」として、次のように主張している。

 気候の小さな変動は、遠大な制限的対策を必要とするものではない。

 自由と民主主義への抑圧は避けるべきである。

 人々の行動に枠をはめるよりも、皆が望むように生きることができるようにしよう。

 科学を政治的テーマとして扱うことに抵抗し、「科学的合意」という表現に反対しよう。

 それはいつも、声高な少数派によりもたらされるもので、声なき多数派によるものではない。

 「環境」について語るのではなく、私たち個人の行動のなかで気を配ろう。

 人間社会の自然な発展を謙虚に確信しよう。発展の合理性を信頼し、(あえて)阻害したり方向を変えたりしないようにしよう。

 破滅的な予測に怯えず、それが人間生活への不合理な介入を擁護したり促すことのないようにしよう。

 現在確認されているのは、わずかな地球の気温変化だけであり、人類は今後の自由な発展のなかで地球温暖化の問題に対処していくことができるとする考え方に、クラウス大統領が立っていることがわかる。


「環境主義」は「共産主義」と並ぶ脅威

 クラウス大統領の主張の背景には、同国が旧共産党体制の下で受けた長年の言論弾圧があるものと思われる。「共産主義のもとで大半の人生を送った人間として、『環境主義』が自由や民主主義、市場経済と繁栄への脅威であると言わざるをえない」としており、「communism」に並ぶ言葉として「environmentalism」という言葉を使用している。

 米国の前副大統領のアルバート・ゴア氏による映画『不都合な真実』や、英ニコラス・スターン卿による報告書『スターン・レビュー』、IPCCの主張などを正しいものとして、温室効果ガスの排出抑制のため、人々の合理的で自由な生活を規制・管理する政治的な指令が繰り出される、反論するものは非難される……。

 クラウス大統領の脳裏を、共産主義政権下での苦い思いがよぎっているものと思われる。
 同大統領は、米国のマイケル・クライトン氏(SF小説などを多く手がける作家)やリチャード・リンゼン教授(米国マサチューセッツ工科大学、気象学を専攻)など、気候変動に疑問を呈する人々の論拠を挙げ、反抗を試みる。

 クライトン氏「人類が直面しているこの最大の挑戦は、幻想からの現実とプロパガンダからの真実という特徴的な挑戦である」

 リンゼン教授「21世紀初期の発展した世界が、地球平均気温のコンマ数℃の上昇に対してヒステリー的なパニックに陥り、非常に不確実なコンピュータ予測と、ありそうもない推論体系による著しく誇張された基盤のもとに、産業発展の後退を考慮するに到ったことを、将来の世代は呆然と驚くだろう」

 クラウス大統領の議論は、折からの気候変動への高い関心もあり、反響を呼んでいる。同大統領の指摘を「勇気あるもの」と讃える読者がいる一方、地球の人口が爆発的に増加していることや森林資源の伐採の事実を挙げ、IPCCの正当性を含めたこれまでの気候変動に関する実証研究の正当性を指摘する声もある。また、読者から寄せられた質問に対するクラウス大統領の返答は、英フィナンシャルタイムズ紙の「最も読まれている記事」で堂々第1位となった(2007年6月22日)。

 「言い逃れ」ではない、クラウス大統領の主張

 もっとも、二酸化炭素(CO2)の排出削減について、チェコ共和国が努力していないわけではない。2007年6月14日の欧州委員会プレスによると、チェコは2005年に25.8%減(1990年比)を達成しており、EU(欧州連合)27カ国全体(7.9%減)より、良好な成果を挙げている。このことは、クラウス大統領の主張が単なる「削減逃れ」とは言い切れないことを裏付けるものである。

 元々、クラウス大統領はプラハ大学で経済学を専攻し、卒業後はイタリア、米国の大学で研究を重ねた。共産主義政権下にあって、早くから自由市場経済の重要性を論じ、1968年に経済学の博士号を取得している。1970年に銀行に入ったが、1987年にはロシアのミハイル・ゴルバチョフ氏の唱える「ペレストロイカ」の影響下にあったチェコスロバキア科学研究機構に転じている。その後、1989年に政治の道に進み、財務大臣、首相を経て、2003年から大統領に就任、「ビロード革命」を成し遂げたハベル氏を継承している。
 大統領職の傍ら、2005年秋まで大学で経済学を教えていたというアカデミズムを纏った政治家である。

 今のところ、EUの一員として、チェコが大統領の意見を派手に展開するような事態には至っていない。しかし、チェコの大統領は国家元首であり、実際の政務は首相が担うことになるが、大統領は法案の拒否権、議会解散権、首相任命権などを有しており、政局において重要な地位を占めている。今後、EU内で“一波乱”あった際に、クラウス大統領の言動が注目される。

>>2008年7月7日(月)公開の後編に続く

(転載終わり)

参照:スペイン元首相、「気候変動への取り組みは新興宗教のようなもの」

スパイラルドラゴン拝



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