次の目的地は水郡線の中舟生駅です。
目的地を繋ぐ最短ルートをナビに入力してあるので、いったん走り出せば、全てがナビ任せです。
常陸太田市の源氏川堤防から県道29号を北上し、和田町を経て棚谷町高野の里に入ってきました。
当初の予定にはなかったのですが、雷神山の尾根を越える曲がりくねった道を上って行くと、周囲にヒガンバナの赤い花が咲き並んでいました。
県道から脇道へハンドルを切り、路肩に車を止めて、花数が一番多い場所へ歩を進めると、角がまるくなった墓が、真っ赤な曼殊沙華に包まれていました。
ヒガンバナは人が住む場所でしか見ることができない人里植物ですが、この場所のような墓や田の畔などに花を咲かせます。
その理由を、先の源氏川堤防の状況と合わせ考えてみます。
ヒガンバナは彼岸の頃に花を咲かせ、花が枯れた後、秋から冬にかけて地に寝そべる姿に葉を広げます。
小石川植物園2月
ヒガンバナは、この時期に光合成を行い、球根に養分を蓄えます。
ですから、ヒガンバナは冬に葉を茂らせる椿のような常緑樹の下に咲くことは殆どありません。
そして、他の草や木が頭上に茂らせる春になると、何時の間にか葉を枯らし、彼岸の頃に突然花径を伸ばし花を咲かせるまで、夏の間は休眠状態になります。
また、彼岸の頃に地面に光が注ぐことのない、ススキが茂るような場所にも、ヒガンバナが花を咲かせることはありません。
墓や田の畔など、常に人の手によって除草が行われている場所にだけ、ヒガンバナは花を咲かせることができるのです。
つまり、ヒガンバナは人里にあって、
● 秋から茂り始める葉に太陽光が降り注ぐような場所であること。
● 夏の終わりの頃、一定程度の光が地面に届く場所であること。
の二つが、ヒガンバナが花を咲かせる必要条件と考えます。
今回の東北にヒガンバナを訪ねる旅は、上記2条件を検証し、ヒガンバナの開花と気温との関係などを考える旅となりました。
旅の目次 全ての花の旅